大学発の食品から大学がわかる。『大学は美味しい!!』フェア

大学の研究室で生まれた“大学ブランド食品”が一堂に集結する『大学は美味しい!!』フェアが5月29日(水)から6月4日(火)まで東京・新宿高島屋で開催される。

 

『大学は美味しい!!』フェアは、“論文の代わりに、製品で「食」の研究成果を伝える”をテーマにしたイベント。農業やマーケティング、食品の保存・加工技術など、食にかかわるさまざまな分野の研究を垣間みる機会にうってつけだ。

 

今回の出展大学は35校。その中で注目の食品を、フェアを主催するNPO法人 プロジェクト88の理事長・高橋菜里さんに話を聞いた。

 

■慶應義塾大学×早稲田大学「早慶コラボ弁当」
初出展の慶應義塾大学が出品する「熟成赤城和牛モモステーキ」と2回目の出展となる早稲田大学の「ソフトスチーム加工玄米」がセットになった弁当。

 

慶應義塾大学×早稲田大学「早慶コラボ弁当」

 

「甘みとうまみを数値化できる味覚センサーによって管理・熟成された牛肉と、細胞を壊さず、かつ栄養素を逃さない『ソフトスチーム技術』を用いて加工・パックされた玄米のコラボレーションです。食の研究といっても、食品そのものだけでなく、管理・加工にかかわる技術まで幅広いことがわかる一品です」(高橋さん)

 

■タイ国立カセサート大学×新潟大学「新潟麺タイ粉(にいがためんたいこ)」
新潟大学が開発した米粉麺と超高圧加工技術を用いた卵に、歴史ある農学部をもつタイの総合大学・カセサート大学が監修したスープを組み合わせたタイ風冷麺。

 

タイ国立カセサート大学×新潟大学「新潟麺タイ粉(にいがためんたいこ)」

 

「注目は、トッピングの卵に用いられた超高圧加工技術。深海の気圧よりも遥かに高い7000気圧で加工することで、黄身を生卵のきれいな黄色のまま固められるのです。ジャムに用いる果物など、熱を加えると色が変わってしまう食物に活用できる技術です」(高橋さん)

 

■佐賀大学「バラフ」
南アフリカ原産の植物「アイスプラント」を野菜化したもの。元々は土壌内の塩分を強力に吸い上げる性質を生かして砂漠化に伴う塩類被害対策として研究されていたという。

 

佐賀大学「バラフ」

 

「栽培実験を進める中で食用にもなることがわかって野菜化され、市場に出ることになった食物です。他大学も含めて、オリジナルの野菜を出品されている大学からは、食の安全や健康など、時代の課題にこたえるための研究が進んでいることがわかります」(高橋さん)

 

■奈良女子大学「奈良のかすていら」
あんの甘みとしっとり感、米粉のもちもち感、細かく刻まれた奈良漬の塩味がバランスよく調和したカステラ。ほかにも、チーズケーキや日本酒などが出品されている。

 

奈良女子大学「奈良のかすていら」

 

「商品の企画・マーケティングへの学生の関与度が高いのが、奈良女子大学の商品です。パッケージデザインや商品のコンセプト作りを学生が担当しています」(高橋さん)

 

多いところは10品以上出品しているというこのフェア。「各大学のブースで販売しているのは、実際にその商品に携わっている先生や学生。ぜひいろいろ質問をしてみてほしい」と高橋さんは話す。

 

「ブースにいる先生や学生に質問をすれば、開発の裏話なども教えてもらえます。そうして『この先生はこんな研究をしているんだ』『この大学に入ると、こんなふうに商品開発を学べるんだ』など、その大学に入学してできることを具体的にイメージできれば、合格に向けたモチベーションも高まりますし、入学してからの目標もできると思います。大学は、入ることではなく入ってから何をするかが大事。入学後にやりたいことを考える機会として、ぜひこのフェアを活用してほしいですね」(高橋さん)

 

現在、地方開催に向けた準備も進んでいるとのことで、フェアの広がりにも期待したいところ。ぜひ大学を知る機会として活用してみてほしい。