アニメーションに声を吹き込む声優の仕事に、正解も不正解もありません。また、ゴールもありません。私は長年に渡って声優の仕事をしていますが、どんなに自分と一体化したキャラクターを演じても、毎回が試行錯誤の連続です。そのシーンを見る方々の心に響く表現とは何か。「声で演じる」ことは、本当に奥が深いんです。そして、キャラクターに「生」を与える声優の仕事は、感情を持つ人間にしかできません。セリフを活かすためには、読解力、つまり国語力が必要で、その上で人の心を揺り動かすにはものすごく大きなエネルギーも必要です。さまざまな困難やチャンスを乗り越えて掴んだ、自分と一心同体のキャラクターは声優にとっての宝物です。私も演じているたまちゃん(ちびまる子ちゃんの親友)から、たくさんの幸せをもらっています。
声優を仕事にすることの厳しさを、渡辺先生は折に触れて学生たちに伝えていますが、それだけでなく、やりたいと決めたからには数年間はやり抜くこと、そしてもし目標が叶わなくても声の仕事に本気で関わりたいのであれば、演者以外にも、いろいろな仕事があることを伝えます。「才能も運も必要な世界だけに、誰もが成功するわけではないけれど、やりたいという情熱に対する覚悟や強さを持つことは、どんな状況になっても必ず学生たちの糧や力になります。私と学ぶ2年間は、そんな覚悟を身につける時間なのかもしれません」(渡辺先生)。
何事もチャレンジしてみなければ始まりません。やりたいと思ったからには、狭き門だと最初から諦めないで飛び込んでみましょう!自分がどこまでできるか、チャレンジする価値が大いにある世界ですよ!
専門科目:アテレコ
略歴:東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業。学生時代は俳優を目指していたが、その後声優の道に。株式会社青二プロダクション所属。主な出演作品は、「ちびまる子ちゃん」たまちゃん役、「ドラゴンボールシリーズ」チチ役、プーアル役、「大家さんと僕」大家さん役、愛・地球博のキャラクター「モリゾーとキッコロ」キッコロ役、「ジャングルはいつもハレのちグゥ」グゥ役など多数あり。