医薬品のどの成分が、分子レベルでどのように作用して薬の効能を生んでいるのか。様々な解析機器を用いてビジュアル化するなど、分子解析の研究を行っている山口 健太郎先生とゼミの学生さんにお話を聞きました。
世の中にある薬の多くは、仮説に基づく治験を繰り返して効能や安全性が“確認”されたもの。分子レベルで何がどう働いてその効果が現れているかの“仕組み”は明確でないものも多いのです。分子の働きを明らかにできれば、創薬・既存薬の改良などにつながります。つまり医薬の進化に貢献するテーマを扱うのが私の研究室です。分子の振る舞いを解き明かす解析法の研究を通して、目的に合わせた手段を考え実行できる能力を養います。
発熱などの副作用が話題になっている新型コロナウイルスのワクチンも、分子の働きが明らかになれば、副作用を起こす原因が特定でき、より安全なものにできるかもしれません。かつて、分子解析は平面構造に基づく2次元のものでしたが、現在はX線などを使って、3次元の立体構造としてビジュアル化できる装置が開発されています。様々な機器を駆使して、分子構造の解析に従事する研究者として今後も研究を続けていきたいです。
薬学部に進学したのは、忙しい中で丁寧に薬の説明をしてくださった薬剤師の方に憧れたことがきっかけです。大学では薬に関する学修はもちろん、服薬指導の実習などもあり、国家試験対策も充実しています。就職後も、専門薬剤師の認定取得を目指すなど、進化し続ける薬剤師でありたいと思っています。いまは、物質を機械で解析できる結晶の形にするための手法を研究しています。先生との距離も近く、何でも相談しやすい環境です。