日本中世史を民衆の視点からとらえることに取り組んでいます。中世というと「戦国時代・戦国大名」のイメージを持つ人が一般的には多いのですが、それだけではなく大名や武士が台頭してくるなか、それに対して民衆が共同体を作り、知恵を使ってたくましく生き抜いた時代でもあるのです。私はこういった名もなき人たちが大名と互角に戦って自分たちでルールを作っていく姿に関心を持ち、中世のなかでも特に戦国時代の民衆の歴史や、織田信長と戦った一向一揆などを中心に研究しています。また、中世は、村や地域社会、共同体などが生まれてくる時代であり、お茶やお花、踊りなど、現代にもつながる文化の基礎が生まれてきた時代でもあります。授業では、学生たちにこうした「中世人の息づかい」を感じてもらいたいと思っています。
ゼミでは、中世の人々が書いた手紙や日記史料を読み解きます。現代語訳をするだけでなく、その背景や生活、どういう人物かなどを調べ、追究していくのです。「例えば書かれている食べ物、着物の柄について意見を交わしながら考えてみる。『ツルを食べていた』といった思わぬ発見もあります」と川端先生。歴史的な場所へのフィールドワークや研修旅行も実施し、さまざまな形で歴史を見る目を養っていきます。「こうして身につけた『課題を見つけ、史料を集めて分析する力』は、将来どんな分野でもきっと役に立つはずです」。
歴史学は単なる過去の検証ではなく、現在や未来を考えるうえで大切な学問です。そして自分で課題を見つけて考えていく学問です。自ら学ぶ楽しさを味わうとともに、歴史をきっかけに関心の幅を広げていってください。
専門:日本中世史
大谷大学大学院文学研究科博士後期課程(仏教文化専攻)単位取得満期退学。博士(文学)。大谷大学助手を経て、2010年大谷大学文学部歴史学科着任。日本史研究会、仏教史学会所属。主な著書『日本中世の地域社会と一揆-公と宗教の中世共同体』(法藏館2007年)
「京都は歴史の街。大学周辺にも応仁の乱発祥の地や大徳寺、建勲神社など中世に関係する場所がたくさんあるので、ぜひ足を運んでください」。