歌が上手くなる方法とは?自宅ですぐに実践できるおすすめのトレーニングを紹介
歌がうまくなりたい、カラオケで一目置かれたい、なんて思うことってあるよね。自己流でコッソリと練習している人もいるのでは?
歌がうまくなるためには、録音して聞いたり、歌いながら手を叩いたり、ちょっとしたトレーニングでも変わってくるとか。
そこで、歌がうまくなる方法を知りたい人のために、自宅ですぐに実践できるトレーニング方法と、カラオケで歌うときにうまく聞こえるコツをご紹介。
ボイストレーナーとして、数々のアーティストに指導をしている桜田ヒロキ先生に、どうしたら歌がうまくなるのか教えてもらった。
桜田ヒロキ先生
ハリウッド式ボイストレーニングを専門とするボイトレスタジオ「VT Artist Development」代表。
ロサンゼルスで、ボイスコーチのセス・リッグス氏より直接インストラクター・トレーニングを受ける。
現在では、発声科学の第一人者、Ingo Titze博士が教育顧問を務めるVocology in Practice (通称ViPチーム)に所属。
ボイストレーナーとして、数々のアーティストのツアーに帯同している。
目次
歌がうまい人と下手な人の違いは?
歌がうまい人と下手な人の違いは、自分の声色(こわいろ)を知っている人かどうかの違いとのこと。
自分の声の質を知っている人はうまい人が多いという。
では、どのようにしたら声色を知ることができるのだろう。
自分の声色を知るには、
1)正しい音程が取れているか
2)リズムが正確に取れているか
3)声色が歌声として成立しているか
4)歌える音域が広いか
5)第一声が自分の歌声として成立しているか
これらをチェックしてみると、歌がうまいか下手なのかがわかるという。
1)正しい音程が取れているか
「とても基本的なことですが、歌がうまい人は音程を正しく取って歌うことができています。
正しい音程が取れているかどうかは、採点付きのカラオケで歌ってみれば簡単にわかりますよね。
カラオケの採点項目の中に『音程』がありますが、『音程』の項目が高得点なら、その歌の音程が正しく取れている証拠。一音でも外したところは必ずマークしておいて、音の高さを確認しておくといいでしょう。
意外と間違えてメロディを覚えていることもあります。
どんな曲を歌っても高得点が取れれば、正しい音程が取れている人だといえるでしょう」(桜田先生)
2)リズムが正確に取れているか
「リズムが正確に取れるかどうかは、手を叩いてみるとわかります。
鼻歌でもいいので、歌を歌いながら手を叩いてみましょう。
リズム感のある人はテンポよく手を叩くことができますが、リズム感がないと案外難しいですよ」(桜田先生)
3)声色が歌声として成立しているか
「歌声と話し声の地声は必ずしも一致するとは限りません。
特に最近の曲はキーが高く、地声だけで歌うことが難しいでしょう。
男子の場合、ひたすら怒鳴って歌ってしまう人がいますが、音がにごったり、苦しくなったりして、歌声として成立しないので、下手に聞こえてしまいます。
女子の場合、息がもれているような歌い方をしている人はNG。
普段のしゃべり声と歌声は完全に同じではないので、ちゃんと歌声として成立しているかどうかがポイントになります」(桜田先生)
4)歌える音域が広いか
「歌える音域としては、1オクターブ半まで出すことができれば、大抵の曲は歌えると思います。西洋音楽で1オクターブとは、低いドから次の高いドまでの8つの音程のことを指します。
歌が下手な人は1オクターブも取り扱えていないことが多いので、まずは1オクターブ半までカバーできているかどうかが目安になるでしょう」(桜田先生)
5)第一声が自分の歌声として成立しているか
「プロのアーティストはもちろんまわりの友達でも、歌がうまい人は、第一声を聞いただけでその人の歌声だとわかりますよね。
自分の最も美しい歌声をみつけて自分らしく歌えると、歌がうまく聞こえます。
第一声がその人を示す歌声になっていて、聞いている人が心地よいサウンドになっていることがポイントです」(桜田先生)
歌がうまくなるコツは?
