「なぜ勉強するの?」「学校に行かないとダメ?」10代の悩みにスタサプ人気講師がお答え
「受験勉強がつらい」「学校に行きたくない」そんな悩みを抱えている人は少なくないだろう。
そこで人気講師に悩みの解決法を聞いてみた。今回聞くのは、100万人を超えるスタディサプリの会員たちに指導してきた人気講師・肘井 学先生。おもしろいほどわかる英語の授業はもちろん、受験生のモチベーションアップが得意なことで、高校生から絶大な人気を得ている。
そんな肘井先生に、最新の著書『10代のきみに読んでほしい人生の教科書 豊かに生きるための33のヒント』でも語っている、高校生の日常の悩みや疑問について聞いてみた。
目次
肘井 学先生
慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。
さまざまな予備校の教壇に立ち、現在はリクルート運営のネット講義サービス「スタディサプリ」で講師を務める。その授業は、高校生から英語を学び直す社会人まで、圧倒的な満足度を誇る。とくに、「英文読解」の講座は年間約25万人が受講する盛況ぶり。また、全国各地の高校で講演活動も行なう。
著書に、『改訂版 大学入試 肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本』『大学入試 肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編』(KADOKAWA)などがある。
100万人を導いてきた肘井 学先生の魅力に迫る!
「なぜ勉強するの?」「学校に行かないとダメ?」そんな10代の悩みに答えてくれたのは、100万人を超えるスタディサプリの会員たちに指導してきた人気講師・肘井 学先生。肘井先生とは、どんな先生なのだろうか?
なぜ高校生たちに大人気なのか、その魅力とは?
生徒のやる気を引き出す満足度の高い授業で絶大な支持を得る!
肘井 学先生は、関東・東海地方の複数の予備校の講師を務めていたとき、裕福な家庭の子どもばかりが良い教育を受けられる現実に大きな疑問を抱いていたそう。
スタディサプリならば、そうした教育格差を解消でき、誰にでも最高の教育を届けられると考えてスタサプ講師に就任し、主に英文読解の講座を担当。
英語を一からではなく、わからないところから解説していき、どんな英文にも対応できる英文読解の着眼点を伝授する授業は、スタサプ会員アンケートで常にトップレベルの満足度を誇っている。
「成績が上がった」「英語ができるようになった」という生徒の声が続出し、年間約25万人が肘井先生の英文読解の講座を受講している。
さらに「Mr.モチベーション」と呼ばれ、生徒のやる気を引き出し、モチベーションアップさせてくれると大好評!
肘井先生が授業内で大事にされていることはありますか?
勉強だけできればうまくいくという世の中ではないので、心の成長もしてほしいですね。
講師になって20年近くたち、何万・何十万人という生徒を教えてきましたが、受験勉強を通して、いろいろな価値観を伝えてきました。
スタディサプリの授業では、英語力をつけるだけでなく、心のありかたもしっかり説いて、英語プラスαの世界観をみせて、一生ものの教育をつめこんでいます。
教科の指導にとどまらず、価値観などを大切にされてきたのはなぜですか?
「利他的」とは「他人を利する」と書いて「他人のため」という意味です。
「情けは人の為ならず」という言葉を「情けをかけると相手のためにならない」と解釈する人がいますが、それは誤りで、本当の意味は「情けは人のためではなくて、自分のために行うものだ」です。
すなわち、「他人に与えた優しさは、めぐりめぐって自分に何かが返ってくる」ということなのです。
つまり、他人のために何かをする利他的な精神は、最終的に自分にも良いこととしてめぐってくることになるでしょう。
家族や友人、恋人、結婚相手、自分の子どもなど、「自分以外の誰かのために生きる」という意識は、人生を豊かなものにしてくれます。
そこで授業では、利他的な精神の大切さを伝えて、精神的にも成長してもらいたいと考えています。
特に偏差値の高い大学に入学する子たちは社会的に強い立場になることが多いので、自分より厳しい状況におかれた人たちへの理解を忘れずに生きてほしいと伝えています。
私自身も、この利他的な精神で、難しい環境にある子たちの人生を逆転させてあげたいという気持ちがスタサプ講師をやろうと思った一番の理由でした。
私は物心がついたころからあたりまえのように父から「強きをくじき弱きを助く」の精神を教え込まれていました。
「権力をふるい、横暴な者に立ち向かい、被害を受けている弱い者を助ける」という意味で、「利他的な精神」にも近い価値観です。
この価値観は一生自分を支える大切な精神になると、私自身も父から教わって実感してきたので、それを授業で伝えるようにしています。
高校生の悩みと疑問に肘井先生がお答え!
