PART III宗教と文明のヒストリー15過ちだらけの歴史

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歴史を覗いてみると、なんだか人間はずっと戦争ばかりしているようだ。現にこうしているいまも、世界のどこかで紛争が生じ、人びとが対立している。

なぜ人は憎しみあったり、殺しあったりするのだろうか。そもそもなにを争っているのか。

土地や稀少な資源を奪いあう。国境線を挟んでにらみ合う。富や権力を占有して他人の惨状を顧みない。肌の色や文化の違う人びと、他国の人びとを差別する。とかく敵と味方をわけたがる。

そんなふうにいろいろな事例を見てみると、どうも人間は自分と立場のちがう人たちとつきあうのがうまくないようだ。

では、争いを減らして、お互いもっと平和に暮らすにはどうしたらよいだろう。ただのきれい事に終わらせず、物事を変えてゆくにはどうすればよいのだろうか。

ひとつには、かつての過ちを材料にして、よりよいやり方を考え直してみるのは悪くない手だ。

幸いなことに、古来、人類はさまざまな過ちや愚行を重ねる一方で、それを記録し、後世へ伝えてきた人たちがいる。歴史の文書や同時代の報道に目を向けてみると、そこには考えるに値する課題が山ほど指摘されているのが分かる。

それと同時にたぶん大事なことは、自分と立場のちがう他人を知ることかもしれない。人は得たいの知れない他人について空想を膨らませ、勝手に怖がったりもするものだから。

お互いに寛容になるためのヒントは、知り合うことにある。異国の文化や歴史や言葉を覗いてみよう。自分と似ているところやちがうところを比べてみよう。そこから理解と話し合いも始まる。

もし、事態がいまよりいっそう悪くなってしまうことがあるとしたら、それは人びとが歴史を忘れて、同じ愚行を繰り返すときかもしれない。自分と立場のちがう人びとへの関心を持たず、相手を勝手に決めつけて怖がり蔑むときかもしれない。

過去の愚行を、よりよい未来を築くための材料に変えよう。

92正しい戦争はある?

戦後のない国で育った詩人の挑戦

たんに「戦後」と言ってもアメリカでは伝わらない。第二次大戦後も朝鮮戦争からイラク戦争までずっと戦争を続けてきたからだ。戦後のない国で育ったアーサー・ビナードは、「戦後」という言葉が孕む矛盾に気がつき、日本人の太平洋戦争体験者たちから戦争体験を聴くことにした。彼ら23人は元敵国の詩人に何を語るのか。

93独裁者は突然に

ガンジーとトロツキーが教授候補!?

満州は超ダイナミックな歴史装置。少し分かると近代史がたちまち面白くなる。物語の舞台の建国大学はアジア最高学府として構想された。ガンジーや革命家・トロツキーが教授候補。ナショナリズムが吹き荒れる時代、民族共和を掲げる自由で不思議な大学だった。マンガだけど本格歴史書。満州を旅してほしい。

94格差はなぜ生まれる?

アメリカンドリームの怖ろしい悪夢

どんなに貧しくても実力さえあれば成功を掴むことができる。これがアメリカの自慢だった。そのアメリカンドリームが悪夢になりつつある。貧富の差がチャンスの差になろうとしている。生まれた瞬間にほとんど人生が決まってしまうようなものだ。日本だって危ない。そんな人生、誰が望むの?

95止まらないテロ

20世紀の不都合な真実100枚

環境問題や戦争、難民や貧困を象徴するショッキングな100枚の写真を通して百年の愚行を振り返る。20世紀の不都合な真実が列挙される。日本の写真も少なくない。3.11を筆頭に21世紀になってもいっこうに愚行は止まらない。愚行を繰り返さないためにはどうすればいいのか。目を背けたくなる写真ばかりだ。

96国境は誰が決めた?

国境が直線の理由

スーダンとエジプトとリビアの国境線はなぜ直線なのか。現在の国境は西洋列強が線引きした。帝国主義国が世界を分割する野望に燃えていた19世紀末から20世紀にかけてのこと。そのときアフリカもアラブもズタズタに分断されてしまったのだ。

97隣国とともに

ジニは「先に大人になる」を選んだ

著者の崔実は在日コリアン三世だ。在日の子どもたちは、日本の小学校に入学すると同時にある選択を迫られると書く。誰よりも先に大人になるか、他の子供のように暴れまわるか。主人公・ジニは前者を選んだ。感情を殺し、差別をアタマで理解する決心をしたのだ。二つの言語の間で生きた少女が起こした革命とは? 群像新人文学賞を受賞した物語。

98自分の国を想う

日本生まれハーフのアイディンティティ

ハーフはガイジン? 日本人ってなんだろう? 移民1.5世の温又柔(おんゆうじゅう)が、台湾人と日本人のハーフの琴子や嘉玲、両親が中国人の舜哉、複数の国と言語の間で葛藤しながら生きる日本生まれのハーフの若者たちを描いた。「日本人の読み手にとっては対岸の火事」という芥川賞の選評が大炎上した話題作でもある。

99文明ってなんだ?

ゼロから文明を再起動する方法

たとえば、核戦争、感染症、異常気象や巨大地震。文明は意外とあっさりと崩壊してしまう。大破局後、先進国の人間たちはどうやって穀物を栽培し、衣服をつくるのかすら自分たちが知らないことに愕然とする。本書はそんな思考実験にリアルに取り組んだ文明科学ガイドだ。読んでおくなら今のうち。文明を再起動せよ!

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