
宝塚大学では「看護とアート」をテーマに、芸術的な視点を看護に生かす学びを展開しています。その一つが「セラピーメイク」です。セラピーメイクとは、あざやしみ、治療の痕など外見の変化による不安に寄り添い、心の負担をやわらげることを目的としたメイクです。担当する倉地 祐子先生は「メイクの出来栄えはもちろん必要ですが、大切なのは心に寄り添うこと」と話します。授業ではセルフメイクやスキンケアの基礎から始まり、相談者の悩みに応じたカバーメイク、亡くなられた方へのエンゼルメイクへと段階的に学びます。医療では補いきれない不安や苦しみに、メイクという手段で寄り添う方法を学ぶことで、さまざまな「ケアのあり方」があることを知り、看護に対する視点を広げていくことが、この授業の大きなねらいです。

メイクで人に寄り添う「セラピーメイク」について、一つひとつ丁寧に学ぶことができます
授業では、スキンケアやベースづくりから始まり、色の重ね方や境目をなじませる方法など、あざや傷跡をカバーするための技術を学びます。ただ、倉地先生は「セラピーメイクは、“どれだけきれいに隠せたか”だけで成り立つものではありません」と語ります。例えば同じ傷跡でも、完全に隠したい人もいれば、自分の一部として受け入れたい人もいます。その思いを確かめずに一つのやり方を当てはめてしまうと、自己満足になりかねません。技術を一つひとつ丁寧に学びながら、「人の思い」を考え続ける姿勢の大切さを身につけていきます。

「患者さんを想う気持ちが大事」と語る倉地先生。なぜ目の前の人がメイクを求めているのか、考えを深めます
倉地先生はセラピーメイクを「看護の考え方を広げるきっかけにしてほしい」と話します。医療は「症状を取り除くこと」が目的ですが、人のつらさはそれだけでなくなるとは限りません。メイクのように、気持ちを明るくしたり安心させたりする関わり方も、ケアの一つです。さまざまな選択肢を知っていることが、「目の前で苦しむ人への寄り添い方」を多角的に考えるきっかけになります。宝塚大学には、セラピーメイク以外にも音楽や絵画など芸術を取り入れたさまざまな授業があり、ケアについて考えを広げる出会いが豊富に用意されています。

セラピーメイクの学びを通して、ケアの多様な可能性を知り、看護に対する視野を広げます
セラピーメイクなどの芸術療法を学ぶことは、心に寄り添うための「引き出し」を増やすことに繋がります。看護師として必要な技術・スキルを高めながら、多様な学びに触れる4年間が宝塚大学で待っています。
【教員紹介】
倉地 祐子先生
一般社団法人クラユー・メイクアップ協会 代表理事、ユクラ化粧品オーナー、メイクアップセラピスト。医療機関に10年間在籍。
宝塚大学では、看護とアート「セラピーメイクII」を担当し、「治療では補いきれない心のケア」に気づく学びを展開。倉地先生は「セラピーメイクは手段であって、目的は患者さんの心の負担を軽減すること」と語り、看護師が持つケアの視野を広げる教育を大切にしている。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



