看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方【例文付き】OK・NG例のポイントを解説!

看護系大学・専門学校の「志望理由書」とは、「看護師の志望動機」「この学校を選んだ理由」「看護師としての将来像」などを言語化したもの。

看護系大学・専門学校の入学試験では、この「志望理由書」が重視される。

それは、受験生が将来の医療現場で働ける人物か、医療と向き合う意思をもっているのか、などを学校側が判断するための重要な書類になるからだ。

とはいえ、何をどう書いたら良いのか、何を書いてはいけないのかわからずに、悩んでいる人もいるかもしれない。

今回は、数多くの受験生を合格に導いてきた、KDG看護予備校代表の松山先生に、志望理由書の書き方と手順を聞いた。

今回教えてくれたのは…
松山祐己先生
看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

KDG看護予備校・代表。
病院・医院向け人材コンサルティング会社に入社し、看護師のキャリアカウンセラーとして、数多くの看護学生、看護師のキャリア相談に携わる。
2012年4月に【勉強が苦手な方の大逆転合格】を掲げて、KDG看護予備校を設立。
以降、数多くの現役生・浪人生・社会人の看護受験指導を行う。
YouTubeの『KDG看護予備校チャンネル』にて、看護受験生向け、看護学生向けに動画授業を配信中。
チャンネル登録者数1万7000人(2021年12月現在)。
著書『勉強が苦手な高校生・社会人が看護専門学校・看護大学に合格する方法』(合同フォレスト)

看護系大学・専門学校入試の志望理由書とは?

看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

※看護系の学校を目指すなら志望理由書は必須

看護系大学と専門学校入試の志望理由書とは「看護師を志望したきっかけ」「なぜこの学校を選んだのか」「看護師としてどのように活躍したいか」などを、受験生が自分の言葉で書くもの。

一般選抜と学校推薦型選抜の、ほぼどちらでも提出を求められると考えてよいだろう。

面接がある場合も、志望理由書は必要だ。
志望理由書に記載する項目については、学校によってそれぞれで、決まった形式があるわけではありません。

さらに、学校志望理由だけでなく、看護師志望理由を求める学校もあります。

それだけ、志望理由書が重要とされているということです。

看護系大学・専門学校入試には志望理由書は必須!と考えて取り組みましょう。

看護系大学・専門学校入試の志望理由書の書き方の手順

 入試に志望理由書ありきといって、いきなり書き始めてもうまくいかない。
まずは、自分がなぜ看護師になりたいのか、なぜこの学校に行きたいと思ったのかを正しく伝えるために、万全の準備で取り組みましょう。

STEP1:願書・パンフレットを入手する

何はともあれ、希望する学校の願書やパンフレットを入手して、試験の概要や必要な書類、面接や志望理由書の有無を確認しよう。
できればその前に、オープンキャンパスなどで学校の雰囲気も体験すると良いでしょう。

実際に学校を見ることで学生の様子を知ることができます。

さらに、教員の話を聞くことで、パンフレットには書かれていない、学校が重視している教育の特徴やポイントを知ることが可能です。

志望理由書は、その学校によって記入する項目や重視するポイントが違います。

なぜこの学校を志望するのかの問いに、思いを言語化して伝えるためにも、早めの情報収集に取り組みましょう。

 

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STEP2:看護師志望理由を書くためのネタを仕入れる

看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

※高校生でも参加できる看護体験もある。積極的に参加しよう

看護師を目指そうと考えるのなら、看護師志望理由書を書くためのネタ探しはできれば高校1年生などできるだけ早い段階から始めてほしい。
ネタは、なんといっても「体験」です。

学校によっては看護体験を実施している場合もあります。

実際に看護を体験することで、なぜ自分が看護師を目指すのか、看護師になって何を実現したいのかを問い直すきっかけになるでしょう。

看護体験では看護師の仕事の内容はもちろん、看護師を志望する理由として何を重要視しているのか、そのポイントを知ることができます。

この体験は、看護師になる理由を組み立てる下準備として大きいものです。

行きたい学校で看護体験をしていなくても、病院で実施している場合もあるので参加したいところです。

看護体験を行っている都道府県や病院は、「公益社団法人日本看護協会」のホームページで確認できます。

また、医療に関する書籍を読んでみるのも良いでしょう。

ドキュメンタリーや思いをつづったエッセイなどからも、刺激になる言葉や文章をみつけることができます。
準備のための体験や行動は早ければ早いほど、自分の考えを客観視できる。

