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海外で得られる学びって?留学生活はどんな感じ?先輩たちに聞いた!

海外で得られる学びって?留学生活はどんな感じ?先輩たちに聞いた!

高校生やその保護者の間で、海外大学進学への関心は高まる一方。
 
ただし、興味はあっても身近に情報があまりないことがネックの一つ。
 
「海外大学での勉強についていけるんだろうか…?」「海外の留学生活ってどうなの?」「卒業後の就職は大丈夫?」など、不安や疑問が先行している人も多いのでは?
 
そんなみんなに向けて、実際に海外大学で学んでいる先輩たちが体験談を話したり、相談に乗ってくれたりする場がある。
 
それが、特定非営利活動法人 グローバルな学びのコミュニティ・留学フェローシップ主催の「留学生との未来設計セミナー(留学キャラバン隊2018)」。
 
全国各地の高校やイベント会場などで開かれていて、2018年7月31日には、東京のリクルートアカデミーホールで開催。
 
当日は12人の中高生が参加した。
 


 

自分のなかにある「好き」を追求するためにハーバード大学へ留学!

世界中から自分の『好き』を追求するためにさまざまな学生が集まって寮生活

最初にプレゼンテーションを行ったのは、留学フェローシップの代表理事で、アメリカのハーバード大学で学んでいる髙島崚輔さん。
 
髙島さんがハーバード大学への進学を決断した理由は「好き」を追求するためだ。
 
海外で得られる学びって?留学生活はどんな感じ? 先輩たちに聞いた!

自分のなかにある「好き」を追求するためにハーバード大学へ留学!

 

髙島さん:
中学時代に震災後の福島を訪れ、原発事故の被災地を自らの目で見て、避難されている方や行政の方、東電の方の話を聞いたことがきっかけで、エネルギーに興味をもつようになりました。
 
自分の中で『好きなことを追求したい!』という思いがずっとあったんですが、ハーバード大学は必修がなく、自分の興味がある科目を自由に選べるというのが魅力の一つでした。
 
あとは、世界中から自分の『好き』を追求するためにさまざまな学生が集まって寮生活をしながら切磋琢磨するという環境にもひかれました。
 
もう一つ、クラブ活動を通して、学んだことを社会でアウトプットする機会があることもハーバード大学を選んだ理由です。

『それで、あなたはどう感じたの?』が将来を考えるきっかけに

海外大学での学びは発見や気づきの機会も多いと語る髙島さん。
 

髙島さん:
大学1年のときに福島第一原発の内部を見学したことがあって、その経験を大学でプレゼンテーションすることを求められたんです。
 
英語のプレゼンなので、どんな質問がくるかと心配になって、めっちゃ準備していったんですよ。
 
ところが、投げかけられた質問は予想外なものでした。
 
『それで、あなたはどう感じたの?』『あなたは再生エネルギーを研究していくうえで、どう行動するの?』
 
データなどをいろいろ調べて臨んだんですが、その答えは準備していなかった(苦笑)。
 
それ以来、『自分はどう行動すればいいんだろう』と考えるようになって。
 
やっぱり現場で学ぶことが大切だと思うようになり、今は休学して世界各地の再生エネルギーの現場を視察しています。

新たなチャレンジを続ける中で学ぶことに対する意識も変わっていったという。
 

髙島さん:
最初は自分の『好き』を追求したくてハーバード大学に進学したのですが、今は、好きなことを学んだその成果を社会のために役立てたいという気持ちが強くなってきました。
 
実はこれ、ハーバード大学がことあるごとに発しているメッセージなんです。

「自分の人生を生きよう!」という思いが原動力

次に登壇したのは、「F1マシンを設計したい」という夢を実現するためにイギリスのサウザンプトン大学で学ぶ川本和さん。
 
イギリスはモータースポーツの中心地。
 
なかでもサウザンプトン大学は工学の分野でトップクラスであることが進学の決め手になった。
 
世界を転戦するF1の世界で生きていくなら英語も身につけなければならないという思いももちろんあった。
 
とはいえ、夢に向かって突き進むまでには悩んだ時期もあったそうだ。
 
海外で得られる学びって?留学生活はどんな感じ? 先輩たちに聞いた!

