専門塾代表がアドバイスする、AO入試受験の心構え
大学の推薦入試は11月ごろから、一般入試は年明けから実施されるのが基本だ。これらに先駆け、AO入試は7月ごろからエントリー受付を開始する大学も少なくない。スタートを目前に、AO入試について基本情報と心構えをおさえておこう。
AO入試は、大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて受験生の総合的な人物評価を行う入試方法。
学力では測れない適性や意欲、興味・関心などを総合的にみるため、志望理由・自己PRなどの「書類審査」や「面接」、「小論文」などを組み合わせ、大学ごとにさまざまな内容で実施される。
学力試験がない場合が多いが、最近は大学生の学力低下を問題視する声があり、学業成績基準を新たに設けたり基準を上げたりする大学、基礎学力を測るためにセンター試験を課す大学、入学までの期間に課題を出す入学前教育を行う大学などが増加。「学力試験が不要」というわけではないので注意しよう。
しかしながら、求められる心構えは、勉強量がものをいう一般入試とは違ってくる。AO入試対策専門塾「AO義塾」代表を務める斎木陽平さんは、AO入試を「自分自身をみつめるチャンス」という。
「AO入試では、これまで自分がどう生きてきたかという総決算と、今後どう生きていくかという人生設計が求められます。これは誰もが仕事に就くまでに一度は突きつけられること。これを機会にじっくり自分の将来について考えみてほしいですね」(斎木代表)
同塾の受験生は、AO入試で提出する志望理由書作成をきっかけに、最初はぼんやりとした将来の目標についてじっくり考え、自ら行動を起こす。その過程では、思うようにいかず涙を流すことも。トライ&エラーを繰り返し、自分のやりたいことを具体化していくという。
例えば、漠然と政治家になることを夢みていた、昨年度のある受験生。なぜ自分は政治に興味があるのか、政治家になって何をやりたいのかを考えるなか、今すぐできることもあると気づき、高校生を集めて国会議員と議論するイベントを企画・開催。将来への希望をより強く具体的にもつようになり、AO入試で希望の大学の法学部に合格した。
写真=一人ひとりの志望理由書について参加者が意見交換する、AO義塾の授業の様子
「AO入試では、自分で問題発見して自分で問題解決する力が問われます。入試対策を行うなかでそうした力が鍛えられ、人間として大きく成長する受験生がたくさんいます。長い自分の人生のために、AO入試の機会を利用するぐらいのつもりで臨んでほしいですね」(斎木代表)
自分自身の可能性を引き出すことにもつながるAO入試。積極的に挑戦することで、大学合格だけでなく、輝く将来も引き寄せてほしい。