考えをまとめて言語化することが可能だ。

STEP3:下書きする

いざ書いてみると、言葉が出なくて悩んでしまうことも。

しかし、オープンキャンパスでの先輩たちの様子や教員の話、読んだ本で印象に残った文章や言葉を思い出してみよう。

STEP4:先生などに添削してもらう

看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

※アドバイスを受けて書き直すことで説得力のある志望理由書に

下書きが仕上がったら、添削してもらおう。

自分が読めばわかることも、他人にはわからないことがある。

自己分析が曖昧なところもあるだろう。
添削は、進路担当の先生や、看護系予備校の講師などにお願いしましょう。

アドバイスに沿って何度も修正します。

この作業を怠っていけません。

悔いのない志望理由書を作成できるようにしましょう。

STEP5:清書する

修正点がなくなり文章がまとまったら、いよいよ清書だ。

誤字・脱字に注意し、ていねいに、思いを込めて書こう。

★看護学とはどんな学問?研究内容や学び方を知る

 

看護系大学・専門学校入試の志望理由書の書き方のポイント

学校志望理由でも看護師志望理由でも、よっぽど公序良俗に反することでなければ基本的にNGなものはありません。

しかし、数多く提出される志望理由書の中で光るには、やはりポイントを抑えて伝わりやすく書くことが重要です。

【ポイント1】看護師になりたいと思ったきっかけを書こう

学校側は、看護師を希望したきっかけから、看護師の素質や本気度をみる傾向にあります。

「入院した先の看護師さんがすてきだったから」だけでは弱く、もう一歩踏み込みたいところです。

体験やエピソードなどを交えて具体的に書くことで説得力が増し、共感を得られやすくなります。

熱意も伝わるはずです。

【ポイント2】そのきっかけを通じて感じたことを書こう

 きっかけとなるできごとに対して何を感じたのかを具体的に書こう。

表面には出てこない苦労や、笑顔の裏にある葛藤など、看護体験や書籍を読むことで見えてくるはずだ。
驚き感じたことを言語化しましょう。

面接で聞かれたときにも、自分の言葉として話すことができるようになるでしょう。

【ポイント3】看護師の魅力を書こう

ポイント1と2から導き出される、自分が感じた看護師の魅力を書こう。

看護師の仕事のどこに魅力を感じ、自分が何を実践したいのかを具体的に書くことが重要だ。

【ポイント4】学校で何を学びたいのかを書こう

 学校志望理由の場合、なぜその学校に入学したいのかの理由を具体的に説明する必要がある。
「明るい雰囲気が良いと思った」だけでは、明るい雰囲の学校はほかにもあるだろうということになりかねません。

学校の特色や求めている学生像は様々です。

例えば、「海外など幅広いフィールドで活躍できる看護師を育成したい」と考えている学校もあれば、「海外などもってのほか。卒後は必ずその地域で勤務してくれる看護師を育成したい」と考えている学校もあるわけです。

海外研修の有無などという単純な話ではなく、「なぜその学校は存在しているのか」「その学校が求めている人物像はどのようなものか」「それに基づいたその学校の特徴は何か」を深堀りすると、的外れな学校志望理由を作成することは避けられるでしょう。

その学校にしかない魅力や理由を具体的に書きましょう。
★看護学とはどんな学問?研究内容や学び方を知る

 

看護系大学・専門学校入試の看護師志望理由の例文

看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

※看護師になりたいと感じたきっかけを思い出してみよう

では具体的に、松山祐己先生による志望理由書の良い例と悪い例をみてみよう。

志望理由書を書く前の確認事項 

看護師志望理由は、
 
Step1 看護師になりたいと思ったきっかけ
Step2 そのきっかけを通じて感じたこと
Step3 看護師の魅力

 
の3ステップで書くことが重要です。

学校によって志望理由を書くスペースは違いますが、スペースの9割は埋まっているようにしましょう。

そして、志望理由書は「これで問題ないかな?」と何度も見直すことが重要です。

今回は、志望理由書をさらにアップグレードしていくためのコツをお伝えします。

高校生Aさんの志望理由書【NG例文】

【NG例文】

私が看護師を志望するきっかけとなったのは、高校2年生の春に看護体験に参加したことです。

看護体験では、実際の看護師の仕事を間近で見て、少しの手伝いをする機会をいただきました。

看護師が患者に対して声をかけるなど優しく接しており、看護師にケアをされている患者の笑顔が印象的でした。

患者に寄り添い、心身のサポートをする看護師の仕事に魅力を感じ志望いたしました。

改善ポイントと【OK例文】

改善ポイント①:看護体験の内容は具体的に!

