薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

薬剤師というと、病院・薬局などで薬を調剤したり、ドラッグストアなどで薬の飲み方の説明をしてくれたりする人、というイメージが強いよね。

薬剤師の仕事には、そのほかにも、薬の研究開発や情報提供、流通段階での品質管理、行政での業務など、さまざまな仕事内容があるって知っていた?

勤務場所も、病院、調剤薬局、ドラッグストアをはじめ、製薬会社、医薬品卸売会社、学校、保健所、厚生労働省など、幅広く活躍できる。

そこで、薬剤師の仕事内容、薬剤師になるにはどうすればいいか、どんなところで働くことができるのか、詳しく解説。

実際に薬局や企業で活躍している薬剤師に、仕事内容、やりがいなどについて話を聞いてきたよ。

薬剤師って、どんな仕事?

薬の調剤、管理、販売、情報提供、研究開発、行政の仕事など

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

※薬剤師とは国家資格を持つ薬のスペシャリスト


薬剤師とは、薬に関する専門的な知識を幅広くもつスペシャリスト。

医師の処方箋に基づいた医薬品の調剤は、薬剤師の国家資格をもっていなければできない仕事。

薬を調剤して、正しい飲み方の指導をはじめ、新薬や化粧品などの研究開発、医薬情報担当者(MR:Medical Representative)、学校・保健所・厚生労働省での勤務、麻薬取締官など、さまざまな仕事内容がある。

★薬剤師の仕事内容★
●調剤
医師の処方箋に基づいて、患者の薬をそろえる。
お薬手帳や患者への聞き取りで、病気やケガの症状、現在の体調、過去に処方した薬やアレルギー、妊娠の有無などを確認したうえで、薬を調合する。
薬を飲みやすくする工夫も行う。
●薬の販売
一般用医薬品などの市販薬を情報とともに販売したり、薬の相談にも対応したりする。
市販薬でも、第一類医薬品や要指導医薬品は薬剤師から購入しなければならない。
●薬の服用歴の管理
薬歴と呼ばれる患者ごとの薬の記録をつける。
どのような薬を飲んだことがあるか、副作用が出たことがある薬は何か、患者にとって大切な記録になる。
●患者への指導とアドバイス
薬を安全に使ってもらうために、調剤した薬の正しい飲み方や使い方、副作用について説明する。
患者のライフスタイルに合わせて、必要なアドバイスも行っている。
●薬や化粧品の研究・開発
新しい薬や化粧品の開発に向けて、効きめのありそうな成分を調べたり、安全性を確かめる臨床実験やデータ収集にたずさわったりしている。
●薬の製造
薬の製造工程において、成分や配合量などを繰り返し検査して、安全な薬の製造をサポートしている。
●薬の流通
薬が正しく安全に使われるように、流通段階での品質管理をする。
保管や配送の際、その薬に最適な温度や管理方法などを指導。
情報をプラスして病院や薬局などに届ける。
●医薬情報担当者(MR:Medical Representative
医師や薬剤師などに対して、新薬などの医薬品に関する情報を提供する専門家。
薬剤師の国家資格がなくてもできる仕事だが、薬剤師がMRとして製薬会社に就職するケースもある。 
●学校薬剤師
学校のプール、給食、空気、水道水などの衛生状態を検査する。
理科室の薬品や保健室の薬を管理するのも薬剤師の仕事。
●新薬の認可
国の研究機関、薬の認可を行う厚生労働省などでの仕事。
民間の製薬会社から申請された薬剤について、データや臨床試験をもとに、薬として流通しても安全なものなのかを精査する。
●薬物乱用防止運動
薬物が乱用されないよう、地域の中での普及・啓発活動にたずさわる。
地域の薬物乱用防止講習会の講師も行う。
●麻薬の捜査
厚生労働省に所属する麻薬捜査官は薬剤師の仕事。
薬物犯罪の捜査のほか、医療などの目的で許可を得て合法的に使用されている麻薬に対する不正使用や横流し、盗難などの監視と捜査を行う。
●食品衛生監視業務
保健所の職員として、飲食店などに対し、食品衛生監視、指導、調査、検査などを行う。

薬剤師になるには?

