アメリカのプロスポーツ、中でも大リーグをテーマにスポーツとジャーナリズムの関係について考えています。現在の研究テーマは「ステロイド時代」とよばれた1980~90年代の大リーグ薬物報道。オリンピックでドーピング検査が始まったのは1968年ですが、大リーグでドーピングに対し罰則が与えられるようになったのは2004年とかなり遅れます。オリンピックで薬物使用が発覚した選手がメダルを剥奪される一方で、ステロイドで筋肉を増強した大リーグ選手が大記録を作り賞賛される報道がされてきました。このように80~90年代は報道の方向性がゆれていた時代。当時の報道を検証しながら、スポーツジャーナリズムの問題点や日米の違いなどについて研究し、スポーツという定点からアメリカ社会の多様な側面を考察しています。
どの講義でも学生に対しては「書く」瞬発力を求める授業を行っている神田先生。『マス・コミュニケーション演習・実習』では、江戸川大学の運動部を取材し、スポーツニッポン新聞社の協力を得て、スポーツ新聞『スポエド』を制作します。新聞制作の全ての過程を学ぶためには、実際に新聞を作るのが一番。取材、執筆は元記者の神田先生がプロのスキルを交えて指導。写真撮影、レイアウトについては、スポーツニッポン新聞社の現役記者、整理部員の指導を受けながら、リーグ戦のレポートや選手の表情を伝えるコラムなどを制作しました。
運動することが苦手でも、スポーツが好きな気持ちがあれば歓迎です。疑問点を取材し、物事を人に伝える力を磨く手法はスポーツジャーナリズムを学ぶことで身につきます。この力はどんな世界でも役に立ちますよ。
専門:コミュニケーション、情報、メディア(スポーツジャーナリズム)
大阪大学文学部美学科卒業。1992年共同通信社に入社。高松支局を経て、運動部にて主にプロ野球を担当する記者に。ニューヨーク支局には2度にわたり計9年半勤務する。アメリカ大リーグを中心に取材を続けながら、スポーツという切り口から社会のさまざまな現象について向き合ってきた。2017年より現職。