私立大学では8~9人に1人が大学中退!
大学や専門学校などの中退者数がどのくらいいるか知っているだろうか? 実は文部科学省による正式な調査は行われていないのだが、この問題に取り組むNPO法人NEWVERYの推計によると、4年制大学で年間約7万2000人、短大で約7000人、専門学校で約3万7000人が中退しているとのこと。合計すると高等教育の中退者数は11万人強に達する。
「私立4年制大学では8~9人に1人が中退している計算になります。中退者の分布を学部別にみると、教育・医・歯・農など卒業後の仕事がイメージしやすい学部では少なく、文・経済・経営・商・社会などの文系学部で比較的多い傾向がありますね」(NEWVERY 山本繁理事長)
文系の学部・学科では、目的意識が明確でない状態で入学し、結局勉強に興味をもてずにフェードアウトしてしまうタイプが目立つという。また、理系の下地がない学生が工学部に進んだり、数学が苦手なまま経済学部に進んだりして、勉強についていけずに辞めてしまうケースもある。ほかでは、先輩の就職状況を見ていて、将来への不安を覚えて中退する学生も少なくない。
進学後の人間関係などが原因の場合もあるが、多くは進学先選びのプロセスに問題があると山本さんは指摘。では、このような事態を避けるためにはどうしたらいいのだろうか?
「自分は社会の中でどのような役割を果たしていきたいのか、そのためにはどんな職業に就いたらいいのかというところから逆算して進学先を選ぶことが大切。また、最低限、志望学部・学科でどのような基礎学力が求められるかは調べておくべきですね。資料だけではわからないこともあるので、疑問があれば大学に問い合わせてみましょう」(山本さん)
また、最近は、Webで普段の授業を公開していたり、平日の授業を見学できたりする大学もある。こうした機会を利用して、大学での学びの具体的イメージをつかんでおくのもミスマッチを防ぐには有効だ。