実は日本より欧米のほうが学歴社会!?

「日本は学歴社会で、欧米は実力社会」。

 

こんなイメージをもっている高校生もひょっとしたら多いかもしれない。実際、日本では「いい会社に入るためには偏差値の高い大学に行かないといけない」という考え方が昔から根強くある。一方、海外のことはよくわからないということもあり、社会人でも同じような先入観がある人は少なくない。

 

しかし、グローバルな環境で働いた経験がある社会人に聞くと、実は「いやいや欧米のほうが学歴社会だよ」という答えが返ってくることがよくあるのだ。

 

というのも、欧米の企業で働くエリート層は大学院修士以上の学位をもっているのが一般的だから。日本でも理系の研究職や技術職だと修士は珍しくないが、企画職など文系の職種だと大卒が主流。それに対して、欧米では文系職種でも経営学修士(MBA)などの学位をもっていることが多い。

 

日本IBM出身で欧米企業の事情に詳しい、立教大学 経営学部 国際経営学科の尾崎俊哉教授に話を聞いてみた。

 

「その背景には日本と欧米との就職システムの違いがあります。例えばアメリカでも大学卒業後に就職はしますが、最初の就職は自分のやりたいことを見極めるためのお試し期間という意味合いが強い。インターンで経験を積む場合もあります。一流企業をねらう層は、その後に大学院に進学し、学歴+経験を武器に本命の企業をねらうのです」

 

日本の企業は採用してから人を育てていくが、海外の企業は即戦力としての採用が一般的。そのため、採用時に大学院修了レベルの高度な専門性が求められるというわけだ。

 

また、日本の場合は、「学歴」というと大学のブランドが重視されることが多いが、欧米の場合は、大事なのはむしろ学位と学んだ内容(その次にブランド)。

 

入社の際には、プロフェッショナルとして必要な専門性を備えているかどうかを学位で判断される。その意味でなら、確かに欧米のほうが学歴社会という言い方はできそうだ。ただし、尾崎教授によれば、「入ってしまえば実力社会」とのこと。

 

ちなみに、国連機関をはじめとする国際機関の採用も即戦力が基本なので、大学院修士以上の学歴はほぼ必須とされている。将来、海外企業や国際機関で働きたいと考えている高校生はこの点をしっかり頭に入れておこう。