薬剤師になるには国家資格が必須

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

※薬剤師養成課程がある6年制の学科に入学することが必要


薬剤師になるには、大学の薬学部(6年制)で薬剤師養成課程を修了し、薬剤師国家試験の受験資格を得なければならない。

その後、年1回、毎年2月に実施される薬剤師国家試験に合格して申請すると、厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、薬剤師免許が与えられる。

薬剤師の国家試験の合格率は、例年68%~70%程度。

大学の薬学部の中には、研究者養成のための4年制の学科だけを設けているところもあり、卒業しても薬剤師国家試験の受験資格が得られないので注意しよう。

必ず薬剤師養成課程がある6年制の学科に入学すること。

薬剤師免許は、一度取得すれば更新などの必要はなく生涯有効。

薬剤師のことをもっと知りたい人はこちら

薬剤師の仕事は働く場所もさまざま


薬剤師にはいろいろな仕事があり、働く場所が幅広いのも魅力のひとつ。

病院や薬局、ドラッグストアをはじめ、製薬会社、医薬品卸売会社、化粧品会社などの一般企業のほか、学校、保健所、厚生労働省などで公務員として勤務することもある。

自ら薬局を開業することもできる。

★薬剤師の就職先・活躍できる場所★
●調剤薬局の薬剤師
医師の処方箋に基づいて、患者の薬をそろえたり、調合したりして、直接患者に手渡す。
地域に密着した調剤薬局では、持病や高齢のため長期間にわたって薬を使っている患者と長いおつきあいになることもある。
●病院・診療所の薬剤師
医師の処方箋に基づいて、患者の薬をそろえたり、調合したりする。
直接患者に対応するほか、医師や看護師などとチームを組んで仕事をすることもある。
総合病院などでは、一日に担当する患者が100人以上という場合も。
●ドラッグストアの薬剤師
アレルギーの薬や胃薬、禁煙補助剤などの「第一類医薬品」は薬剤師でないと販売できないため、ドラッグストアに常駐する薬剤師も多い。
品出しやレジ打ち、接客など、ドラッグストアの店員としての仕事もある。
●製薬会社・化粧品会社の薬剤師
新薬や化粧品の研究・開発を行う。
薬の情報を把握して病院などに提供する医薬情報担当者(MR)として勤務することもある。
●医薬品卸売会社の薬剤師
病院や薬局などに薬を卸売りする際の情報提供、医薬品の管理、安全に配送されるための指導、営業担当者向けの研修などを行う。
●大学の研究機関の薬剤師
大学卒業後、そのまま大学の関連研究機関に勤務。
民間の製薬会社などと同様に、新薬の研究や開発などを行う。
●学校の薬剤師
学校施設の衛生状態の検査、理科室の薬品や保健室の薬の管理などを行う。
薬剤師が理科の先生になることもある。
●厚生労働省の薬剤師
国の研究機関にたずさわったり、薬の認可を行ったりする。
麻薬捜査官として活躍する道もある。
●保健所の薬剤師
飲食店などに対して、食品衛生監視、指導、調査、検査などを行う。

薬剤師の将来性は?