「自分の人生を生きよう!」という思いが原動力

 

川本さん:
F1のエンジニアになりたいと思ったのは高校1年のとき。
 
とはいっても、最初は、『周囲からミーハーと思われる』『アホらしい夢だと思われる』と一人でもんもんとしていたんです。
 
でも、あるとき、『アホらしいのはF1じゃない、他人の目ばかり気にしている自分だ』と気づき、自分の好きな道に突き進もうと決めました。
 
それからは、必死でいろいろと調べ、親や周囲を説得してサウザンプトン大学への進学を実現しました。

ところが、海外進学を実現したあとも順風満帆とはいかなかったという。
 

川本さん:
当初はイギリスに行けばなんとかなると甘く考えていたんです。
 
でも、何とかなりませんでした(苦笑)。
 
1年めは何もしないまま過ぎてしまい、英語も全然話せるようにはならなくて。
 
これではいけないと2年めは猛勉強を始めたんですが、今度は頑張りすぎて鬱(うつ)になってしまったんです。
 
このときもどこかで周囲の目を気にしてしまっていたんですね。
 
でも、それは違うと。
 
自分が好きなことをやりたくてイギリスまで来たのだから、思いっきり自分の好きなようにやろうと改めて決めたんです。

そこからの川本さんは一気に行動的になった。
 
サークル活動でレーシングカー造りに夢中になり、一時期大学を離れてF1チームでのインターンシップにもチャレンジ。
 
実はビザの関係でこのインターンシップが実現できなくなりそうだったときも、自分で大学と掛け合って新しいコースを作ってもらい、制度面の問題をクリアしたそう。
 
そんな川本さんが中高生に伝えたいメッセージは「自分の人生を生きよう!」ということ。
 
自分自身、迷ったりつまづいたりした経験がある先輩の言葉だからこそ大きな説得力があった。
 

「自分が何をやりたいか」を常に考え続けるのが海外大学での学び

続いては、海外大学を卒業した先輩たちによる「留学の向こう側」と題したパネルディスカッション。
 
この6月にアメリカのウェズリアン大学を卒業して現地NPOに就職が決まっている羽鳥静華さんと、アメリカのスタンフォード大学を卒業後、現在は日本の会社で教育関連の仕事に就いている山根寛さんが海外での学びとキャリアについて話してくれた。
 
司会は留学フェローシップの理事である金井文宏先生(立命館大学稲盛経営哲学研究センター客員教授)。
 
海外で得られる学びって?留学生活はどんな感じ? 先輩たちに聞いた!

「自分が何をやりたいか」を常に考え続けるのが海外大学での学び

 
羽鳥さんが学んでいたウェズリアン大学は、専攻や学問の垣根がなく、文理の枠も超えて自分で自由に履修プランを組み立てることができるリベラルアーツ大学。
 

羽鳥さん:
リベラルアーツ大学は世話焼きの先生が多いと聞いていたので、行けば手取り足取り教えてもらえるのかなあと思っていたんですけど、違いました(苦笑)。
 
自分から主体的に動き出さないと先生も面倒は見てくれません。
 
それに気づいてからも、慣れるまでには時間がかかりましたね(笑)。
 
どの授業を取るかといったことも含めて日常のすべてが選択ですから。
 
成績に納得がいかなかったら先生に掛け合ったりもします。
 
そういう環境に身を置いているうちに、『自分が何をやりたいのか』を常に考え続けるようになっていきました。

羽鳥さんは好きで学んできた「政治学」と「ジェンダー」を両立できるキャリアは何だろうと考えて、アメリカのNPOに就職することを選んだ。
 
「より大変な環境で自分を試したい」と思った羽鳥さんは、当初から、日本ではなく、海外で就職することを決め、アメリカだけでなく、中国やヨーロッパでも就職活動をしたという。
 

羽鳥さん:
自分のキャリアを作っていくうえで、もちろん『好き』を追求することが軸にはなるんですが、それだけではダメ。
 
やりたいことを実現するには『戦略』も大切になります。
 
アメリカの大学ではそういうことも学べました。

ちなみに羽鳥さんが学んだウェズリアン大学では、学生が自分で提案して授業を作ることができるのだとか!
 

