【文化祭】暁星高校1年生が作ったプロジェクションマッピングがすごすぎる!
プロジェクターを使って、建物などに映像を映す演出技術“プロジェクションマッピング”。
今や世界中から注目されている手法で、リオ五輪の閉会式で見たという人も多いのでは?
昨年、このプロジェクションマッピングを高校生だけで完成させたのが、東京・暁星高校の「Party Maker」というグループだ。
メンバーは11人で、全員が高校1年生!
彼らが作ったオリジナルの映像作品は、文化祭で披露され反響を呼んだという。
そこでさっそく、Party Makerに会いに行ってみた!
教室中に浮かび上がる360度の迫力映像!
まずは、実際に文化祭で発表した映像を見せてもらうことに。
文化祭当日のフル映像 ※著作権保護のため、音声は消去してあります
三角形や丸などのカラフルな図形が、音楽に合わせてリズミカルに壁じゅうを駆け巡る。
これを高校1年生だけで作り上げたなんてすごい!
「ぼくはもともと、趣味で動画の編集をしていたのですが、今回のように壁に投影するのは初めてだったので、制作にはかなり時間がかかりましたね」
と言うのは、映像制作を担当した岡本斗志貴くん。
映像の作り方や演出などは、すべて独学!
ネットで調べながら様々なソフトを駆使して作ったというから驚きだ!
画像1‐1
「今回は、教室の前と横、後ろの壁“4面”すべてに映像を映して、図形が360度グルッと動くような演出にしたいと考えたんです<画像1‐1>
でも、それが想像以上に大変で…。映像を壁に投影するには、プロジェクターが必要なのですが、4面に投影するとなるとプロジェクターも4台必要なんですよ。
学校から援助してもらえる文化祭の予算は限られているので、まずは低予算でプロジェクターを確保するところから始めました」(岡本くん)
迫力あるプロジェクションマッピングを実現させるため、どうにか安くレンタルできる業者を探したり、先生に頼み込んで授業で使うプロジェクターを貸し出してもらったりと、みんなで力を合わせてなんとか確保したそう。
壁の凹凸に合わせて映像の歪みを調節…!?
そして、いざ映像制作に取りかかってみると、360度映像にはさらなる困難が…!
「普通、プロジェクターはスクリーンの正面に置いて映像を投影するのですが、4面すべてに映像を映し出すとなると、それぞれの壁のど真ん中にプロジェクターを置かなければいけなくなってしまい、とても邪魔なんです<画像1>。
画像1
そこで、プロジェクターを教室の四隅に置くことにしたのですが<画像2>、そうすると教室の角の壁に映像を投影することになるので、凹凸があって映像が歪んで見えるんですよ。
それを調整する作業に、結構手間がかかりました」(岡本くん)
画像2
画像3
壁の凹凸を計算しながらパソコンで映像を作成し、できあがったら実際に壁に投影して歪みを少しずつ調整していく…。
そんな根気がいる作業が続いたそう<画像3>。
学校上空の景色や教室を3DCGで再現!
また、作品の中には3DCG(※)映像も登場! これも岡本くんが作ったの?
「そうですね。学校周辺を空から見下ろしたり<画像4>、教室の中にスーッと上から入っていくような“視点が変わる”映像があったらおもしろいなと思って作りました。
3DCGを作るには、いろんな角度から撮影した写真が必要なのですが、教室の写真を何百枚も撮影したり、ネット上にある3Dマップをスクリーンショットし続けたりしたので、それが地味に大変でした(笑)。
でもこういう映像は、紅白歌合戦やハリウッド映画の演出にも使われていてずっとあこがれていたので、完成したときはかなりの達成感がありましたね」
画像4
高校1年生とは思えない技術…!
9分間の映像には、膨大な時間とこだわりが詰まっていたんだ!
教室中を真っ白に装飾してスクリーンに!
さらに、教室でプロジェクションマッピングを成功させるためには、“環境作り"も重要だったという。
「映像をキレイに映し出すためには、教室じゅうに白いシートを貼ってスクリーンのようにする必要があったんです。
でも、教室の壁には黒板やドア、窓などいろんな凹凸があるので、まずは壁じゅうにダンボールを貼って平らにしてから、低予算で買える大きい“ホワイトシート”を貼りました<画像5>。
これがかなりの重労働で、この作業だけで1日半もかかってしまいました」(坂場章太郎くん)
画像5
部活や勉強と両立しながら作業時間を確保しなければいけなかったので、効率化を図るため、映像担当、配線担当、企画担当、装飾担当と役割を分担し、お互いに信頼し合って進行していったそう。
トラブルを乗り越え、無事に上映成功!
そして迎えた文化祭当日!
4台のプロジェクターを使って本番と同じように映像を流すことができたのは、文化祭が始まる直前。
ギリギリまで調整作業が続いたという。
「うちの文化祭は2日間あるんですけど、実は、動画の書き出しミスが原因で、1日めは上映できなかったんです…。
だから、2日めに無事成功したときは、本当にホッとしましたね。
見てくれたお客さんたちは『すごい!』『かっこいい!』と言ってくれて、やりきった気持ちでいっぱいでした」(坂場くん)
「4つの映像がズレないよう、それぞれのプロジェクターを同時に再生させるプログラムを入れたんですけど、それがちゃんと動作するか、本番まで本当に不安でしたね<画像6>。
一度もエラーを起こさず動いてくれてよかったです」(岡本くん)
画像6
「ぼくはもともとPerfumeが好きで、中学のころからPerfumeがやるプロジェクションマッピングの演出にあこがれていたんです。
いつか自分たちでも映像を作ってみたいと思っていたので、実現できてすごく嬉しかったです!」(本郷太一くん)
終わってみれば、来場者は800人弱、合計33回もの上映を行い大盛況!
ただ、彼らが目標にしていた文化祭の最優秀賞には惜しくも届かず、悔しい思いをしたという。
目指すは最優秀賞! 次回は“ゲームセンター”?
「喜んでくれたお客さんもたくさんいたんですけど、今振り返ると、もっと見る人の気持ちを考えた演出ができたんじゃないかと思います。
次の文化祭では、お客さんが“見る”だけではなく“体験”できるゲームセンターのような企画をやりたいです。
壁に投影した映像を人の動きに合わせて動かせる技術があるので、壁でできる『デジタルもぐらたたき』や、映像のボールを蹴るサッカーなど、いろいろ考えているところです」(岡本くん)
動画2(身体に反応するプロジェクションマッピング)
高校生とは思えない技術を駆使して、また新たな作品を製作中のParty Maker<画像7>。日本の映像界で活躍する日も遠くないかもしれない…!
画像7
※「3次元コンピュータグラフィックス」の略称で、立体感のあるCGのこと。
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暁星高校文化祭企画「Party Maker」
■Twitter
https://twitter.com/GY_PartyMaker
■YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCJpflFICEjQUTPnyU14O-rA
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