「歌がうまくなるコツは、いろいろな楽曲を歌ってみること。
まずは10人のアーティストの歌い方や声色をマネして歌ってみましょう。
ぼくの知る限り、歌のうまい方でまったくマネをできない人はいません。
また、自分が好きなアーティストの声が自分の声色に合うとは限りません。
歌がうまくなるには数をこなすことが重要。
いろいろな歌声のアーティストのマネをして、自分に合った声色、地声とは違った自分の歌声をみつけましょう」(桜田先生)
自宅で簡単にできる!歌がうまくなる方法8選
歌がうまくなるには、音程やリズムを正しく取ったり、発声の練習をしたり、テクニックを磨いていったりすることが必要。
具体的にどんなトレーニングをすればいいのか、自宅で簡単にできる方法をご紹介。
1)自分の歌声を録音して客観的に聞く
「自分の歌声を録音して、オリジナルの楽曲と近いメロディーで歌えているか、客観的に聞き比べてみましょう。
音程が正しく取れない人、いわゆる音痴の人はリアルタイムで音の聞き取りができていないと思います。
音の聞き取りができないため、のどのコントロールがうまくいっていないのです。
プロのアーティストでさえ、調子が悪いときは音が外れていることにリアルタイムで気づかないことがありますから、高校生ならなおさら聞き取れないでしょう。
録音した歌声を聞くという客観性がポイント。
今現在の歌声を録音して、歌がうまくなるトレーニングをした1カ月後、2カ月後の歌声と聞き比べてみると、自分が下手だったこと、トレーニング後の上達度を実感するかもしれませんね。
カラオケでは、精密採点の高さのバーにピタッと合わせていく練習をすると、正しい音程が取れるようになりますよ」(桜田先生)
2)曲に合わせてリズミカルに手を叩く
「リズム感をつけるには、曲に合わせて手を叩く練習をしましょう。最初は、好きなアーティストの歌を聴きながら手を叩いてみる。
それができるようになったら、軽く鼻歌を歌いながら手を叩いてみる。
歌いながら手を叩いたり、足でリズムを取ったりするのは、実は案外難しいので練習が必要。
最終的には、しっかりと歌い上げながら手を叩いてリズムを取りましょう。
これができれば、音楽的なスキルが上がります。
手を叩いたところがアクセントになって、自然に強く歌うことができるため、強弱をつけた歌い方になります。
変拍子にする必要はありませんが、裏打ち(※)ができると上級者レベルですね」(桜田先生)
※裏打ちとは、通常「パン・パン・パン」と手拍子するところ、「ウン・パン・ウン・パン」と反対で手拍子すること。
3)地声をしっかりと出す練習をする
「歌える音域を広げるには、まず地声をしっかりと出す練習をしましょう。
女子の場合、上に広げるよりも下を伸ばすほうが音域を広げやすいと思います。
特に低い音を息がもれているように発声する女子は、下の音域が広げられます。
低い音域が出ていないのは地声が使えていないからなので、地声を出す練習をするといいですね。
歌詞を外して、例えば『ママママーマーマー』と自分が歌いやすい1つの言葉で歌うと難易度が下がって声が出やすくなります。
母音が『ア』とか『エ』だと口が大きく開くので、地声が出しやすいですよ。
男子の場合、もともとの声が低いため下の音域を広げるのは難しいので、裏声の練習をして上に広げていきましょう。
怒鳴って歌ってしまう人は、『ウ』など口を大きく開けない母音で歌う練習をすると、地声が抑制されて高い音が出しやすくなると思います」(桜田先生)
4)裏声を使って高い声を出す練習をする
「高い声を出すには、フクロウの鳴き声みたいな裏声からスタートしてスムーズに地声まで音域を落としていく練習をしましょう。
高いキーは裏声と地声の中間くらいの高さの声で歌うのが理想なので、裏声から地声に戻していくときに急に高さがガクッと落ちないよう、裏声からスムーズに地声に落としていく練習をします。一般的には小さい声のほうがやりやすいと思います。
高い声を出す練習をするときは、ウォーミングアップとしてリップバブルを10回くらいやってから始めるといいですね。
リップバブルのやり方は、口角を両手で持ち上げて、高い音から低い音へブルブルブルブルと言いながら落としていきます。
上から下へ落としていくほうが簡単ですが、下降ができたら下から上へ上げていく上昇も交互にやるとウォーミングアップになりますよ」(桜田先生)
5)音をゆらすビブラートの練習
「一般的なビブラートは、ドからレの幅で1秒間に5~6回、周期的に音をゆらすテクニックです。
メトロノームを使って1秒間に5~6回、『アー⤴ ア⤵ アー⤴ ア⤵』と音をゆらす練習をしましょう。
最初はドの高さからソの高さの広い幅でビブラートを動かし、その幅を小さくしていくとやりやすいと思います。
さらに、だんだん音の高さを変えていき、どの高さでもビブラートができるようにしましょう。
スマートフォンで無料のメトロノームのアプリがあるので、それを使うといいですね」(桜田先生)
6)プロのマネをしてしゃくり上げる練習
「しゃくりとは、音を下から入れて目標の音程に到達させること。
アクセントをつけて強く歌う以外に、しゃくり上げると音が長く聞こえて、人間らしい発声になります。
演歌の発声からきている、日本人アーティスト特有の歌い方ですね。」(桜田先生)
7)スローテンポに落として発音の練習
「しゃべり言葉のように歌詞を早く歌うときはちゃんと歌詞を発音できていない可能性が高いので、カラオケのテンポをゆっくりにして練習しましょう。
