イギリスが生んだ偉大な劇作家シェイクスピアを研究しています。私が特に強い関心を寄せているのは、日本の明治や大正時代、昭和初期。この時期、少年少女向けに数多くの雑誌が出版され、シェイクスピアの作品をアレンジした改作が次々と発表されました。その改作ものを調べることで当時の少女期に対する価値観が原作にどう影響し、日本の社会にシェイクスピアがどのように受け入れられていったかを明らかにするのが私の研究テーマです。私がシェイクスピアにふれたのは、子どもの頃読んだ『ロミオとジュリエット』が最初。大人になって読み返すと、子どもの頃とはまた違う考えや感想を持ちました。現代社会にも通じる人間の普遍的なテーマを鋭く考察したシェイクスピア作品の魅力を、ぜひみなさんにも知ってほしいと思います。
シェイクスピアが扱うテーマは、現代社会とも共通点があります。そこで「表現文化演習」では、原作を読んで興味を持った1場面を取り出し、現代の設定に置き換えた自作のムービーを作成。出来映えを競い合うコンテスト形式の演習を行っています。また名所旧跡を訪れる外国人観光客にアンケートを行い、結果をもとに地元のホテルやお店に外国人向けのPRや公共の制度の活用を提案する取り組みも。本を読むだけでなく、教室の外に出ることで異文化を理解し、自分の考えを論理的に説得力を持って伝える力を養ってほしいと思います。
旅行や語学の勉強で海外を経験した学生が、ビックリするほど成長して帰ってくる姿を何度も見ました。「日本」というワクを飛び越えて、世界中の人たちと実際に接することで、今までとは違う自分が見えてきます。
バーミンガム大学シェイクスピア研究所修士課程修了。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程 (英文学専攻) 修了。文学博士。大谷大学任期制助手、梅光学院大学専任講師を経て、2011年に大谷大学文学部着任。子どもの頃から歌うことが大好きで、合唱団に所属。今でも音楽には深い関心がある。担当科目:国際文化演習/日本語表現(実践)/英文学概論など