2013年度は+50人。毎年続く医学部の定員増
大学の医学部の定員は2007年度まではずっと横ばいが続いていた。
しかし、2008年度から国の施策として定員を増やしはじめ、2013年度も50人の増員が決まった。総定員は2007年度と比較すると18.6%増の9041人に。医学部進学のチャンスは年々拡大している。
この動きの背景について、医学部専門予備校・野田クルゼ本校の足立文彦校長に話を聞いた。
「日本はもともと人口1000人当たりの医師数がヨーロッパの国々などと比べると少ないのです。日本全体で医師が不足しており、医師の過重労働が大きな問題となっています。かつ、足りていないなかでも都市部に偏在する傾向があるので地方の医師不足は深刻。その一方で、超高齢化社会を迎え、20年後には医療ニーズが今より20%増加するだろうと予測されています。医師をどんどん増やしていかないといけない状況なのです」
そこで注目されるのが医学部定員の「地域枠」だ。卒業後、大学がある都道府県内の指定の病院などに一定期間勤務することを条件に奨学金が貸与される入学枠で(所定の期間勤務すれば返還が免除される)、ここ数年の医学部定員増はこの地域枠増加分が大きい。医学部は学費の負担が大きいため、受験生にとってもメリットのある制度といえる。
では、医学部定員増の流れはいつまで続いていくのだろうか?
「供給量が増える一方で、団塊の世代のベテラン医師も辞めていくので、当分定員増の流れは続いていくでしょう。また、最近は学生の4割を女子が占める大学があるなど、女性医師が増加傾向。女性の場合、出産に伴う休職や離職もありますから、全体の医師数はさらに増やしていく必要があるでしょうね」(足立校長)
一方で、医師は、収入、キャリア面を考えるとやはり都市部志向が強いのも事実。足立校長は、「今後、医師が地方で勤務することにメリットを感じられる仕組みをいかにつくっていくかがポイント」と指摘する。医学部を目指す高校生はこのあたりの動向にも注目しておこう。