洋菓子は誕生日や結婚式など、人が生まれた時からずっと人生の節目に登場するもの。このことから私は、「パティシエは人の幸せをお手伝いする職業だ」と常々思っています。お菓子は必ずしも生きていくために必須なものではありませんが、人をもっと幸せにできたり、元気を与えることができる職業であることをパティシエを目指す学生にも知ってほしい。この仕事を楽しんでほしいとの思いを胸に指導しているつもりです。パティシエは、結果的に技術で差がつく厳しい世界というイメージもあるでしょう。ですが、自分磨きの時間も楽しめれば、きっと仕事を好きになれ、パティシエを目指すに大きな力になります。私の授業では、小さな練習の積み重ねの中で技術が身につく楽しさを実感してくれたらうれしいですね。
業界の第一線で活躍されているパティシエが、学生に直接その技と心、成功体験を伝えるのが学校独自の「特別講義」です。山本シェフには世界大会で活躍し得られた経験も含め、技術面や食材の大切さについてなど、様々な貴重なお話を頂きました。また、学生が実際にお店の商品開発に取り組む「企業プロジェクト」という授業では、できあがったケーキが山本先生の株式会社クラブハリエで実際に商品化されました。
洋菓子の世界には、感性やセンスといった「目には見えにくい力」が不可欠。技術とは違いすぐには磨けないものですが、毎日の生活の中で美しいもの、心ときめくものにアンテナを向け続ければ必ず身につけられます!
滋賀県近江八幡の老舗和菓子店「たねや」に生まれる。三輪壽人男シェフ(鎌倉)の 元で修行後、家業を継ぎ「クラブハリエ」の役員に就任。現在は代表取締役社長グランシェフとしてバームクーヘン専門店「B-studio」、フランス菓子専門店「オクシタニアル」など、多数の店舗を経営。2010年アメリカで開催されたWPTCでチームジャパンのキャプテンとして出場し優勝。