アズレン(C10H8)は、抗炎症作用を持ち、紀元前から薬用ハーブとして用いられてきました。現代では胃薬やうがい薬、目薬にも使用されています。鮮やかな青色が特徴で、青いのどスプレーや青い目薬を使用したことがある方も多いのではないでしょうか。アズレン単体には副作用が少ないので、私はアズレンを用いた副作用のない新しい薬(抗がん剤)への展開を目指し、長年に渡って学生や隣接する明海大学の先生とともに研究・合成実験を続けています。実験は予測を立てて行われますが、予測通りの結果になることはほとんどなく、新薬につながる成果がいつ出るのかは誰にもわかりません。アズレンの研究はなかなか興味深い結果が得られないなどのジレンマが多く、研究者が減少していますが、だからこそ研究の火を消さないことが私の責務だと考えています。
先生の研究室では、学部の4年生と大学院生が合同で研究を行っています。新規のアズレン類を合成するチームと、薬理活性研究を行うチームに分かれて行い、日々実験に明け暮れています。その研究の成果は、年度末の2月に行われる卒業研究発表会で披露し、その中で学生が自信をつけて卒業します。「研究中は壁にぶつかることが日常。けれど、その都度考え乗り越えることで、精神力、持続力、コミュニケーション力、さらには体力も養われます。私の研究室を経て社会に出た人材は、社会的評価もとても高いんですよ」(若林先生)
何でもいいので夢や目標を持って大学に入学してください。そうすれば自然と自分が学ぶべきことが見え、有意義な大学生活を送ることができます。自発的な学びはあなたの糧になり、社会に出てから必ず役に立ちますよ。
専門:有機化学
略歴:1978年城西大学理学部卒、理学博士(1989年東北大学)。城西大学理学部助手、同講師、同助教授、同准教授を経て、2010年より現職。学科主任も務める。カモミールやヨモギなどの植物油に含まれるアズレンに魅せられ、趣味は研究と語るほど研究・実験に没頭する日々を送る。「最近は歴史・古城散策を兼ねた温泉旅行にも出向くようになりました。これからもいろいろなところを回りたいですね」