【リーダー育成-第1回】いよいよ本格化する日本のリーダー育成

今、大学で、リーダーを育てるためのさまざまな取り組みが行われている。

 

例えば早稲田大学の「大隈塾」、拓殖大学の「桂太郎塾」など、創立者の名を冠して学校をあげて取り組んでいるものから、中京大学経済学部の「EXP」のような学部内のプログラム、京都大学が構想しているような大学院でのプログラムまでいろいろな形がある。
共通しているのは「日本の未来を担うリーダーを育てたい」という点だろう。

なぜ今、「リーダー育成」なのだろうか。

 

「社会が大きく変化している今、知識を詰め込み、指示されたことをこなす受け身の人材ではなく、自ら課題を見つけ挑戦し、新しい価値を生み出す人材が求められています。一方、1960年代にわずか16%だった日本の大学進学率は、2012年には50.8%と過半数となり、大学の大衆化が進みました。より多くの人に大学で学ぶチャンスが広がった反面、『自分の力で良い社会を作りたい』と考えるような志の高い学生への対応が遅れていました。『リーダー育成』は、こうした時代の要請と意欲のある学生という2方向からのニーズの高まりに、大学が応える形で広がっている動きだと思います」と語るリクルート進学総研所長の小林浩さん。

 

では大学で行われている「リーダー育成」とはどんなものなのだろうか。

 

「リーダー」というと、「メンタルもフィジカルも強い、選ばれた人」というイメージが浮かんでしまうが、そんな大げさなものではないという。

 

「リーダーとはそれぞれの現場で必要なものです。高校でも、クラスをまとめるリーダー、部活をまとめるリーダー、友人関係をまとめるリーダーなど、いろいろなリーダーがいるでしょう。想定されるそれぞれの現場で、よりよいリーダー、みんなに信頼されるリーダーを育てるために、各大学が知恵を絞っています」と小林さん。

 

大学には建学の精神、教育理念というものがあります。いわば、それを現代に具現化したものがリーダー育成プログラムです。例えば早稲田大学では「汗をかくリーダー」、拓殖大学では「アジアを開拓するリーダー」、中京大学では「ビジネスの世界で活躍するリーダー」、京都大学では「細分化された研究分野を統合するリーダー」…。「○○なリーダー」というキャッチフレーズをつけたくなるくらい、大学の個性が表れていて、その教育内容も多種多様だという。

 

小林さんは「高校生は将来の働き方やライフスタイルをどうしたいか考えて、自分のキャリアの考え方に合うリーダー育成プログラムに注目してみるといいでしょう。リーダーになりたい人だけでなく、これからの時代に対応する新しい資質を得たいと思う人は誰でも挑戦してみる価値があると思います」とアドバイスしてくれた。

 

次回以降は、注目すべきいくつかの大学の取り組みを具体的に紹介していく。