日本人の現代アーティストとして、アートの最前線にいるプロの現場で働くことは大きな緊張感と同時に大きな発見があり、強いやりがいを感じています。私は在学中、主に美術・芸術の領域を専門的に学んでいましたが、プロの現場で「アート」の概念と、作品をわかりやすく言語化し、パッケージ化するために必要な領域を学んだことで、自身の作品とアートに対する向き合い方が大きく変化しました。より多角的に感性が深まったことは、私の作家人生のなかで重要な分岐点のひとつになったと思います。
学生時代から、将来は自身の表現活動と両立が可能な仕事に就きたいと考えていました。そうしたなか、学年を進級するタイミングでクラスメイトから紹介をしていただき、現在の仕事に至ります。当初はプロの現場の華やかさと厳しさのスケールに、とても圧倒されたのを今でも覚えています。制作現場ではファクトリー形式を採用しているため、私の他にも数人のアシスタントが在籍しています。アシスタントの仕事として手がける作品は、「現代アーティスト鎌谷徹太郎」の作品として世に出るものですので、鋭い緊張感が制作現場で漂います。他の仕事では味わえない貴重な経験だと日々感じています。
学生時代はトライアンドエラーを繰り返しながら、自分自身を問い続ける日々でした。制作に行き詰まったときは、自らの抱えている問題や課題を書き出すことで「可視化」をし、客観的に捉えるようにして取り組むように意識していました。また、先生方やクラスメイトからたくさんの学びと刺激をいただき、集中して制作に挑むことができたことは今でもとても感謝しています。自由度の高いカリキュラムも多かったため、実際に美術館などに足を運び、イメージソースを集める時間も充実した制作時間の一環の一つだったと思います。
KAMATANI STUDIO/ファインアート科 絵画専攻/2022年卒/現代アーティスト・鎌谷徹太郎氏のアトリエで作品の制作補助をするかたわら、自身の絵画表現を追求している鹿島さん。現在のモチベーションはどのようなものか語ってくださいました。「学生時代から続けている習慣が私を支えています。それは将来の目標やイメージを言語化して、必要な目的を具体的にすること。私を支えてくださる方々への感謝の気持ちを忘れずに、日々制作に取り組んでいきたいです。」プロの現場で肉体・精神面ともに日々ブラッシュアップしている鹿島さん。作家としての活躍にも期待です。