映画にひかれた中学生時代から映像メディアに興味を持ち、大学・大学院では映像論を専攻。複数のカットをつなぎ合わせて用いるモンタージュという映画手法がマンガにも応用されるなど、映画とマンガの表現技法にはつながりがあります。そこで研究分野がマンガにも広がることに。戦前のマンガを調べているうちに挿絵・マンガ家であった北宏二ことキム・ヨンファンを知りました。「韓国マンガの父」とも呼ばれるキム・ヨンファンの研究で社団法人韓国マンガウェブトゥン学会のベストアカデミックアワードを受賞。また、戦前・戦中期における日本統治下の「漫画」研究も行っています。マンガや映画の過去を調べると、学校で習う歴史とはひと味違った社会が見えてくる、今のマンガやアニメの源流がわかる。そこに面白さを感じています。
牛田先生はメディアリテラシーの授業を担当しています。例えばCMで「白い歯」が繰り返し流されると、だんだん「歯は白くないといけない」という強迫観念を持つようになる。授業ではこうした手法が戦前からあることを実際の広告などを見せながら説明します。「メディアが流す情報には刷り込み効果があることを学生に意識させることで、メディアリテラシーの向上につなげたい」と牛田先生。ゼミでは「アイドル」をテーマに選ぶなど、どれも「現代」のメディアで行われている最新情報を学生と共に考えることが意識された授業です。
高校での勉強は学びの基礎になるので、しっかりやっておきましょう。その上で、勉強とは関係なく「趣味」だったものが学びの対象になるのが、大学の面白さ。「好き」を極め、今のメディアを解明していきましょう!
略歴:日本大学大学院芸術学研究科芸術専攻博士後期課程修了 博士(芸術学)。京都芸術大学文明哲学研究所准教授を経て、現職。学生時代から続けている映像学に加え、芸術学からのマンガについて研究をしている。社団法人韓国マンガウェブトゥン学会の秋期国際学術大会理論部門にて「セルフ・ポートレイトとしての『コチュプ』」でベストアカデミックアワードを受賞。