就活100社不合格の営業マンが語る「学生時代はこう過ごせ」

内村広樹さんは求人広告の営業マン。平日はお客さまを訪問して回り、休日は高校生に仕事の楽しさを伝えるNPO法人(非営利団体)「LiKEWORK」の代表として活動している。
 
NPO活動を通じて高校生と接する内村さんには、「学生時代はこう過ごしたらいいのでは?」という思いがあるはず!
 
というわけで、ご自身の高校時代からの体験をもとに高校生へのアドバイスをもらった。
 

「なりたい自分」に向かって行動しよう

 
内村さんは高校時代、「もっと外交的な人になりたい!」と思っていた。しかし、なかなか積極的になれずにいたという。
 

「実は高校2年まで100kgを超える巨漢だったんです。太っている自分にすごいコンプレックスがあって、人と話すのが苦手でした」(内村さん/以下同)

 

画像:ダイエット前の内村さん

 
このまま大学も同じように過ごしたくない!と、内村さんは一念発起してダイエットに挑戦。スポーツクラブ通いと食事制限をして、3カ月で25kgのダイエットに成功。
 
スリムになって臆せず人と話せるようになったことが、現在の「いつも明るく元気な内村さん」につながっている。
 
考えているだけでなく、行動を起こせば自分を大きく変えることができる。内村さんは経験からそう学んだ。
 

画像:ダイエット後の内村さん

 

コミュニティを広げろ 自分の関心事をつきつめろ!

 
高校卒業後は明治大学の商学部に進学。大学時代に力を入れたのはサークル活動だ。
 
国際交流に興味があって、上智大学の国際交流サークルの部室に“飛び込み営業”してメンバーに。大学の枠を超えて交友関係が一気に拡大。サークル内では盛り上げ役として活躍し、3年生になると他大学にもかからず部長に選ばれた。
 
受け入れられる保証もないのに、恐れず部室の扉をたたいたことが、充実した大学生活を手に入れることにつながった。
 
 

画像:交友関係が一気に拡大した上智大学の国際交流サークル時代

 
 
さらに英語力を高めるため、3年を修了したところで大学を休学し、10カ月間、カナダに語学留学。現地で仲良くなった日本人もいたが、ともに日本語を断って英語力を鍛えた。
 

人生、想定外の挫折もあることを知ろう

 
カナダから帰国し、就職活動を始めた内村さんは、「どこかの会社には引っかかるだろう」とふんでいた。ダイエットの成功、サークルの部長、カナダ留学など、自分にはほかの学生にはない経験があるのだから、と…。
 
しかし、それは甘かったことにすぐ気づく。名の知れた企業を次々受けたが、どこからも内定をもらえいないまま、不合格の数は100社近くに。人生最大の挫折だった。
 

「今振り返れば、志望動機がほとんど言えていなかったんですよね。自分のやりたいこともなく、知名度で選んでいたので、当然の結果でした」

 
「これはいけるかも」と期待した会社に最終面接で落とされ、張り詰めていた気持ちがプツッと切れてしまった内村さんは、「もうフリーターでいいや」といったん就職をあきらめてしまう。
 

「自分のやりたいこと」を大切にしよう

 
しかし、卒業を目前にして改めて自分自身とじっくり向き合い、「自分の好きなこと、大事にしたいことって何だろう」と考えた。そしてもう一度、就職活動に挑戦した。
 

「やはり自分のやりたい仕事はよくわかりませんでした。でも、自分が大切にしていきたいことは何だろうと考えた時、『人とのつながり』だったんですよね。会社のブランドでも、カッコイイ英語の仕事でもなく。人とのつながりを大切にしてきた自分だから、そのキャラクターを生かせる営業の仕事をしてみようと思いました」

 
そんな思いを面接で正直に伝えることに成功し、卒業の1カ月前に求人広告の営業代理店に内定。入社から10年がたち、今ではメンバーをもつ立場になっている。
 
就職活動がうまくいかなかった時、あのままあきらめていたら今の内村さんはない。落ち込みから抜け出せたのも、粘りの「もう一歩」があったからだ。
 

目の前のことにチャレンジする「一歩」を踏み出そう

 
2年前、休日を使って高校生に仕事の楽しさを伝えるLiKEWORKの活動を仲間と始めた。今は活動をNPO法人化し、今年からその代表に就任。自分自身が就職で苦労した経験から、同じように苦しむ人を出したくないという思いで活動している。
 

画像:高校生に仕事の楽しさを伝えている様子

 
内村さんが高校生に伝えたいのは、「とくにかく一歩行動してみよう」ということだ。
 

「高校時代のダイエット、大学時代の就職活動、現在のNPO活動、すべてにおいて共通していることは、『目の前のやりたいこと・すべきこと』の行動を起こし、一生懸命取り組んできたこと。それでもっとこうすればと反省したことはあっても、あれをやっとけばよかったといった後悔はありません。高校生には、部活でも勉強でも趣味でも恋愛でも、目の前のことにチャレンジする一歩を踏み出してほしいと思います」

 
さて、みんなの「一歩」はどんなことだろうか?
 

画像:「平日は仕事、休日はNPO活動であまり家族サービスができないのが課題」と笑う内村さん