大学の授業をネットで無料公開する動きが拡大
今、国内外で大学の授業をネットで無料公開する取り組みが活発化している。最先端の動きとして注目されているのが欧米の大学を中心に盛り上がっているMOOCs(ムークス:Massive(ly) Open Online Coursesの略。大規模公開オンライン講座)。
数週間単位の学習コースを世界中の誰でも無料で受講できるオンライン講座のことで、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学など世界トップレベルの大学が開設している。
MOOCsというのは一般名称で、教育系のベンチャー企業や大学の連合体などが運営するいくつかのサイトがある。そこにさまざまな大学や教授が参加し、大学と同等の講義を提供している。単なる講義動画の公開と異なるのは、コースの期間が設定されており、宿題や試験も行われる点。また、数万人規模の受講生コミュニティが形成されるのもMOOCsならではの特色だ。
お金がなくてもトップレベルの大学教育を受けることができるという社会的意義に加え、大学側にも世界規模でのプロモーションにつながるというメリットもあり、この1年ほどの間に急拡大。MOOCsを公開する社会的企業(社会問題の解決を目的とした株式会社など)の一つである「Coursera」には、欧米、アジアから数十の大学が参加。東京大学も講義を提供している。
MOOCsはもちろん日本の高校生でも受講できるが、講義は英語。それだと少しハードルが高いという高校生にオススメなのがiTunes U(R)で配布されている大学の講義コンテンツ。iTunes U(R)とは教育コンテンツを作成・配布するためのアップルのアプリケーションで、iPhone(R)やiPad(R)などで視聴することができる。国内外の大学が講義コンテンツを提供しているが、国内では東京大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学などが参加している。
こうした流れのなかで、今後日本の大学のMOOCsへの参加も進んでいくのだろうか?MOOCsの動向に詳しい東京大学 大学総合教育研究センター 助教の重田勝介さんはこう解説する。
「国際化戦略の一環として英語の講義をMOOCsに提供する国内大学は増えていくはずです。また、日本語でMOOCsのコースを公開し、学生獲得や国内向けプロモーションを狙うケースも出てくるでしょう」
高校生にとっては、iTunes U(R)の講義コンテンツは、大学の授業がどのようなものなのかを深く知る機会になる。大学選びには確実に参考になるはず。また、英語に自信があれば、MOOCsの海外大学のコースに参加するのも有意義だ。海外大学の講義スタイルを体験できるので留学の準備にもなる。何しろ無料なので、興味があるならぜひ試してみよう。
MOOCsに関する詳細はこちら(Shigeta Way/重田さんのブログ)