全ての争いに終止符を! 国連ピースデー【映画で学ぶ!世界の今】
様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。
第8回 全ての争いに終止符を!国連ピースデー
有史以来、人が人を殺さなかった日は一日もないと言われています。特に20世紀以後は武器の破壊力が増し、第一次世界大戦と第二次世界大戦以後では途方もない数の人々が犠牲になりました。そこで、二度と国家間の戦争がないように、国際平和の維持や国際協力を促進するために設立されたのが国連です。しかし、世界大戦規模の戦争は起きていないものの、局地的な戦争や紛争が断続的に続いてしまっていることが現実です。
今も絶えない戦争 アラブの春以降中東では戦争が続いている
最近の紛争では2010年から2012年にかけてアラブ諸国でアラブの春(※)と呼ばれる反政府デモが立て続けに発生し、政権崩壊や内戦へと発展しました。シリアでは反政府デモが引き起こした内戦が発展し、今ではロシアやアメリカなどの大国を巻き込んだ戦争へと状況が悪化しています。
シリアのアラブの春の頃から、内戦に発展するまでを捉えたドキュメンタリー映画が『それでも僕は帰る ~シリア 若者たちが求め続けたふるさと~』です。
シリア西部の都市、ホムスで反政府デモのリーダーとなった青年バセット。彼はもともとシリアサッカーユース代表チームのゴールキーパーでした。平和的なデモをしていた彼らは、やがて武器を手に取り、終わりなき戦争に突き進むことになります。戦争は若者の青春を奪ってしまいます。この映画では、そんな若者たちの姿が映し出されます。
一日だけでも戦争のない日を。ピースデーが国連で制定される。
2001年の国連でピースデーを9月21日にすることが決議されました(※)。この日は、非暴力と休戦の日とされ、2002年以後は9月21日ピースデーに世界各地で平和を祝うイベントが開催されています。
9月21日をピースデーにしようと運動を起こしたのは、イギリスで俳優をしていたジェレミー・ギリです。彼は「なぜ人は殺しあうんだろう。戦争や紛争はなくならないんだろう?」と問い、一日でもいいから、戦争のない日をつくろうと思い立ったのです。国連に乗り込み、ダライ・ラマ法王からも支持を得て、次々と世界の首脳と会い2001年9月7日、ついにピースデーを9月21日とすることを実現します(1981年の国連決議でピースデーは制定されていましたが、日付が決められていませんでした)。
ジェレミー・ギリの奮闘を追ったドキュメンタリー映画が『ザ・デイ・アフター・ピース』です。
ピースデーに皆さんは何をしますか?日本では毎年ピースデーに合わせて横浜で平和がテーマの映像の祭典、国際平和映像祭(UFPFF)が開催されています。平和をテーマにした映像作品の上映やトークショー、音楽ライブが予定されています。参加してみてはいかがでしょうか?
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