大工という仕事は本当に大変な仕事で、修行の道はとても厳しいです。そして習得すべき技術もたくさんありますので、どこまでステップアップすればゴールというものではなく、自分の技術や知識を高めていく修行は常に続きます。でも大変な分だけ、やりがいは大きい。一つの仕事に自分が心を込めて取り組んで完成させた時の達成感、満足度は、とても言葉では言い表せないくらい格別なものがあります。特に、完成した家に足を踏み入れた時のお客様のうれしそうな笑顔やうれし涙を見た時や、「本当にありがとうございます」という言葉をかけられた時には、「本当にこの仕事をやってきて良かった!」と心から思い、改めて自分の仕事に誇りを感じます。
私は10年近く、昔ながらの伝統的な技術を持った大工の親方について仕事を一から学びました。そこでわかったことは、日本の大工に受け継がれている伝統技術はとても奥深く、素晴らしいものであるということ。もちろん、技術的には難しいことも多く、いろいろなことに必死な思いで取り組みました。その過程でひとつひとつの技術をしっかり理解して自分のものにできた時は、やはり感動しますし、大きな自信につながりました。後輩の皆さんも、やるからには「大工の道を追求したい!極めたい!」という熱い気持ちを持って取り組んでほしいと思います。そして、立派な大工の棟梁をめざしてください。
将来、より幅広い仕事をやっていくためには、これまでの大工の仕事に加えて、自分で設計図も書ける建築の知識も必要であると考え、懸命に勉強し、2006年に一級建築士の免許を取得。続いて、2010年には一級技能士の資格も取得することができました。独立して4年になりますが、当初の夢だった“お客様にとっては一生に一度のイベントであるマイホーム”を作って喜んでいただくという仕事も徐々に軌道に乗ってきたところです。今後はもう一歩進んで、他にはないオリジナルな家をお客様と一緒に作っていけるような職人、そして次の世代に技術やもの作りの心を伝えていくことができる職人をめざしていきたいと思っています。
株式会社小峰工務店 Life Design 一級建築士事務所 所属/建築系(建築・木造・設備・インテリア・イベント設営)/1996年3月卒/幼い頃、近所で建築中の家を見て大工の仕事に興味を持つようになった小峰さん。「母の実家が畳職人だったこともあり、“職人”というものに漠然と憧れていました」。建築設計科では勉強や課題が大変だったものの、仲間と励まし合いがんばることができたという。当時の仲間は「財産」だ。卒業後は1年間のフリーター生活を経て、狭山の大工の親方のもとで10年近く修行した。その後は別会社で最新の建築技術を学び、独立。週末は、中央工学校時代の仲間と仕事の情報交換もかねて、千葉の海岸でサーフィンを楽しんでいる。