患者の需要に応じて仕事が増えている


薬剤師の勤務場所として最も多い調剤薬局やドラッグストアは、日本全国どこにでもあり、パートタイムで働くこともできるので、結婚して引っ越しをしたり、出産や育児で休職したりしても、復職や転職がしやすい。

患者の病気やケガの症状はもちろん、体調や体質に合った正しい分量の薬かどうかは、患者との対話のなかでわかることもあり、たとえIT化社会が進んでも、AIなどで代用するには限界がある。

また、ライフスタイルに応じて薬の使い方をアドバイスするなど、人と人とのコミュニケーションが生かせる薬剤師の役割は大きい。

高齢化社会の進行やアレルギーをもつ人が増えていることもあり、薬剤師のニーズは高まっている。

さらに、通院が困難なため在宅で療養している患者の自宅を訪問して、薬歴管理・服薬指導・薬剤の服薬状況や残薬の確認などを行う「在宅訪問薬剤管理指導」、喫煙者の禁煙相談や禁煙プログラムの提供などを行う「禁煙支援薬剤師」といった、現代社会における新しいニーズに対応した薬剤師の仕事もでてきている。

調剤薬局の薬剤師にインタビュー!

東京都練馬区にある桜台薬局で薬剤師として活躍する福滿大貴さんに話を聞いてきたよ。

調剤薬局の薬剤師になろうと思ったきっかけは?


「将来のことを考えたときに、誰かに直接『ありがとう』と言われる仕事がしたいと思っていました。

自分は小児ぜんそくで子どものときから薬のお世話になっていて、小学生の頃からは自分一人で薬局へ行き、薬剤師さんに『ありがとう』と言っていたことを思い出したのがきっかけに。

さらに、自身が子どものときに上手に薬が飲めなくて苦労した経験もあったので、乳幼児が薬を飲んでくれるようサポートしたいと思ったのです。

母が看護師で医療の仕事が身近だったこともあり、中学1年生くらいから、将来は薬剤師になろうと決めていました」
(福滿さん)

調剤薬局の薬剤師の仕事内容は?

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

処方箋に記載された薬を必要な分だけ正しく取りそろえる


「調剤薬局の薬剤師の仕事は、

1)処方箋の受け付けとチェック
処方箋を受け付けたら、まず薬剤師が処方箋の内容のチェックを行い、前回からの変更点や用法用量が正しいか、飲み合わせは問題ないかなどを確認します。
この際に疑わしい点があれば、患者さんに聞いたり、処方箋を出した医師に電話などで問い合わせをします。

2)処方箋に書かれた薬の調剤
処方箋に記載されている薬を取りそろえて、別の薬剤師に渡します。
同じ薬でもさまざまな規格(1錠に含まれる薬の成分量)があるので、薬の名前だけでなく規格にも注意しながら調剤しています。
処方箋の指示に基づき、複数の塗り薬を混ぜ合わせたり、シロップ剤や粉薬を量り取ったり、錠剤を2つに割ったりします。
さらに薬の管理を容易にし、きちんと間違えずに薬を飲んでもらう目的で、複数の錠剤を1回分ずつパックにすることもあります。

3)別の薬剤師が取り揃えた薬をチェック
薬を取りそろえる薬剤師と、それを鑑査する薬剤師は、必ず別の人が担当してダブルチェックをしています。
1回何錠、1日何回、何日分の薬かを確認しながら、処方箋に記載されたものと同じ薬かどうか、量は間違っていないか、薬に穴が空いているなどの不備がないかのチェックを行います。
そのほかに、複数の錠剤をパックにした際は中身が正しいかどうか、粉薬の場合は重さが正しいかなども確認します。
この時点でも受付時と同様に、薬の飲み合わせや用法用量のチェックも行っています。

4)お会計の計算のチェック
薬のチェックが終わったら、処方箋の内容をパソコンに入力してお会計の計算を行います。
お会計の計算は必ずしも薬剤師が行うわけではありませんが、処方箋の内容と入力した内容が合っているかの確認は、薬剤師が行います。

5)薬の説明およびお渡し
患者さんと一緒に一つひとつ薬の確認と説明を行っていきます。
この際に、出ている薬と患者さんの症状を照らし合わせ、処方内容が適切かを確認します。
さらに薬の効果や副作用の発生の有無の確認も行っています。
また、薬剤師から一方的に話すだけでなく、薬に対する患者さんからの質問に回答したり、健康に関する相談を受けたりもしています」
(福滿さん)

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

調剤薬局の薬剤師の仕事のやりがいは?

