近年、ビジネスや医療など様々な分野で高度な分析が求められることが増えています。自治体や企業が実施した施策が、実際の効果につながったかデータから検証する作業は様々なシーンで求められますが、このようなデータは複雑性が高く、従来の統計的な手法では十分に分析しきれない場合がありました。例えば、ある食品に痩身効果があるかを検証する場合、その食品を食べたグループと食べていないグループを比較しても、一人ひとりの生活習慣や運動量など前提条件が違うため、本来の因果関係はわかりません。私の研究では、機械学習的アプローチを用いて複雑な現象を柔軟にモデリングし、施策の因果的効果を推定し、解釈可能にする手法を開発しています。今までよくわからなかった物事の謎が解明されていく過程は、とてもわくわくします。
「線形代数学」や「数理情報リテラシー」の授業を担当している中村先生。「線形代数学」では、データサイエンスを活用できる人材になるうえで知っておくべきベクトルや行列の基礎を学び、演習を通して理解度をあげていきます。また「数理情報リテラシー」では、生成AIや深層学習を「使う」ことを意識した授業を展開。「日常生活で生成AIをどう活用できるか」などをテーマに議論し、プレゼンも行います。留学生も含めた多様な意見に触れることで、社会の課題をデータを使ってどう解決していくか考える力を養います。
この学部の強みは、基礎・理論を専門とする教員と、医療やスポーツへの応用を専門とする教員が両方そろっていること。理論から応用まで一気通貫した環境で、思いっきりデータサイエンスを学んでみませんか?
専門分野:統計的機械学習、統計的因果推論、ノンパラメトリック回帰モデル、木構造モデル、ベイズモデリング
経歴:慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業。慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻前期博士課程修了。修士(工学)。慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻後期博士課程修了。博士(工学)。
慶應義塾大学大学院理工学研究科研究員を経て、2023年より現職。