卒論テーマはBiSHとしての自分自身!モモコグミカンパニーさんにインタビュー!【前編】
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのモモコグミカンパニーさんは、学生とBiSHでの活動を両立させながら、多くの楽曲で歌詞を手がけてきた。卒業論文ではBiSHについて書き、恩師の授業でその卒論が使われたという。
そんなモモコグミカンパニーさんに、どんな学生生活を送ってきたのか、BiSHでの作詞に対する思いについてインタビュー!
【前編】では、高校時代からBiSHとして活動を始めるまでについて聞いてみた。
モモコグミカンパニー
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。
結成時からのメンバーで最も多くの楽曲で歌詞を手がける。
読書や言葉を愛し、独特の世界観をもつ彼女が書く歌詞は、圧倒的な支持を集め、作詞家として業界の評価も高い。
2018年3月に初の著書『目を合わせるということ』を上梓。
2020年7月現在第14刷と異例のベストセラー。
BiSHは、アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・D からなる“楽器を持たないパンクバンド”。
2015年3月に結成。5月にインディーズデビュー。2016年5月avex traxよりメジャーデビュー。
横浜アリーナや幕張メッセ展示場、大阪城ホールなどでワンマンライブを開催し、ロックフェスにも多数出演。
2020年7月8日には、ライブハウス、CDショップ支援を目的とした初のベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』、7月22日にはメジャー3.5thアルバム『LETTERS』を発売。
https://www.bish.tokyo/
高校時代から作詞をしたいと夢みていた
作詞家として評価が高く、エッセイ本『目を合わせるということ』がベストセラーになっているモモコグミカンパニーさん。
高校時代から文章を書くのが得意だったの?
特に作文が大嫌い。自分だけのノートに歌詞とかを自由に書くことは大好きですけど、『このテーマで書け』と決められて、先生に提出するための文章を書くのがすごく苦手だったんですよ。
しかも、それに点数までつけられるのがイヤ。
文系っぽいんですけど、実は理系でしたね。
高校時代は、スピッツ、SUPERCAR、YUIをよく聴いていて、好きな歌詞をノートに書き写していました。
あとアイドルも好き。アイドルの女の子たちというよりは、アイドルの曲、特に秋元康さんの歌詞が好きでした。
ちょっとツライことがあると、好きな曲の歌詞に救われることが多かったですね。
音楽を聴いて、歌詞を書いたり、文章を書いたり。そのころから作詞をしたいという夢はありました。
でも、そんなことできるわけがない、夢のまた夢だな、と思っていたんです」
中学のときは吹奏楽部だったので、高校では全然違うことをやりたくて。
運動神経がよくないので、サッカーはちっともうまくなりませんでしたね(笑)。
あまりにヘタすぎて、何回も辞めようかと悩みました。
でも、女子サッカー部のメンバーが大好きで、ずっと楽しかったから、このチームの一員でいたいという思いで、3年間頑張って続けました」
「何をやるか」よりも「誰とやるか」が大切
どんな高校生活だった?
私はここに来たかったわけじゃない、みたいな、変な強がりがあって(笑)。
でも、高校1年生の夏、心から親友だと思える友達ができて、毎日が楽しくなり、考え方が変わっていきました。
女子サッカー部でも、今でも、私にとっては、自分がやっていること以上に『人』がすごく大切。
もし第一志望の高校に合格していたら、その親友に出会えていなかったので、この高校でよかったと心から思っています。
まじめに授業を受けて、放課後は友達と学校の近くのショッピングセンターの地下街で何か食べたりするような、普通の高校生活でした。
ただ、すごく自由な校風の高校なので、みんな個性的で、私も変なのがバレないくらい(笑)。
BiSHもそうですけど、『みんな違ってみんないい』みたいな環境がすごく好きなので、高校は、とても居心地のよい場所でした
将来、何がやりたかったの?
エンターテインメント系が好きなので、冗談で、将来は芸人になりたいとか言っていましたが、実は、いったい自分は何になるんだろう、と、すごくモヤモヤしていたんです。
進学先も、就職先も、全然希望がなくて悩んでいましたが、結局、決まらないまま。
帰国子女が多い高校なので、留学したいとか、ここの大学へ行きたいとか、みんなは明確な目標をもっていて、余計にまわりとの違いを感じて焦っていました。
私は留学する気はないし、特に行きたい大学もないな。
でも、将来やりたいことはよくわからないけど、大学へ行かずにフラフラしているよりは、大学へ行ってフラフラしたほうがいいんじゃないかな(笑)って思い、大学に進学しました」
本当にやりたいと思ったのは言葉にかかわる仕事
大学では、何を学んだの?
