ブラック企業、グレー企業ってなに?
ここ数年、目にしたり耳にしたりする機会が多くなった「ブラック企業」という言葉。「いったいどんな恐ろしい企業なんだろう…」と気になっている高校生もいるのではないだろうか?
「正確な定義があるわけではありませんが、一言でいえば『労働者を使い倒す会社』を指すことが多いですね。労働環境が過酷でどんなに努力をしても働き続けることが難しく、離職率が極端に高い企業などです。こういった企業では、労働時間などに関する法律に違反していたり、採用時の説明と実際の労働条件が大幅に違っていたりするケースも多く、社会的にも問題になっています」(法政大学キャリアデザイン学部/児美川孝一郎教授)
問題はこのような企業が、今、決して珍しくなくなっているということ。不況による競争の激化で企業が人件費の削減を迫られていることなどがその要因だ。
そして、ここに来て「グレー企業」という言葉もクローズアップされつつある。
「悪意があるのがブラック企業だとすると、悪意はないものの、結果として過酷な労働を強いているのがグレー企業。経営状況の悪化から人を減らしたことで1人あたりの仕事量が増え、その状況を改善できない企業も実は非常に多いのです。大手だから大丈夫だとも限りません」(児美川教授)
会社に命じられたことはやらなければいけないという体質が根強い日本の会社はグレー化しやすいのが実情。ブラックでもグレーでもない会社にこだわりすぎると入る会社が見つからないというジレンマもある。
「もし、過酷なだけで先が見えない会社に入ってしまったら辞めてもいいんです。ブラック企業で何年も耐え続け、心身ともに消耗するよりは賢明な選択だと思います。しかし、仕事がキツくてもそれが成長につながったり、やりがいを感じられたりする職場もあります。一番いいのは実際に働いている人の話を聞いてみることですね」(児美川教授)
現実にはブラック企業、グレー企業という言葉やネット上の情報に振り回されてかえって会社選びに苦労している先輩も多い。最終的には自分の目で自分に合った会社を見極めることが大切なのだ。