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COCOON
今日マチ子/著

無力な少女が戦争に立ち向かう

沖縄のひめゆり学徒隊が話のモチーフだ。戦争という巨大な暴力に対して無力な少女はいかにして立ち向かえばいいのか。お母さんの石鹸の香り、「わたしたちは想像の繭(まゆ)に守られている」というおまじないだけが主人公・サンの唯一の武器だった。繭はコクーンのことだ。甘やかな想像力は過酷な現実と戦うエネルギーを秘めている。

「戦下の日常」の他の本

数学の天才が戦争を止める
アルキメデスの大戦 1
日本と中国の軍事衝突にゾクッ・・・
空母いぶき 1

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