羽鳥さん:
学生がほかの学生のために授業を作る『スチューデント・フォーラム』というシステムと、学生が先生に『こういうことをやりたいんですけど』と相談して、先生と1対1の授業を作ることができる『チュートリアル』というシステムがあって、私はよく後者を活用していました。
 
その先生に成績をつけてほしいかどうかも自分で決めることができるんです。

そのときに「やりたい」と思ったことにチャレンジする

一方、日本での就職という進路を選んだのが山根さん。
 
現在の仕事は教育分野の営業職だ。
 

山根さん:
大学では、興味があった経済学を学びました。
 
学んだことを生かすなら銀行などに就職するのが王道でしょうし、実際にインターンシップで働いたりもしたんですが、自分がやりたいこととは違うなと感じて。
 
その一方で、大学生の間、この留学フェローシップなどの活動を通して、多くの中高生と交流する中で、『自分って教育好きだな』と感じていたんです。
 
そこで、教育分野での自分のキャリアを考えたとき、アメリカの中高生と、日本の中高生のどっちのお手伝いをしたいかとなったら、やっぱり日本の中高生だろうと。
 
そこで、日本で就職することを決めました。

アメリカの大学で経済を学んだから、それにふさわしい進路を選ぶという選択はせず、改めて自分の心の声に耳を傾けて、そのときに「やりたい!」と感じた道を選んだ山根さん。
 
印象的だったのは「大学で勉強って終わりじゃない」という言葉だ。
 

山根さん:
就職してからも学ぶことはたくさんあります。
 
就職したときに抱いていた『日本の中高生の教育に携わりたい』という思いは変わりませんが、現場で学校の先生方のお話などをうかがっている中で、今は、教育とデータを組み合わせて、定量的に教育の方法を分析したいという新たな目的が生まれました。
 
『やりたいこと』がよりシャープになってきたんですね。
 
『自分は何をやりたいのか』という問いかけは、社会人として経験を重ねながらもずっと続いていくんだと思います。

留学したいと思った「きっかけ」に立ち返ることで本当の自分の思いを再確認

ここで、イベントの前半が終了。
 
後半は、「大学に何を求める?」というテーマでワークショップ。
 
参加した中高生からは「自分が何を学びたいかを一番大切にしたい」といった声があがり、建築、法律、ジャーナリズムなど、具体的な「学びたい分野」をしっかりもっている中高生も多かった。
 
留学したいと思った「きっかけ」に立ち返ることで本当の自分の思いを再確認

留学したいと思った「きっかけ」に立ち返ることで本当の自分の思いを再確認

 
その後は、ラジオDJ形式で留学キャラバン隊の先輩たちが中高生の質問に答える「留フェロらじお」の時間。
 
海外大学の寮生活や学食事情など、経験者だからこそのおもしろエピソードがいくつも披露された。
 
最後のプレゼンテーションは、アメリカのカールトン大学で学ぶ上田裕路さん。
 
上田さんのメッセージは、「きっかけに立ち返ることの大切さ」だ。
 

上田さん:
ボクが留学に興味をもったのは、中学時代に留学経験のある人の話を聞いて『アメリカってなんかいいなあ』と思ったのがきっかけでした。
 
ただ、それだけでは親も説得できませんし、いろんな人に話を聞き、調べて、『リベラルアーツ大学というところでは分野にとらわれず学ぶことができる』『海外大学には多様な人が集まる』といったことを周囲には動機として話していたんです。

