【ナナミの留学体験記1】1年間のフィンランド行きを決めた理由
「留学は大学生がするもの」というイメージが強いかもしれないが、実は高校生の留学も少なくない。
高校での留学は、「語学や学問のため」というより、「異文化を理解したり、世界の人とコミュニケーションをする」という意味合いが強い。
しかし、海外で長期間過ごすことは、高校生にとっては大きな冒険。彼らはいったいどんな思いで決断し、どんな留学生活を送っているのだろう。
そこで、現在、森と湖の国フィンランドで約1年間の留学生活を送っているナナミに、その留学体験をレポートしてもらうことにした。シリーズ第1回目は、「留学に旅立つまでの迷いと決断について」。
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■きっかけは1年前の留学説明会
千葉県出身の高校1年生ナナミです。2014年8月から、フィンランドの中部にある街で、ホームスティしながら現地の高校に通っています。
「留学するぞ!」と心に決めたのは、中学3年の夏です。
私が通っていたのは中高一貫校なので、高校受験の必要がなく、「このままのほほんと6年間を過ごしていいのかな」とモヤモヤしていました。「動いてみれば何かが変わるかも?」と、思い切って高校生の交換留学をコーディネートしている団体の説明会へ。そこで実際の経験者の体験談を聞いたことで、私の気持ちは大きく前に進みました。
「日本ではできない経験をして、柔軟な発想ができるようになった」「ひと回り成長できた」という話。そして、自然のなかにある広い家で暮らす様子の写真––とても楽しそうで、日本とまったく違う文化があるんだなとワクワク。また、経験者を見て、「私もこんなふうに広い視野をもった、精神的に強い人になりたい!」と、本格的に留学を検討するようになったのです。
■日本にいない間の勉強も何とかなるはず!
後日、高校の先生に確認して、約1年間留学しても元の学年に戻ることができるとわかりました。日本にいない間の勉強は何とかなるだろう。日本じゃ体験できない苦労によって成長できるだろう。ちょっと楽観的ですが、そんなふうに留学への気持ちが固まっていきました。
一番気がかりだったのは費用のことです。私の留学プログラムは、航空券を含む費用が約130万円(ボランティアで受け入れてくれる家庭へのホームスティになるため、私費留学よりは費用がかからないそうです)。両親に、「どうしても留学したい」という気持ちを話し、お金をかけた分しっかり学んでくるという約束をして了承を得ました。
■複数言語を話せたらカッコイイ
留学支援団体のAFSでは、応募時に約40の国から留学先の希望をあげます。私はフィンランドの森や湖など豊かな自然や平和そうなところに惹かれたのと、優れているといわれる教育を体験したいと思い、第一希望にしました。
フィンランドでは主にフィンランド語が話されます。高校の先生には英語圏を勧められましたが、「英語だけでなく、いくつもの言語を身につけるのもカッコイイかも!」と、あまり気にしませんでした。
それから実際に留学する高校1年の8月まで、10カ月近く。長いと思っていたけれど、自己紹介エッセイ作成や研修などやることが多く、実際はあっという間。「フィンランド語の勉強もやらなくちゃ」と思いつつ、忙しさにかまけて直前まで手を付けず…。
そのため、8月の終わりにフィンランドに飛び立った飛行機のなかでも、フィンランド語の本を開いて単語をつめ込む羽目に(涙)。こうして、言葉への不安と大きな期待をもってフィンランドに降り立ちました。
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さて、こうして始まったナナミのフィンランド留学生活には、どんな楽しさや苦労があったのか。次回をお楽しみに。
取材協力:公益財団法人AFS日本協会