【ナナミの留学体験記3】まるで大学! 日本の高校との3つの違い
ずっと日本にいると「当たり前」と感じる高校の授業や生活も、海外からだと違って見える!? 高校生ナナミの留学体験記、第3弾は「高校生活」がテーマ。
ナナミが滞在しているフィンランドは、世界の学力調査で上位にランクインし、その教育方法が話題となった国。いったいフィンランドの高校は日本とどう違うのか、高校生の目線からレポートしてもらった。
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私は昨年の8月にフィンランドに来てから、現地の高校に通っています。今はフィンランド語の授業にも慣れ、友達もたくさんできて毎日楽しく過ごしていますが、最初は日本の高校と仕組みが違って少し戸惑ったことも…。
そこで、日本との違いに驚いた、3つのことについて紹介します。
■私服でメイクもOK!大学のような自由な雰囲気
まず1つめは、高校は「自由な雰囲気」です。日本でいえば、大学に近い感じだと思います。
制服はなく私服だし、女子はだいたいメイクしています。授業についても自由度が高いです。例えば、朝はクラスごとに教室に集まりますが、HR後はそれぞれ自分の選択科目の教室に移動します。一部のクラスでは、上級生と下級生が交ざって授業を受けることもあります。
私が現在選択しているのは、英語・フィンランド語(外国人用)・経済・数学・フランス語・現代ワークショップ・音楽。選択肢が多く迷いましたが、自分のやりたいことや将来を考えるよい機会になりました。
■テスト前は「暗記」より「読書」が大事
2つめは、授業が「受け身じゃない」ということです。
多くの授業でディスカッションの時間があり、みんな発言します。そんな授業の性質もあってか、こちらの学校では誰も寝ないので眠くなっても寝られません!
例えば、英語の授業。先生の説明とともに英文をざっと読んだあとは、スピーキングのアクティビティや、読んだ内容について英語でディスカッションを行うのがいつものパターンです。
テストの内容も、日本でよくある一問一答のようなものではなく、与えられたテーマに関するエッセイ(作文)だったり、記述で答えるテストが多いです。例えばこの前あった英語のテストは、「暴力的なゲームをすることについて」のようなテーマが3つ出され、その中から1つ選んで自分の意見や経験をもとに150~200語のエッセイを書く、というものでした。
そのため、テスト前にやるべきことは、「暗記」ではなく「読書」です。関連する本を読んで豊富な知識を頭に入れておき、なるべく具体的で実のある文章を書けるように準備します。テストは1日1科目。時間制限はなく、終わった人から提出して帰ります。
こちらの高校では点数を競う雰囲気はなく、ほとんどの生徒が勉強を「つらいもの」だとは思っていないようです。
■クラスの結束の固さは日本ならでは
3つめの違いは、「クラスメートや先生との距離感」です。
留学前、私にとって学校生活のメインは、クラスのみんなと文化祭や体育祭などで盛り上がることでした。
それに比べるとこちらでは、クラスが団結して取り組む行事は少なく、「部活」もありません。また、先生とは担当の科目のこと以外で話すことは少なく、進路の相談は担任の先生ではなく進路について専門に扱うカウンセラーのところへ。フィンランドの先生は、いわば「授業のプロ」という感じ役割がはっきりと分かれています。
日本よりコミュニティが「薄い」ように感じていますが、それは一人ひとりの自由度が高いことの裏返しなのでしょうね。
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日本とフィンランド―― 一概にどちらの教育が優れているとは言えない。ただ、海外の例を知ると、日本のよい面も見習うべき面もみえてくるようだ。
※取材協力:公益財団法人AFS日本協会