ただ、カールトン大学に進学後、演劇や言語学など、自分のやりたいことを明確にもっている世界各国の友人たちの話を聞いているうちに、「自分は何のためにアメリカまで来たんだろう…」と疑問を抱くようになったそうだ。
 

上田さん:
結局、リベラルアーツとか多様性というのは後づけの理由に過ぎなかったということに気づいたんです。
 
中学生のときに『アメリカってなんかいいなあ』と感じた自分に立ち返って考えたとき、自分が今まで見たことも聞いたこともない、想像もつかないようなことを経験したいな、と思っていたんだということがわかったんですね。

自分の原点に立ち戻ることができた上田さんは、カールトン大学に在籍しながら、まさに未知の世界であるハンガリーへの留学プログラムに出願することを決めた。
 
きっかけに立ち返ることで、自分が本当に納得できる選択を下すことができたのだ。
 

 
その後は、民間奨学金の案内と個別相談タイム。
 
海外大学に進学したい高校生を支援してくれる民間の奨学金は、実はいくつかあるのだ。
 
個別相談タイムでは、留学への意欲がさらに高まった中高生から、「英語の勉強法」や「海外進学を目指すために今必要な準備」といった具体的な質問もあがっていた。
 

 
参加した中高生にとって、海外大学に進学した先輩たちは、みんなイキイキとしていて、カッコよく、たくましく見えたはず。
 
そんな先輩たちも、迷ったりつまづいたりして自分の道をみつけてきた。
 
体験談を通してそれを知ったことは、海外大学進学を検討している中高生たちにとって大きな励みになったのではないだろうか。
 

【取材協力】
特定非営利活動法人 グローバルな学びのコミュニティ・留学フェローシップ
http://ryu-fellow.org/
 
海外の大学をはじめ世界中の大学で主体的に学ぶ大学生と、彼らを支えてきた高校・大学の先生ほかの二人三脚で活動しているNPO法人。
 
「『主体的に生きる力』を育み、世界の課題に向き合う人材を育成する」をミッションに、主体的な学びを全国に発信している。
 
具体的な事業は留学キャラバン隊・留学サマーキャンプの2つ。
 
【留学キャラバン隊】
 
主体的な進路選択のあり方を日本全国に発信するワークショップ型の海外進学説明会。
 
文部科学省、全国の県教委、中学高校と協働している。
 
海外進学を経験した大学生が人生を振り返るプレゼンテーションと、参加者自身について考える進路選択ワークショップの2本柱で行う。
 
日時:毎年夏冬に全国で実施
 
応募締切:当日まで参加申し込み可能
 
対象者:小中高生、保護者、教育関係者ほか、海外大学進学や主体的な進路選択に興味をもつすべての方
 
プログラムURL:http://ryu-fellow.org/キャラバン隊/
 
【留学サマーキャンプ】
 
現役大学生による、主体的な海外進学を応援するメンタリング合宿。
 
海外大学受験に必要なエッセイをツールに自己分析・自己表現を鍛える。
 
現役の海外大学生とマンツーマンの対話を中心としたプログラムを提供し、キャンプ終了後も出願時期までオンラインで継続的にサポートする。
 
日時:毎年8月上旬に長野県で実施
 
応募締切:毎年6月中旬を予定(詳しくはウェブサイトをご覧ください)
 
対象者:海外進学を検討している高校2・3年、既卒生
 
プログラムURL:http://ryu-fellow.org/summercamp/
 
●公益財団法人 江副記念財団「リクルートスカラシップ」http://www.ezoe-mf.or.jp/
 
●一般財団法人 柳井正財団「海外奨学金プログラム」http://www.yanaitadashi-foundation.or.jp/

 
 
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伊藤敬太郎 ライター

伊藤敬太郎

Webサイト、情報誌、メルマガなどで、教育、資格、キャリア、ビジネスといった分野を中心に活動。これまでに執筆した主な媒体は『キャリアガイダンス』『社会人・学生のための大学&大学院選び』『リクナビNEXT』『仕事の教室ビーカム』など。

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