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

どんな薬か、どんな副作用があるか、飲み方などをわかりやすく説明する



「患者さんに『よくわかったわ』と言っていただけるのが一番うれしいです。薬は、基本的によくわからないもの。何だかよくわからない薬を使うことは、誰でも怖いと思います。

そこを少しでもわかっていただけるようにフォローするのは薬剤師の大事な仕事。『話を聞けてよかったわ』と安心してもらえたり、『ありがとうね』と感謝されたりすると、患者さんの役に立ててよかったと実感できて、やりがいになります。

それぞれの患者さんには、朝食をとらなかったり、お昼の服用をどうしても忘れてしまったり、薬の種類が多くなって管理が難しくなっていたり、その人なりの背景があります。

そのため、一人ひとりに合った薬物治療を患者さんや医師に提案することも、やりがいにつながります。処方された薬を渡して終わり、ではなく、その後も重要。

服用に注意事項がある薬の飲み方を守れているか、副作用やアレルギー反応がでていないか、アフターフォローも薬剤師の務めだと考えています。

場合によっては、『後日、お電話をしてもいいですか?』と患者さんの承諾を得ておいて、『お薬を飲めていますか?』『体調の変化はないですか?』と確認。アフターフォローの内容も、必要に応じて、薬を処方した医師に情報提供しています。

また、薬剤師の立場から医師に対して薬剤の提案を行うこともあります。
その提案が医師に採用されたときは大きなやりがいを感じますが、その分、責任重大なので、自信をもって提案できるよう、日々勉強です。

まだまだ医師に提案しても採用されないことが多く、時には患者さんから厳しい意見をいただくこともあります。自分の提案が悪かったのか、うまく医師に伝えられていなかったのか、もっと患者さんのことを考えられなかったのか、毎回反省して、失敗を次へ生かすよう心がけています」
(福滿さん)

どんな人が調剤薬局の薬剤師に向いている?

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

患者に寄り添って、笑顔で、しっかりと話を聞くことが大切


「調剤薬局の薬剤師は、患者さんからの聞き取りが重要。患者さんの話に耳を傾けて、問題点を把握するために、聞く力があるといいと思います。病院勤務の薬剤師の場合、すぐ医師に直接確認できるし、いつでもカルテを見ることができます。

しかし、調剤薬局勤務だと、あるのは処方箋の情報のみ。カルテが見られない、検査値もわからない、医師に聞くためには電話をかけなければいけない。

患者さんが医師と何を話していたのか、医師にどんな診断をされたのか、調剤薬局の薬剤師にはわかりません。そこを補うために、患者さんから聞き取る力が必要なのです。

最適な薬が正しく処方されているかどうかをチェックするためには、患者さんの症状や体調、体質、ライフスタイルまで聞き取る傾聴力が求められると思います。患者さん一人ひとりに対し、親身になって寄り添えることも大切。

薬の説明をするとき、伝える情報がただ多すぎるだけでは、患者さんの不安を増長してしまったり、一番伝えたいことがうまく伝わらなくなってしまったりします。

そのため、伝える情報の優先度を意識して、何を伝えるべきかを患者さんごとに考えるようにもしています。

例えば、加齢とともに、薬を飲み忘れるようになったり、薬を用意するのに時間がかかってしまうようになったりした高齢の患者さんに対して、プライドを尊重しつつ、前向きに考えてもらえるよう、患者さんに寄り添った伝え方を工夫しています。

病院や診療所に比べて、調剤薬局は慢性的な症状で通い続ける患者さんが多く、人生に長く関わっていくこともあるので、患者さんに信頼されることも大事だと思います」
(福滿さん)