3~4年生で選んだ専攻は『メディア・コミュニケーション・文化』。自分が将来何をするかわからないにしても、興味のあることにアンテナを張っておこうと考えていたんです」
大学よりも、映画館やアミューズメント施設でのアルバイトのほうが楽しかったですね。
いろいろな人がいる雑多な場所にいるのが好き。
人と接するのはあんまり好きじゃないんですけど(笑)。
ひとりでいるのもすごく好きだけど、いろいろな人がいる中にポツンといるのも好きで、そういうアルバイト先が居心地よかったんです」
本音を言うと、就職したくなかった。
自分は、ちゃんと就職して、ちゃんと働くことができない気がして、自信がなかったんですよ。
人から、こうしろ、ああしろ、と言われるのが苦手で、自分の性格に合う会社なんてないんだろうなって。
自分に合う会社を探してみようという考えにも至らなかったんです。
ひとつだけ、本当にやりたいと思ったのが、言葉にかかわる仕事。
私は、思ったことを自由に書くことができる場所を探していたのかもしれません。
コピーライターになった先輩の話を聞いて、そういう職業にもあこがれましたが、そこまで言葉のプロにはなれないから自分には無理だろうな、って思っていました」
受かるつもりのなかったオーディションに合格!?
BiSHのオーディションを受けた理由は?
大学では、私のまわりには芸能界に興味ありそうな子が全然いなくて。
でも、アイドルのオーディションって、毎回すごい倍率じゃないですか。どうしてそんなにたくさんの人が受けるのか知りたいと思っていました。
そんなある日、本屋でふとオーディション雑誌のページをめくって、BiSHのオーディションの告知をみつけたんです。
WACKという会社名も、BiSというグループ名も聞いたことがなくて、例えばAKB48なら書類で落とされるだろうけど、ここなら私でもオーディションに行けるかと思っちゃって(笑)。
だから本当に受かる気はなくて、ただ集団面接で一緒に受ける子たちを観察したかったのが一番の理由。
こういう世界を一度見てみてもいいかも、と思って、足を一歩踏み入れた感じです」
私の歌はきっとヒドかっただろうし、何がいいと思われたのか見当がつかなくて、その場では断ってしまったんです。
でも、家に帰って、ちゃんとWACKやBiSのことを調べてみたら、WACK代表の渡辺淳之介さんが、すごくおもしろいことをいろいろやっている方だとわかり、この人がプロデュースするグループだったら入ってみたいと、渡辺さんに興味をもったんです。
それまで、自分の手につかめるものが何もない、これだというものが見つからないと進路に迷っていたんですけど、そのときに初めて『これかもしれない!』と確信に近い気持ちで、心からやりたいと思って、BiSHに入りました」
やりたいことがなかなか見つからない高校~大学時代を経て、興味本位で足を踏み入れたオーディションに合格してしまったモモコグミカンパニーさん。
大学生とBiSHの活動との両立は、どんな生活だったのだろうか?
【後編】では、BiSHについて書いたという大学の卒業論文や、作詞という形で「言葉に関わる仕事」という夢をかなえていったことについて、聞いてみた。
-【後編】につづく-
支援者に対して、モモコグミカンパニーによる書き下ろしエッセイを毎週メールマガジンで配信している。
https://camp-fire.jp/projects/view/265517?list=watched
ライブハウス、CDショップ支援を目的としたBiSH初のベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』
2020年7月8日発売 CD2枚組 税込3300円
※初回生産限定盤のため、店頭およびEC在庫がなくなり次第、販売終了。
https://www.bish.tokyo/for_live/
BiSHメジャー3.5thアルバム『LETTERS』
2020年7月22日発売
【CD盤】税込2200円
【DVD盤】税込6380円
【初回生産限定盤】税込1万1000円
インタビュー写真/沼尻淳子
***
★ほかの記事もCHECK!
「憧れの人の前で演奏して、世界が開けました」高校生ミュージシャン・崎山蒼志くんインタビュー
「既成概念を打ち破って挑戦したい!」 ナルハワールド(山田なる)さんにインタビュー!