2016年、クラウドファンディングを使って桐のグラスを制作しました。桐たんす業界や、後継者不足に悩む伝統工芸の世界を活気づけるために、話題づくりを狙った企画でしたが、これをメディアが取り上げてくれたのがきっかけで、若い職人に光を当てるプロジェクトに推薦され、グランプリまでとってしまったのです。その後、海外の見本市にも出展するなど、活躍の場は一気に世界へと広がりました。我が子から「お父さん、カッコいい」と言ってもらえたのがうれしかっただけでなく、伝統工芸士を憧れの職業にするという新たな目標まで見つかりました。
入学当初は職人になるつもりはなく、販売するためには作ることも覚えておかないとという感じでした。しかし、TASKの先生方と良い関係を築けたこともあり、また負けず嫌いな性格もあって誰よりも技術の習得に夢中になり、どんどん上達していった気がします。学校にいる時に一番を取るのではなく、社会に出た時にナンバーワンにならなければ意味はない。学生時代から、そして今もそう考えています。だからこそ常に勉強し、新しいことに挑み続けています。
TASKの魅力はなんといっても名匠と呼ばれる先生方です。学生時代、私はずっと先生方をライバルだと思っていました。先生ができるのに、なぜ自分にできないんだと。失敗して落ち込んでいた時に、先生からまったくスケールの違う失敗談を聞かされ、励まされたこともあります。TASKでは、技、精神すべてを学べたと思います。
家具のあずま 代表取締役/伝統工芸学科 木工芸専攻/2007年3月卒/粉河高校(和歌山県)出身。実家が明治時代から続く桐たんす店。4年制大学在学中、家業を継ぐと父親に告げると「どこか修行してきなさい」と一喝され、京都伝統工芸大学校に入学を決める。現在は家業の桐たんす店を継承。