調剤薬局の薬剤師を目指す高校生へのメッセージ

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

「患者さんのためにも、頑張って勉強してください」


「薬剤師になるには、大学入試、大学の定期試験、薬剤師の国家試験と、いくつかのハードルがあり、一つひとつクリアしていかなければいけないのですが、薬剤師になることをゴールにしないでください。薬剤師の国家試験合格はゴールではなくスタートラインです。

患者さんのために何かしようと思ったときには大学の勉強だけでは不十分なことも多くあるし、次から次へと新薬が開発され、治療方針も変わっていきます。

薬剤師になってから、どういう勉強をするか、どういう経験をするかによって、どれだけ患者さんに良い影響を与えられるかが大きく変わってきます。

調剤薬局は、身近な医療従事者として信頼され、処方箋がなくても薬や健康の相談をされることがあります。多種多様な相談に対応していくには、しっかり勉強して、患者さんへ還元しなくてはいけないので、私は薬剤師会の研修を受けたり、学会に参加したり、オンライン教材や書籍などで知識を身につけています。

いろいろな勉強方法があるので、高校生のうちから大学の受験勉強を通して、自分なりの勉強方法を確立していくといいと思います」
(福滿さん)


医薬品卸売会社の薬剤師にインタビュー!

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

現在は医薬品卸売会社の本社勤務で、薬事関連の仕事を担当



医薬品卸売会社で薬剤師として活躍するIさんに話を聞いてきたよ。

医薬品卸売会社の薬剤師になろうと思ったきっかけは?


「もともと理数系の科目が好きで、テレビドラマの影響もあって医療系の仕事に就きたいと考え、大学の薬学部に進学しました。

就職活動を始めた当初は、病院か薬局に就職したいと思っていましたが、薬学部の学生対象の合同企業説明会で、医薬品卸売会社のブースで話を聞いてみたのがきっかけです。

病院や薬局以外でも薬剤師が活躍できる会社があると知り、興味をもって、今の会社の個別説明会に参加しました。医薬品卸売会社には、薬剤師だけでなく、営業、事務、配送、企画など、さまざまな職種の人が働いていて、たくさんの人たちとかかわって仕事ができることに魅力を感じました。

内科や外科などの診療科を問わず、幅広い医薬品を扱っていて、医療機器や試薬関係など、薬にかかわるあらゆる商品の知識を身につけることができると考えて、就職しました」
(Iさん)

医薬品卸売会社の薬剤師の仕事内容は?

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

電話で支店の薬剤師や営業担当者と連絡を取ってサポートする


「医薬品卸売会社は、医療用医薬品をはじめ、医療機器・医療材料・臨床検査試薬など、医療にかかわる商品をメーカーから仕入れ、病院や診療所、薬局などの医療機関に販売・納品しています。

医薬品卸売会社の営業所には必ず薬剤師を置かなければならないと法律で定められているため、薬剤師は営業所管理者(管理薬剤師)として重要な任務を担います。

私も入社後の4年間は支店に配属され、管理薬剤師として勤務。

営業所内の商品の品質や在庫の管理のほか、メーカーから入手した新薬の有効性、安全性情報や法律の情報を病院などに提供したり、逆に病院などから得た医療現場の声をメーカーにフィードバックしたりもしました。

営業所内の商品が、適切な温度、正しい保管方法を守って保管されているかを管理し、配送時の温度や注意事項を配送担当者に指導することもありました。

現在は、本社の薬事部門で、法律を守って営業できるよう、営業担当者や営業所の薬剤師向けの研修テキストを作成したり、薬機法に沿って社内運用を見直したりしています。

例えば、取り扱い可能な医師が限定されている薬については、医師の登録を確認してから販売したり、病院や薬局以外の高齢者施設などから注文を受けた場合は、法律上の問題がない薬だけを販売できるよう、営業担当者のサポートを行っています」
(Iさん)

医薬品卸売会社の薬剤師の仕事のやりがいは?

