回復期と言って、自宅に戻られたり、復職されたりする手前の時期のリハビリに携わっています。今でも印象に強く残っているのが、初めて担当した患者様。ご自身でズボンの着脱ができず、トイレに行くことが困難だったのですが、ズボンに輪っかを付けたことで着脱が可能になり、在宅復帰を叶えられました。小さなことですが、作業療法の考え方で患者様の希望を実現できた大きな体験でした。以来、作業療法の知識や技術、アイデアなどを駆使することで「出来ないことができるようになる」というリハビリの力を信じて、患者様と向き合っています。患者様の「自分で身の回りのことができるようになった」という言葉は何よりの励みになっています。
患者様が仕事復帰を希望された場合、その仕事にはどんな動作があり、その動作を獲得していくために何が必要かを順序立てて考えていく必要があります。また、もし右手が麻痺しパソコン作業が困難であるなら、左手で作業できる方法を考えたり、道具を用いて解決したり、様々な方向から患者様が「出来る」リハビリを検討します。時には自宅や職場の環境を変えたり、職場に配置転換を提案したりするこも。あらゆる状況に対して幅広い視野からリハビリを検討する難しさはありますが、無限の可能性があるのが作業療法。私たちの柔軟な発想によって難易度の高い状況を変え、患者様の在宅復帰や復職を叶えられる。とてもやりがいのある仕事です!
「患者を見る」「患者を知る」。大阪リハビリテーション専門学校で学んだ2つのことを、今でも大切にしています。たとえば肘を曲げるとき、他の部位に動きはないか、患者様の表情はどうか、肘以外にも患者様の状態を知る情報がたくさんあります。それを見過ごさないために「あらゆる角度から患者様に目を向ける」。そのことを何度も何度も実習中に教えていただきました。さらに、患者様の性格や趣味を知ることで、有効な声かけや、趣味を生かしたリハビリを考えることもできます。大阪リハビリテーション専門学校では作業療法は「見る」「知る」から始まるということを実践のなかでその重要性を学ぶことができた、とても充実した3年間でした。
病院勤務/作業療法学科/2016年3月卒/銀行やバス会社を経て、大阪リハビリテーション専門学校に入学し、作業療法士に転身した。現在は、脳疾患の患者様の脳画像から障害を予測し、リハビリを組み立てる「ニューロリハビリテーション」にも力を入れている。脳画像の分析から電気刺激療法を検討したり、装具の提案を行ったり、最先端の知識や技術を積極的に吸収しながら、より良いリハビリを検討している。「超高齢社会を迎え、脳卒中や脳梗塞などに対するリハビリはますます重要になっています。その中で自分の強みを活かし、患者様の望みを叶え続けていきたいです」と語る。