動物医療を志すにあたり、まず理解してほしいのが「獣医学」と「動物看護学」はどう違うのかという点です。獣医師と愛玩動物看護師が連携するチーム動物医療は、効率的で適切な治療に必要とされる医療体制であり、それぞれが担う役割において、プロフェッショナルであることが求められます。「獣医師は動物を診(み)る」、「愛玩動物看護師は動物を看(み)る」と表現されるように、愛玩動物看護師の役割は「診断や診療」ではなく、「動物」さらには「その動物の飼い主」をケアすることです。よって、本学では「適正飼養指導論」や「動物医療コミュニケーション」のような、動物を取り巻く「人」を対象にした科目も学びます。
私が研究科長を務める大学院動物看護学研究科では、愛玩動物看護師の育成において指導的役割を担う人材の養成を目指しています。
梅村教授が担当する「動物病理学」は、様々な疾病が組織や臓器にもたらす変化を学び、病態について理解する科目です。「獣医師が下した診断に基づき、愛玩動物看護師は病態を正しく把握し、適切な看護計画を立て、実行します。そのためには病理学の他にも薬理学、臨床検査学など動物医療全般の知識も不可欠です。また、動物医療の高度化が進む中で、動物医療チームの一員として愛玩動物看護師にも高度な知識や技術が求められています。人と動物との共生社会も多種多様に発展し、その中での愛玩動物看護師の役割も大きく期待されています」
動物は好きだけど、人間はあまり好きじゃない」という人は、実は愛玩動物看護師に向いていません。動物に関わる仕事を目指す人は、ぜひ動物と共に生きる人間にも強い関心を持っていただきたいです。
専門科目/動物看護学概論、動物病理学、動物感染症学II 他
略歴/動物看護学部長・大学院動物看護学研究科長。日本獣医病理学専門家、日本毒性病理学認定専門家。毒性病理学、実験病理学を専門に研究している。