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

薬機法(医薬品、医療機器などの品質、有効性および安全性の確保などに関する法律)が変更されるたびに内容を確認し、社内運用に反映させる


「支店勤務のときは、営業担当者や配送担当者をサポートするのが薬剤師の仕事。特に薬機法で管理・販売が厳しく定められている薬を扱う場合は、誰から購入して、誰に販売したか、販売する相手の資格を確認したうえで細かく記録を残して、在庫管理を徹底します。お得意先の病院や薬局からの問い合わせにも対応します。

現在の本社勤務では、営業所の薬剤師のマニュアルや研修資料を作成したり、問い合わせに対応したりするなど、現場の薬剤師をサポートするのが仕事。

常に誰かをバックアップする立ち位置なので、『ありがとう』と感謝されることが多く、やりがいを感じます。

メーカーと病院・診療所・調剤薬局などの間に医薬品卸売会社の薬剤師が入ることで、薬機法を守り、品質を保持した配送ができるため、正しく円滑な薬の流通に役立っているという自負もあります。

本社の薬事部門の仕事では、営業所がやりたいと考えていることを法律の範囲内でどうやって実現させるか、薬機法などと照らし合わせて落としどころを見きわめています。

判断に迷ったり、営業所から厳しい意見をもらったりすることもありますが、うまく提案できたときは達成感が大きいです」
(Iさん)

どんな人が医薬品卸売会社の薬剤師に向いている?

「医薬品卸売会社の薬剤師は、配属される部署によって仕事内容が変わります。営業所では薬の管理方法や流通に関する知識が求められますが、本社の薬事部門では法律関係がメイン。

学術系の問い合わせを受ける部署では、あらゆる薬に関する専門知識が必要。

新しいことをいろいろと知りたい、薬にかかわる幅広い知識を身につけたいと考えている人には、とてもおもしろい会社です。

また、営業部門、物流部門、システム部門、信頼性保証部門(安全性情報)など、さまざまな部署の人とかかわりながら仕事をするので、人と接するのが好きな人、コミュニケーション能力のある人が向いていると思います。

ただし、調剤薬局のように患者さんと接する機会はありません。

医薬品の箱を開けることもなく、調剤は一切やらないので、白衣も着ません。

一般的な薬剤師の仕事にあこがれている人にとっては、イメージと大きく異なると思います」
(Iさん)

医薬品卸売会社の薬剤師を目指す高校生へのメッセージ

薬剤師の仕事内容って?必要な資格から勤務場所、やりがいまで徹底解剖!

「薬剤師の免許があれば、活躍の場が大きく広がりますよ」


「医薬品卸売会社では、営業職や事務職など、いろいろな職種の人とかかわることができるので、刺激があって楽しいと思います。

新薬がどんどん開発されるし、薬機法も頻繁に改正されるため、薬剤師になってからのほうが勉強することは多くて大変なときもあるけれど、間接的ではあるものの、患者さんの役に立つことができる、とてもやりがいのある仕事です。

また、薬剤師は薬の管理者としての責任を担うため、資格手当が付きます。薬剤師の免許があれば、病院や薬局はもちろん、企業に就職することもできて、選択肢が大きく広がりますよ」
(Iさん)


薬剤師といっても職業はさまざま!自分なりのやりがいを見つけて

薬剤師の仕事内容はさまざまで、病院や薬局だけでなく、企業に就職したり、公務員を目指したりすることもできる。

大学の薬学部で6年間学ばなければいけないけれど、しっかり勉強すれば、きみも薬剤師になれる!


  取材協力/公益社団法人 東京都薬剤師会

取材・文/やまだみちこ 撮影/沼尻 淳子  構成/黒川 安弥(本誌)
薬剤師のことをもっと知りたい人はこちら

★★関連記事★★
助産師の仕事ってどんな仕事?命の最前線に密着!

医薬品に関わる仕事とは? 医療機関、薬局、製薬メーカー、研究機関、場所別に仕事内容を解説!

【医学部、看護・医療系学部、スポーツ学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!