Mr.モチベーションと呼ばれるほど、生徒のやる気を引き出してくれる肘井先生に、「なぜ勉強するの?」「学校に行かないとダメ?」「勉強のやる気がでない」「部活動との両立が難しい」「将来の夢がない」といった悩みや疑問について答えてもらった。なぜ勉強をするのですか?勉強って必要でしょうか?
なぜなら、学ぶ力は生きる力に直結するからです。
勉強を続けることで、教養を身につけ、なにかの専門性を高め、より力強く生きていくことができます。
大学に入って、さらに学び続けることで、専門分野の知識を増やして、より仕事の選択の幅が広がり、生きる力がどんどん身についていきます。
学問で手にした力は、間違いなく自立して生きていく力につながるのです。
勉強で学んだ考え方は、将来あらゆる社会生活で役に立ちます。
例えば私もいまだにいろいろなところで使うのが「因果関係」という考え方。
例えば模試の成績をみて、その結果が良ければ受験勉強をそのまま継続しますが、結果が悪い場合は何かしら問題となる原因があると思うので、その原因を推測して、勉強の質、やり方、勉強時間などを変えてみます。
「因果関係」を用いて、結果から原因を分析して修正する作業は、すべての学問に役立つだけでなく、人間関係に応用することもできます。
さらに、個々の具体例から共通項を抜き出して「抽象化」するという考え方も、あらゆる学問に当てはまります。
具体例から抽象化して、一つの特徴を見いだすことで、物事の真理に気づくことがあります。
これらの考え方は、未知のことにも対処できる力になり、さまざまな世界で役立つことでしょう。
勉強のモチベーション維持が難しいです。どうしたら勉強のやる気がでますか?
他人事になってしまって、強制的にやらされている感がでているうちは、何をやっても身に入りません。
今の勉強は、自分が望んで、自分がやりたくてやっているんだ、と考えることが大切。
「大学に行きたい」という自分の気持ちにしっかりと向き合い、だから受験勉強をしているのだと思えば、本当のモチベーションが生まれます。
極端な言い方をすれば、勉強をやりたくないのならやめればいいのです。
大学受験以外の進路をきちんとみつけて、それに向かっていく道もあるでしょう。
自分で大学に行くと決めたなら、それは全力で取り組むべき。
親に言われたから、先生に怒られるから、ではなく、自分事にしっかり置き換えるよう意識を変えることで、勉強のモチベーション維持につながりますよ。
学校に行きたくないときがあります。どうしたらいいですか?
私も、高校生のときに学校を辞めたいと思ったことが何度もありました。
どうしても学校に行きたくないなら、休めばいいと思います。
しばらく休んでいると、また行きたくなるかもしれません。
私の場合は、昼休みや放課後に友達とやっていたバスケットボールと、部活動のバレーボールに楽しみを見いだして、それで何とか高校生活を続けました。
「おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり」
これは幕末の長州藩の志士・高杉晋作が詠んだ有名な句です。
「つまらない世の中でも、自分の心次第でおもしろくできる」という意味ですが、高校生活がおもしろくなければ、何かに楽しさを見いだしてみると、見え方、感じ方が変わるかもしれませんよ。
ただし、人間関係に悩まされるようだったら、我慢せずに転校という選択肢も考えてみてください。
絶対に学校へ行かなくてはいけないと思うと追い込まれてしまうので、どうしても人間関係が苦しかったら、保護者に相談したうえで、転校先など代わりの場所をきちんとみつけてから辞めればいいと思います。
人間関係では無理をせず、自分の身を守ることも大事ですよ。
部活動と勉強の両立に悩んでいます。どちらを優先するのがいいでしょうか?
