2016リオ五輪開幕間近! ブラジルで人気の現代アーティストの取り組み【映画で学ぶ!世界の今】

様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。

第6回 2016リオ五輪開幕間近!ブラジルで人気の現代アーティストの取り組み


(c)Vik Muniz Studio

8月のリオデジャネイロオリンピック開幕が近づいていますが、政情不安が続いており、ジルマ・ヴァナ・ルセーフ大統領が弾劾裁判によって停職になる異例の事態となっています(※1)。世界第7位で南米最大の経済大国のブラジルですが、国内の主要都市にはファヴェーラといわれる貧民街が存在しており、貧困、麻薬取引、ギャング同士の抗争などが社会問題となっています(※2)。華やかなリオ五輪が光とすれば、ファヴェーラは影といえるでしょう。

※1 外務省 ブラジル連邦共和国 基礎データ
※2 ウィキぺディア ファヴェーラ

ブラジル出身の現代アーティスト、ヴィック・ムニーズが貧困解決に動いた!

現代アーティストとして世界的に高い評価を受けているブラジル出身の現代アーティストで、リオ五輪パラリンピック大会開会式の共同プランナーも務めるヴィック・ムニーズは、ニューヨークでアーティストとして成功し、母国の貧困問題を何とかしたいとリオ・デ・ジャネイロ郊外にあった世界最大のごみ処理場「ジャウジン・グラマーショ」ではたらく人々の人生をアートで変えていきました。

ヴィック・ムニーズの行ったアートプロジェクトの様子は、アカデミー賞ノミネート作品、ドキュメンタリー映画『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』にまとめられています。

ヴィック・ムニーズが行ったことは、ごみ処理場で働く人々と共にアート作品を制作することでした。ごみ山から探してきたごみだけを使って、巨大なモザイク画を共に制作したのです。被写体もごみ処理場で働く人々で、制作者も彼らです。ヴィック・ムニーズは、こういいます。

「ほんの一瞬でもいい、別の世界を体験して欲しい。
日常を見直すだけでもいい。それだけで変わる」

ヴィック・ムニーズは、視点を大切にするアーティストです。ごみ山生活者から世界トップレベルのアーティストとアート作りをした彼らは、全く違う視点で自分自身の人生を見つめ直し、人生を変えていきます。ある者はごみ山を去り、ある者はやはりこここそが生きる場所といい、ごみ山に誇りを持って残りました。


(c)Vik Muniz Studio

貧困を音楽で打っ飛ばせ!?ごみで作った楽器のオーケストラ

貧しいからといって人生を諦めてはいられない!同じく南米の国、パラグアイには、空きカンなどリサイクルグッズで楽器を作り、オーケストラまで結成してしまった子どもたちのグループ“Orquesta Reciclados Cateura”があります。

日本語字幕はありませんが、リサイクルグッズで作った楽器の演奏を聴いてください。

どんな状況に暮らしていても、「バイオリンを弾きたい」「音楽家になりたい」などという強い意志があれば、何でもできる。そんな勇気をくれるオーケストラではないでしょうか。

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