看護体験はどのようなプログラムだったのか、実際に何を行ったのかを文章化しましょう。

例えば

・看護体験はどのようなプログラム?
→患者の清拭や食事介助を主としたプログラム

・実際に何を行った?
→看護師の患者への清拭や食事介助を見学し、少しの手伝いをさせていただききました。

などと書くと良いでしょう。

改善ポイント②:目前で見た看護師のケアを具体的に!

看護師志望理由では、看護師が登場する場面があります。

どんな場面であっても、「看護師が行うケア内容」を具体的に書くことは重要です。

例えば
・食事介助に着目
→患者の様子を観察している+食事のスピードや食べる順番、スプーンに乗せる量を患者ごとに調整している。

また少し発展させて、食事介助がどのような意味をもつのかを考えてみましょう。

・患者にとって、口から食べることは入院生活の楽しみにも繋がり、同時に不適切な食事介助を続けると誤嚥性肺炎などのリスクがある。
→何気ない毎日の食事介助にも、知識とケアの技術が必要だと知った。

改善ポイント③:看護師の魅力も具体的に!

「患者に寄り添う」だけでは、表現がやや抽象的すぎます。

看護師の仕事内容をもう少し具体的に深めましょう。

・患者の入院生活の苦痛を取り除きながら安全を守れるよう、個々の患者に合わせた看護ケアを提供できる看護師の仕事に魅力を感じ…

この3つを直すと、以下のような志望理由書になります。
【OK例文】

私が看護師を志望するきっかけとなったのは、高校2年生の春に看護体験に参加したことです。

そこでは、看護師の患者への清拭や食事介助を見学し、少しの手伝いをさせていただきました。

食事介助一つとっても、看護師が個々の患者に合わせて、食事のスピードや食べる順番、スプーンに乗せる量を調整していることを知り、大変驚きました。

患者にとって、口から食べることは入院生活の楽しみにも繋がり、同時に不適切な食事介助を続けると誤嚥性肺炎などのリスクがあることも知りました。

私は、患者の入院生活の苦痛を取り除きながら安全を守れるよう、個々の患者に合わせた看護ケアを提供できる看護師の仕事に魅力を感じ、志望いたしました。
看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

確かな知識とケアの技術があるからこその看護師の笑顔

高校生Bさんの志望理由書【NG例文】

Aさんのように直接、具体的な看護ケアの場面を見たことがない場合を想定しています。

最低限以下の修正ポイントを押さえて書きましょう!
【NG例文】

私が看護師を志望したのは、おばあちゃんの入院中に出会った看護師がきっかけです。

おばあちゃんが突然入院したこともあり、私たち家族は不安な思いを感じていました。

その際、看護師の方がおばあちゃんの体調についてわかりやすく説明してもらい、さらに私たちの不安についてもていねいに話を聞いてくださいました。

この経験を通じて私は、患者と家族の心を直すことができる看護師という仕事に魅力を感じました。

もちろん看護師というのは、患者の命を預かる仕事ですから、大変なことも多いと聞いています。

それでも、あの時お世話になった看護師のように多くの患者と家族を救いたいと思い、看護師になることを決意いたしました。

改善ポイントと【OK例文】

改善ポイント①:正しい言葉を使おう
 
医療に携わるものとして、医学に関連する言葉は今から正確に使えるようにしておきたいところです。

また、日本語として違和感がある表現についても、目を光らせておく必要があります。

この文章でいうと

・思いを感じていました→思いを抱えていました
・心を直す→心を癒す


と修正する必要があります。

改善ポイント②:書き言葉を使おう

志望理由書では話し言葉を使わないのが鉄則です。

この文章でいうと

・おばあちゃん→私の祖母
・説明してもらい→説明してくださり


と修正します。

改善ポイント③:読み手の印象を考えよう

「この志望理由の生徒を、看護学校に入れたいか?」と採点官の視点に立って文章をみてみましょう。

看護師の魅力と大変さの両方についてしっかり書かれていますが、「看護師の仕事は心のケアだけ?」「それだったら公認心理士などのカウンセラーになったほうが良いのでは?」と採点官は感じるかもしれません。