部活動を辞めれば、もっと勉強ができるようになると考える人は多いと思いますが、たいていの人は長時間集中して勉強できないものです。
勉強一色になると、あまり良い心のあり方にならないと思います。
私は高校時代、顧問の先生に反発して部活動を一度辞めたことがありますが、すごく荒んだ生活になってしまって、悪い友達と遊ぶ時間が増えただけでした。
「自分には勉強しかない」とプレッシャーをかけるとストレスがたまり、テストの点が悪かったときに自分を全否定されたかのような感覚に陥ってしまう危険があります。
部活動と勉強の両方を頑張ることは、心の安定や充実感をもたらしてくれます。
部活動によって、受験勉強に必要な体力と集中力、自制心、継続力などが身についたり、ストレスを発散させたりと生活にメリハリが生まれます。
部活動で疲れたなら帰りの電車の中で寝るとか、家でゆっくり休んでから2~3時間集中して勉強するほうが、ダラダラと5時間やるより効果的です。
なにより高校時代の大切な思い出になるので、ぜひ部活動は続けてください。
将来の夢が見つかりません。どうしたらいいですか?
そんな私が大きく変われたのは、大学受験で第一志望校に向けて毎日コツコツと勉強を頑張る経験をしてからでした。
私が初めて「物書きになりたい」「本を書きたい」という夢をみつけたのは19歳の浪人生のとき。
目標に向かって受験勉強を一生懸命に頑張っている毎日は、心が充実していました。
そんな精神性こそが、自分の純粋な気持ち、大きな夢を抱く力を授けてくれたのです。
将来の夢が見つからない人は、まず目の前のことに夢中になってみましょう。
部活動でも、受験勉強でも、「とりあえずやってみる」の精神で始めたことが、その後に実現するかもしれない夢の第一歩になりますよ。
大学受験の理想は、将来の職業につながる学部を選ぶことだけれど、進路に迷ったときは、大学のイメージや「なんか憧れる」といった気持ちで決めてもいいと思います。
高校生に伝えたい肘井先生の思いとは
10代のみんなは、たくさんの悩みを抱えている。そんな高校生たちに伝えたいこと、肘井先生の思いを聞いてみた。
勉強だけではなくプラスαの学びを大切にしてほしい
お金持ちや成功者を目指さなくてもいいけれど、「豊かな人生」を過ごしてほしいですね。
自分の心が満たされて、人間関係に恵まれた「豊かな人生」にするためには、勉強だけでなくプラスαの学びが必要。
受験勉強以外にも大事なことはたくさんあるから、そういうこともしっかり学んで大人になってほしいと思っています。
今の世の中は競争社会で、気づかないうちに一番大事な心がすり減ってしまうから、相対的な見方だけでなく、絶対的な価値観ももっていたほうがいいでしょう。
人と比べない、自分だけのものさしをもって、自分なりにベストを尽くしてほしい。
そんな心のありかたを考えてみてください。
ちなみに、私の本の宣伝になってしまいますが、『10代のきみに読んでほしい人生の教科書 豊かに生きるための33のヒント』では、全国のあらゆる高校生に私の思いを伝えたいと考えて、高校生が抱える悩みの解決法や人生を豊かにするためのヒントをまとめました。
今回お話しできなかった内容もたくさん書いているので、興味があれば読んでみてください。
肘井先生から高校生へのメッセージ
私の場合は、部活動を一生懸命にやったこと、大学受験勉強を必死に頑張ったことが、人生が変わった転機になりました。
私からの33のヒントで、人生が良くなる転機になったらうれしいですね。
ぜひ「豊かに生きる」ために、良い方向へ人生を変えてください。
『10代のきみに読んでほしい人生の教科書 豊かに生きるための33のヒント』(KADOKAWA)