私は主に外来の患者様のリハビリテーションを担当しています。週に1度、病院でリハビリをしていただくだけでなく、ご自宅でのトレーニングやセルフケアの指導も重要な役割です。作業療法士の仕事は、患者様の日常生活で困っていることを改善していくこと。例えば手を骨折して長くギプスをしていた患者様の中には、筋肉が衰えて家事やお仕事などに支障をきたす方が多くいらっしゃいます。患者様が何に困っているのか、どんな自分を取り戻したいのかを伺い、リハビリを続けた結果、「仕事に復帰できそうです!」「スポーツができるようになって嬉しい」と患者様の生き生きする様子に立ち会うことができるのが、この仕事の魅力です。
元々「人と関わる仕事がしたい」「仕事の中で音楽を使うことができる仕事に就きたい」と思っていました。高校生の進路選択の際に、色々な職業について調べていく中で、リハビリテーションを見学する機会がありました。作業療法士の方が患者様のお話に真剣に耳を傾け、長い時間を共に過ごす様子を見て、患者様の人生に寄り添う作業療法士という仕事に興味を持ちました。さらに作業療法士について調べていくと、運動や道具を使った手先のリハビリ、音楽など、リハビリの手段は多岐にわたることがわかり、その点にも魅力を感じました。
大学の授業では、あるテーマについてグループで考え発表するなど、グループで課題に取り組む機会が多かったので、同級生とは大変な時に励まし合う良い関係を築けました。国際医療福祉大学では1年次から実習があり、3年、4年次の実習では学生1人につき、1人の患者様を担当して評価や実際のリハビリを行います。仕事を始めると毎日毎時間、異なる患者様を担当させていただくので、短時間で自分の考えをまとめる力が必要です。その土台になっているのは、患者様と向き合いリハビリについて考えた、実習の時の経験だと思っています。「これまでの授業は、すべてこのことに繋がっていたんだな」と、改めて在学中の学修の重要性を感じています。
山王病院 リハビリテーションセンター 勤務/小田原保健医療学部 作業療法学科 卒/2019年卒/「作業療法士は患者様のために存在すること」「患者様に寄り添ったリハビリをご提供すること」という気持ちを忘れずに仕事を続けていきたいと語る大渕さん。この仕事に向いているのは「人とコミュニケーションを取るのが好きな人」そして「音楽やスポーツなど様々な分野に興味があり、患者様の生活を想像してお話が聞ける人」だという。休日には飼い犬と遊び、日々の疲れを癒している。