G型とL型って? 大学も人材もこれからは二極化が進んでいく!?
■大学の国際化をリードする「スーパーグローバル大学」
今、日本の大学は大きく変わろうとしている。例えば、文部科学省が2014年に東京大学、京都大学、慶應義塾大学など37大学を選出した「スーパーグローバル大学」は象徴的な取り組みの一つ。
グローバルに通用する人材の育成や、大学そのものの国際競争力強化を目指して、中には「学生全員に留学を経験させる」といった大胆な目標を掲げている大学もある。
「なるほど、グローバル化の時代だもんな」と、ここまでは高校生にも比較的わかりやすい動きかもしれない。しかし、日本のすべての大学がグローバル化に向かっていけばいいのかというと、そう単純な話でもないのだ。
■「グローバル」だけでなく「ローカル」も重要に!
そこで注目したいのが、「G型大学・L型大学」の議論。2014年の秋、文部科学省の有識者会議で株式会社経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が提案したもので、ネットやマスコミでも大きな話題になった。
冨山氏は、日本の企業も、自動車、電機・機械、情報・ITなど、グローバルに事業を展開するG企業と、交通・物流、飲食・宿泊・小売(対面販売)、医療・介護・保育など、地域を支えるL企業に分けて考えている。
G型の「G」は「グローバル」を指している。世界のトップクラスの大学と互角の教育水準、教育環境を提供してグローバル人材を育てていく大学がG型大学。冒頭で触れたスーパーグローバル大学が目指しているのがまさにこれ。
それに対して、L型の「L」は「ローカル」の意味。こちらは地域経済の発展に貢献する人材の育てるために、例えば、簿記や工作機械の使い方など、仕事に直結する教育に取り組む大学というイメージだ。
■「大学は職業訓練校じゃない」という反論も
今は、グローバル教育と職業訓練的な教育の両方を追いかけている大学が多いが、G型・L型それぞれの役割をはっきり分けるべきというのがこの提案のポイント。そのため、特にL型に関しては「大学は職業訓練校じゃない」「アカデミックな教育も必要」という反論も出ている。
しかし、現実的にこれからの日本の経済を考えた場合、冨山氏の提案に説得力があるという意見もある。
■キミが目指すのはグローバル人材? 地域を支える人材?
G企業には優秀なグローバル人材が求められるが、必要なのは数より質。今後も少数精鋭化が進んでいくと見られている。一方、L企業は数が求められるのに、少子化の影響で人手不足。現実に日本のGDPの7割はL企業が支えていることを考えると、「L型人材」を育てることも非常に大事なのだ。
もちろん、「G型大学・L型大学」は、今の段階では一つの提案にすぎないので、今後大学がそのように二極分化していくかどうかはまだわからない。ただし、少子化で受験生の数が年々減っていくなかで、各大学が特色を打ち出していく必要に迫られているのも事実。冨山氏の提案に近いかたちで大学が変わって行く可能性は決して小さくはない。
いずれにしても、高校生にとって、進学先を検討する際、自分が目指す働き方をイメージすることは、より大切になっていくはず。「G型」「L型」──これからの進路選択にかかわるキーワードとして頭に入れておいたほうがよさそうだ。
★★★大学・短大についてもっと知りたい人はコチラ!★★★