英語の授業で行う和訳・英訳では、文法的に正しく、単語をもらさずに訳すことが重視されます。それでも意味は伝わりますが、たとえば映画の字幕では通用しません。翻訳は、言語として自然な訳か、ネイティブスピーカーが読んでも違和感がないかなどをクリアしながら、与えられた条件の中で最良の表現を探る作業です。それは、自分というレンズを通して自然かつ的確な表現を創り出す、とても高度な作業でもあります。伝わる翻訳をするには、下調べや用語集づくりなど、いくつものステップを要します。翻訳は数学のように正解が一つではなく、翻訳者のレンズによって同じ意味の文章でも表現に個性が生まれるのが面白いところです。たとえ翻訳家にならなくても、翻訳力は異文化をつなぐコミュニケーション手段として、社会のいろいろな場面で役立ちます。
良い翻訳とは何でしょうか。ジョーンズ先生のゼミでは、翻訳をする前に「誰がこの文章を読むのか?」、「この文章の目的は何か?」を考え、書き出します。翻訳は、常に読者のことを第一に考え、原文と訳文の間にある文化的・情報的なギャップを最小限に抑えることが大切だからです。スムーズな読書体験を提供するにはどうすればよいか、いろいろなタイプの文章を翻訳することを通じて一緒に考えます。これらを通じて獲得した読み手を想像するコミュニケーションスキルは、ビジネスシーンでの活躍にも繋がっていきます。
翻訳力をつけるにはたくさん知る、読む、書くことが基本。常にアンテナを幅広く張り、そして自分の言葉でたくさんの文章を書きましょう。翻訳の楽しさを実感できる頃、あなたの翻訳力は本物になっているはずです。
<最終学歴> Ohio University (B.S.S.), Washington University in St. Louis (M.A.)
「子どもの頃から、いつか日本語を勉強したいと強く思っていました。大学生になり、日本語の授業が取れると知って大喜び!やっと出会えた日本語の勉強はメチャクチャ楽しいものでした。そして大学院に進み、日本のさまざまな時代の文学に触れ、自分の手で日本語の作品を英訳する仕事に就こうと決心しました」