PART III宗教と文明のヒストリー17混乱を乗り越えて

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いまでは想像しがたいことだけれど、かつてこの国にはいくたびもの戦乱があった。はじめは国内で、後には諸外国とのあいだで。

戦国の世、日本全土がいくつもの国に分かれた群雄割拠の時代。誰が天下を統一するかとしのぎを削った者たちがいた。

最初のクライマックスは関ヶ原の大合戦。天下分け目の戦いを経て長い江戸時代に入る。

そのまま徳川家の統治が続いていたらどうだったか分からない。だが実際にはペリー来航をはじめ、さまざまな要因や思惑が重なりあって、江戸幕府の支配が揺らぎ始める。国の進むべき道をめぐって再び内乱が起きる。風雲急を告げる。

そうした幕末の混乱を経て、新生明治政府から、日本は改めて海外へと膨張を始める。日清日露戦争と二度の世界大戦。東アジアを支配した大日本帝国の出現と崩壊。

その間、関わり、巻き込まれた地域では、どれだけの命が失われ、都市と生活を破壊されたことか。その傷はいまも癒えきったとはいえない。

1945年の敗戦とアメリカ進駐軍による占領を経て、日本は民主主義国家として復興への道を歩む。

以後、戦争こそしていないものの、混乱の種は尽きない。例えば古来、地震多発地帯である日本で、原子力発電所の事故という考えられるなかでも最悪のアクシデントが起きたのは2011年のことだった。

では、こうした数々の混乱から、私たちはなにを学ぶことができるだろうか。どうしたらよりよい未来を築けるだろうか。

少なくともいえるのは、これまで先人たちが経験してきた失敗や混乱を忘れずに他山の石とすることだ。過去を材料として未来をシミュレーションしてみよう。

108戦国の歩き方

魔王・信長を震え上がらせた海賊王の娘

戦国時代の海賊王、村上海賊の娘である主人公・京は、魔王・織田信長をブルブル震え上がらせるほど強かった。同じ海賊マンガでもファンタジックな『ワンピース』とはひと味違う。史実に基づいたリアルでど迫力な痛快さがある。時代社会を海の民から眺めてみると新しい日本の歴史像も見えてくる。島国日本にとって大事な視点だ。

109幕末はイケメンぞろい

新撰組のニューヒーロー!

新撰組は敗者の物語だ。近藤勇も土方歳三も敗れて早逝した。夭折のヒーローたちは義にこだわった。新選組で一番強かったと言われた男が主人公の吉村貫一郎だ。彼は死の美学にメラメラしない。美よりも生を選び、銭のために刀を振る。泥臭く矛盾した生き様には義のニュースタイルが息づいている。

110戦争が生み出したもの

手塚治虫のファミリー・ヒストリー

手塚治虫が家のルーツを描いた。ひいおじいちゃんの時代の物語だ。主人公は医師の手塚良庵と青年武士・伊武谷万二郎。福沢諭吉や西郷隆盛と交わり、幕末の激動を駆け抜ける。実は手塚良庵は福沢諭吉の自伝『福翁自伝』にも手塚の名で登場する。そうとうな女たらしだったらしい。

111戦下の日常

数学の天才が戦争を止める

日本がずぶずぶと失敗の歴史に足を踏み込んでいくさなか、数学の天才が戦争を止めようとする。1933年、新型戦艦建造計画会議で莫大な費用がかかる戦艦大和の採用を阻止するため、真の建造費を算出する。ミリタリーマンガに数学を掛け合わせた点が著者・三田紀房ならでは。歴史も数学も必須教科だ!

112この世界の片隅に

みんなずるずると戦争をする側に

戦時中の広島が物語の舞台だ。主人公・すず、その家族や友人のなにげない日常が丁寧に描かれる。当時の多くの国民がそうであったように、すずも戦争をする側にまわる。明確な理由は示されない。どうしてなのか。戦争の危機が警鐘される今こそ、考えてみてほしいポイントだ。大ヒットした映画もオススメ。

113戦後は難しい

沖縄とボリビアから戦後を見る

沖縄戦を生き残り、全てを失った主人公の女性・知花煉(ちばなれん)は、ボリビアへと渡る。犯罪、借金、ゲバラとの恋。何度もどん底に落ちながら煉はなりふり構わぬ行動力で這い上がる。ボリビア革命、キューバ危機など、実在の人物や史実とフィクションが交錯する。沖縄とボリビアから戦後はどう映るのか?

114天皇と日本の行方

天皇制は日本でいちばんの難題

天皇とは何か。天皇制は世界的にもごくまれなシステムで、こうあるべきだという正解はない。思想家・内田樹もああでもない、こうでもないと頭を抱えている。大切なことは自分なりに考え抜くことだ。答えのない、日本でいちばんエキサイティングな難題に挑戦してみてほしい。

1153.11を忘れない

自分が自分じゃなくなっていくリアル

ゆるふわアニマルギャグコミック「ぼのぼの」の作者でもある、いがらしみきおが挑んだ震災マンガだ。震災から数年後の東北の地で、なぜ逃げないのか、と認知症の老人が問う。これがトリガーとなってメインテーマが浮かびあがってくる。ほんとうの私とは何か。

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