水が足りない!人類が直面する水問題とは?【映画で学ぶ!世界の今】
様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。
第9回 水が足りない!人類が直面する水問題とは?
今、世界では水不足が深刻な問題となっています。世界情勢の改善に取り組む世界経済フォーラムは、水不足問題を気候変動やテロリズムと並ぶ世界3大問題としています。最近の調査では世界人口の約66%の40億人が、1年のうち1ヶ月以上も安全な水を得られずに暮らしていると報告されていて、従来考えられていたよりも問題が深刻なことが分かりました(※1)。水不足の原因は何でしょうか? 気候変動、人口増、河川の汚染など様々な原因が考えられますが、一番大きな原因は人口増と経済発展による水需要の伸びだという指摘があります(※2)。人間は水がなければ生きていけませんし、水がなければ食糧を得ることができません。世界人口の過半数が直面する水不足は、現在人類が直面する最も大きな問題の一つとなのです。
※1 2016年5月14日「世界の水不足は、予想されていた以上に深刻だった」ハフィントン・ポスト
※2 「温暖化の影響 Q1 世界の水不足、原因は温暖化?」地球環境研究センター
インドの「母なる川」ガンジス川の汚染が深刻
ガンジス川で祈る人々 映画『ELEMENTAL』より
水不足が世界で深刻化するなか、インドでは水質汚染によって清潔な水の確保が問題化しています。なかでも5億人以上に水を供給するインド最大の河川、ガンジス川の汚染が深刻です(※3)。ガンジス川といえば、インド北部のヒマラヤ山脈を源流にインド北部を全長2525kmもの距離を流れる大河でインドでは信仰の対象とされ、「聖なる川」「母なる川」と大切にされている川です。ヒンドゥー教の聖地がガンジス川流域には多数あり、多くの巡礼者がこの川で沐浴を行っています。しかし、近年インドが著しい経済成長を遂げる反面、「母なる川」ガンジス川が下水、工場排水や農薬が流れこむことにより汚染され、2007年には世界で最も汚染された5つの河川となりました(※4)。
※3 「Pollution of the Ganges」Wikipedia
ドキュメンタリー映画『ELEMENTAL』には、そんなガンジス川の汚染を嘆き、ガンジス川の美しさを取り戻すために行動する「水のガンジー」「ウォーターマン」と讃えられるインドの著名な活動家のラジェンドラ・シンなどの活動を紹介します。
ラジェンドラ・シンは、酸、クロム、鉛などの物質が川に流れ込んでいることを知り、工場を閉鎖させるなどの成果を生み出します。しかしそれでは十分とはいえません。最近では、インドのモディ首相が対策のために約10億ドルを投じることを発表するなどしていますが、今日もガンジス川の汚染は深刻なままです(※5)。
※5 2016年6月30日「雨は解決策にならない? 飲料水危機に直面するインド」AFPBB News
水不足問題の画期的な解決方法?空気から水を作る装置がエチオピアに登場
人口増加や気候変動、そして水質汚染によって足りなくなっていく飲料水。海水を飲料水に変える技術など、画期的な技術がすでに実用化されていますが、問題は導入に多額の資金を必要とすることです。経済的に資金力のない国では、技術があっても導入することができません。
そんな悩みを解決するかのように「Warka Water」という空気から水を作るシステムをアルトゥロ・ヴィットリ氏というデザイナーが考案しました。エチオピアであれば約1
Warka Water 5.0: Every Drop Counts from Architecture and Vision on Vimeo.
「Warka Water」のプロトタイプはすでにエチオピアで完成し、2016年末にはインドにも設置される予定です。社会課題を解決する技術がどんどんと生み出され、広がるといいですね!
バックナンバー