そのため、「心と身体の両方のケアを看護師が行う」という点を強調した書き方に修正すると良いでしょう。

この3つのポイントを考慮して書き直すと、以下のような志望理由書になります。
【OK例文】

私が看護師を志望したのは、私の祖母の入院中に出会った看護師がきっかけです。

祖母が突然入院したこともあり、私たち家族は不安な思いを抱えていました。

その際、看護師の方が祖母の体調についてわかりやすく説明してくださり、さらに私たちの不安についてもていねいに話を聞いてくださいました。

この経験を通じて私は、患者の身体のケアだけでなく、患者と家族の心を癒すことができる看護師という仕事に魅力を感じました。

もちろん看護師というのは、患者の命を預かる仕事ですから、大変なことも多いとうかがっています。

それでも、私は専門職としての知識と技術をもち、不安や苦痛を抱える患者や患者家族の最も身近で支援を行う看護師になりたいと考え、志望を決意しました。
★看護学とはどんな学問?研究内容や学び方を知る

 

看護系大学・専門学校入試志望理由書Q&A

看護系大学・専門学校の志望理由書の書き方。手順とポイントとは?模範解答ダメ答案例文付き

※看護師になってからの未来予想図を描いて取り組もう

このほか、志望理由書を書く際に出て来る疑問について、松山先生に質問してみた。

大学と専門学校で志望理由書は変わりますか?

大学と専門学校による違いはほぼないと考えてよいでしょう。

その違いよりも、各大学・専門学校によるほうが大きいですね。

学校によって違いますので、やはりその学校に関してよく調べておくことが大切です。

オープンキャンパスに参加したり、資料を取り寄せたりして情報収集しましょう。

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読んでおいたほうが良い書籍などはありますか?

志望理由書の書き方という本は、どちらかというと読まない方が良いかもしれません。

読み過ぎると、どうしても同じような志望理由書になりがちです。

看護師の仕事を知りたいという点でいうと、「その先の看護を変える気づき 学びつづけるナースたち」(編集:柳田邦男 他、医学書院)のような、現場のレポートやドキュメンタリーなどを読んでおくと、志望理由書を書く際にも具体例を出しやすいでしょう。

熱意は伝えたほうが良いのでしょうか?

熱意を伝えようと力み過ぎると空回りしてしまいます。

淡々と書くほうが良いでしょう。

例えば、熱意のあまり「自己犠牲」が前面に出てしまうと、卒業後看護師になったとしても長続きしないのではないかと思われてしまうかもしれません。

燃え尽き症候群予備軍と懸念されてしまうのです。

熱意は、決してプラスに評価されるだけではありません。

今感じていることを背伸びせずに、正直に淡々と、ポイントを抑えて書きましょう。

志望理由書の良い例の文章をコピペしたらバレますか?

結論だけいうと、バレないかもしれません。

しかし、参考書やネットにある良い文例をコピペしても、自分のものにはなっていません。

体験に基づいた自分の感情ではないからです。

これは、面接で必ず見抜かれてしまいます。

また、自分の考えを言語化して文章にする練習は、やっておいたほうが入学後役立ちます。

というのは、看護学生はものすごい数のレポート提出を求められます。

勉強して研修して、家に帰ってレポートを書くという生活が続くため、文章化する訓練をしていないと大変です。

自分の考えを整理して文章にする。

志望理由書はこの練習だと思って、トライしてください。

松山先生から高校生のみんなにエール

志望理由書は何回も書き直すことで、より魅力的なものになっていきます。

家族や先生など、第三者の視点で志望理由書にアドバイスをもらってもいいかもしれませんね。

また、私の著書「勉強が苦手な高校生・社会人が看護専門学校・看護大学に合格する方法」(合同フォレスト)では、志望理由の書き方のポイントのほか、小論文や面接対策、勉強法など、看護専門学校・看護大学に合格するための対策を紹介しています。

高校生のみなさんにも、大いに参考となる本です。

合格目指して頑張っていきましょう!
看護大学・専門学校の志望理由書は、医療に携わる職業を目指す者として、一歩踏み込んだ理由を書くことが重要だ。

まずは情報収集、そして体験。

得た知識や思いをていねいに素直に文章にしよう。

看護師を目指すと決めたときが、合格へのスタートだ。

 


 

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取材・文/櫻庭由紀子 監修/松山祐己 構成/寺崎彩乃(本誌)


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