「第6次産業化」で大変身!日本の農業の今

2011年から「週刊少年サンデー」に連載されている「銀の匙~Silver Spoon~」という漫画が、現在コミックス累計販売数650万部を超える大ヒットを記録している。舞台は農業学校。ズバリ「農業」をテーマにしたストーリーが人気を呼んでいる。

 

実は今、大学でも農業が熱い。

例えば、2013年4月に新設される、吉備国際大学の地域創成農学部はその一例だ。

コンセプトは「農業の第6次産業化を推進し、地域の活性化や地域創成に貢献する人材を育てること」だという。

 

「農業の第6次産業化」とは何だろうか?
2009年に施行された改正農地法によって、農地を借りれば企業やNPO法人などの一般法人が、全国どこでも農業を始められるようになった。これによってイトーヨーカ堂やサイゼリヤなどの流通・飲食系の企業が農業に参入。キャベツ、ブロッコリー、レタス小松菜などの野菜を育て、自社の店舗で消費者に提供するようになった。

 

一方、農家は「白いいちご」「おにぎりにするとおいしいお米」など、価値の高い農産物を作ったり、ジャムやプリンなどの加工品を次々と開発。自慢の商品を自ら通信販売したり、地元の道の駅で販売したりするケースが増えている。

 

つまり農産物をめぐっては、第1次産業、第2次産業、第3次産業をひとつの組織が一貫して行う動きがあり、「1+2+3=6」で第6次産業という新しい言葉が生まれているのだ。

 

吉備国際大学ではこうした動きに対応し、第1次産業の農学、第2次産業の栄養学・食品化学、第3次産業の経済・経営学を学び、さらに地域産業を盛り上げるために必要な社会学や政治学まで学ぶ。その一方で淡路島のキャンパスで行われる農業実習を始め、豊富な実習で実践的な農業技術も身につけられるという。

 

龍谷大学も2015年に農学部を新設予定だ。農産物の生産流通栽培技術、環境保全型農業などについて学び、例えば地域全体を元気にするような農業経営者を育てたいという。

 

明治大学では2012年4月に「明治大学黒川農場」を開設した。ここで最先端技術を活用した野菜生産システム、有機農法、食品加工技術などを学べるとあって、志望者は増えている。

 

農業に縁のない家庭で育っても、大学などで農業を学び、農業の世界に挑戦する若者もいる。そんな若者たちの姿は、明るいエネルギーでいっぱいだ。農業はいつのまにか、とても目新しい業界に変わりつつあるのかもしれない。