サイバーテロから社会を守る! 目指せホワイトハッカー
■悪いハッカーからシステムを守るホワイトハッカー
政府や企業のシステムや個人のパソコンに侵入して情報を盗み出したり、ウイルスを仕掛けたりするサイバー犯罪は増える一方。
日本の政府機関への攻撃だけを取り上げても、2013年度は前年度から5倍も増えて508万件(!)に達している。このようなハッカーからの攻撃を防ぐことは国にとっても企業にとっても重要な課題になっている。
そこで注目されている仕事が、悪い「ブラックハッカー」からシステムを守る正義の「ホワイトハッカー」だ。
高度なコンピュータ技術や分析技術を駆使してシステムの弱点を探し、攻撃してくるブラックハッカーに対抗するには、それと同等以上の技術や能力が必要。
そんなスペシャリストであるホワイトハッカーが、今、政府や警察、企業から引く手あまたになっている。
■内閣府が一気に25人のホワイトハッカーを採用
政府は、サイバーテロ対策に取り組む内閣サイバーセキュリティセンターに、2015年度、25人前後のホワイトハッカーを採用すると発表。
2020年の東京五輪開催に向けて、海外からのサイバー攻撃はさらに増えると見られており、政府は人材の確保に力を入れている。情報漏えい問題などがクローズアップされるなか、民間企業もホワイトハッカーの採用には必要だ。
ホワイトハッカーに求められるのは、ブラックハッカーと同じようにシステムの脆弱性を発見して侵入する技術や、コンピュータウイルスなどを解析する技術。
それらを生かして、システムのセキュリティー対策を見直したり、ブラックハッカーの攻撃に対処したり、ウイルス対策ソフトを作ったりすることが役割だ。
■人材育成に乗り出す大学も出てきている
日本はもともと人材の教育・育成がほかの先進国と比べて遅れていたため、ここにきて「ホワイトハッカー不足」が大きな問題になっている。
一部の大学はすでに人材育成に乗り出している。
東京電機大学未来科学部情報メディア学科や慶應義塾大学環境情報学部にはホワイトハッカーを育成する研究室があり、会津大学では2013年から「サイバーセキュリティー人材育成講座」を開設。今後も同様の研究室やコースなどは増えていくと予想される。
他人には簡単にまねできない専門能力を生かして社会のために活躍する──そんな働き方に魅力を感じる人は多いはず。
コンピュータが大好きで、腕に覚えがあるという高校生にとっては、目標になる仕事の一つといえそうだ。