カラオケのテンポを落として、そこからていねいに1音ずつ歌えるように練習し、オリジナルのテンポに戻していくといいですよ」(桜田先生)
8)ほど良い一貫性で歌う練習をする
「自分が歌いやすい音、ラララ、マママ、ノノノなど何でもいいので、好きな一音で声色やボリュームをなるべく統一して歌っていく練習をしましょう。
これは一貫性を身につけるトレーニングになります。
人間の耳は、一貫性がありすぎると昔のボカロのように聞こえてしまいますが、一貫性がなさすぎてもランダムにボコボコと流れのない歌に聞こえてしまいます。
そこで一貫性と変動性の最適なバランスをみつけましょう。
1つの言葉にしぼって、なるべくボリュームを変えずに歌っていく練習をします。
抑揚をつけすぎてもつけなくても、シロウトの歌い方になるので、自分なりにほど良い一貫性で歌えるように練習していきます」(桜田先生)
カラオケで歌を歌うときのポイント
カラオケで歌を歌うとき、ちょっとでも歌がうまく聞こえるようにするには、選曲からキー探し、姿勢などにもコツがある。
そこで自分の実力をだすために心がけておくといいことを桜田先生に教えてもらった。
1)オリジナルのキーにこだわらない
「オリジナルと同じキーを出そうと思っても、高い声が出なかったり、逆に低い声が出せなかったりすることもあるでしょう。
最近はキーが高い曲も多いので、まずは音域を広げる練習をしておいて、広げた音域の中で自分の声がうまく聞こえるキーをみつけるといいですね」(桜田先生)
2)歌いやすい曲を用意しておく
「自分が歌いやすく、それほど難しくない曲をウォーミングアップ用に選んでおきましょう。
歌いやすい曲をみつけて、あまりキーが高くない曲から順番に歌っていき、だんだん声が出てきたところで、音域が広くて難しい曲を披露すれば、歌がうまい人のように聞こえるはずです」(桜田先生)
3)自分の声に合った音量をみつけておく
「自分が歌いやすいカラオケの音量をみつけておきましょう。
自分の声の大きさとバランスが良いカラオケの音量に調節しておけば、いいバランスに聞こえますよ」(桜田先生)
4)マイクは普通に持つ
「マイクの上の部分を手のひらで包むように持つ人がいますが、ハウリングしやすいのでNG。
そのうえ音色がこもってしまうので、上のほうを持つと歌が下手に聞こえるかもしれませんよ。
マイクは普通に持ったときにきれいに集音されるようにできているので、マイクを正しく持つことは歌をうまく聞かせるのに役立ちます」(桜田先生)
5)足を少し広げて立って歌う
「立って歌うほうが声は出やすいので、その場でもいいから立ち上がって歌いましょう。
足を肩幅くらいに広げて立つと歌いやすいですね。
キーが高くなるとアゴが上がりがちですが、ノドが閉まってしまうのでアゴを引くこと。
低い音だとアゴを引きすぎることもあるので要注意。
アゴは一定の角度を保つように心がけましょう」(桜田先生)
6)人前で歌うときはエコー厚め
(本文)「カラオケで友達の前で歌うときはエコーを厚めにかけましょう。
エコーをかけると問題点が隠されるので、歌がうまに聞こえると思いますよ。
一人で練習するときは問題点がわかったほうがいいのでエコーなしにします」(桜田先生)
高校生に聞いた!歌がうまくなる方法
高校生のみんなは、歌がうまくなるためにどうやって練習しているの?お風呂でひたすら歌を歌ったり、SNSに上がっている動画を見たり、スマートフォンのアプリを使ったりしているみたい。
そこで、これらの練習方法が正しいのか、桜田先生に聞いてみた。
ひたすらお風呂で歌を歌う
「お風呂でひたすら練習をするのはGood!湿度があってノドの負担も減るし、エコーがかかったように聞こえるので、気持ちよく歌える環境です」(桜田先生)
TikTokで歌がうまい人の動画を見て練習する
「TikTokで好きな歌い方があればマネして歌ってみるのはいいですね。うまい、カッコイイ、と感じるのは自分の感性に合っている歌い方だからです。
できれば録音しながら歌って、すぐに聞き返して、お手本にした歌い方と比べてみるといいですね」(桜田先生)
アプリを使って練習する
「スマートフォンのアプリには、歌のトレーニングに使えそうなものがいろいろあります。
カラオケアプリはもちろん、メトロノームのアプリでテンポを測ったり、キーボードのアプリでキーを確認したり、『Sing Scope』というアプリはカラオケの精密採点のようなことができてビブラートもチェックできるのでおすすめです」(桜田先生)
歌がうまくなりたい高校生へのメッセージ
「歌がうまくなりたいなら、たくさん練習をしましょう。数をこなしている人は強いと思います。
本格的にボイストレーニングをしたいのなら良い先生を探すことが必要ですが、家での自主練習でも数をこなすことで自分の問題点がわかってきますよ。
好きな曲をいろいろ歌ってみて、とにかく数をこなすことが上達への道につながります。
練習あるのみです」(桜田先生)
桜田先生のボイストレーニング教室のInstagramにもレッスン動画がアップされていて、短時間のものなのでちょっとした時間にもチェックしてみよう。
もっと本格的に歌を学びたいという人へ
歌を歌うことが大好きで、将来は歌手やボーカリストになりたいと考えている人は、こちらをチェック!歌手・ボーカリストを目指せる学校を探す 歌手・ボーカリストになるには
監修/桜田ヒロキ 取材・文/やまだみちこ 構成/黒川安弥