相次ぐ募集停止。どうなる!?法科大学院

法曹(裁判官、検察官、弁護士)になるには司法試験に合格しなければならない。現在、司法試験の受験資格を得るには、法科大学院を修了するか司法試験予備試験に合格する必要があるが、後者は合格率1.78%(平成23年度)という狭き門。高校生が司法試験を目指すのであれば、大学卒業後に法科大学院に進学するのがメインのルートだ。

 

しかし、スタートから8年が経過した法科大学院制度は、今や曲がり角を迎えている。2011年度から姫路獨協大学法科大学院が募集停止、2012年度には大宮法科大学院大学が桐蔭横浜大学法科大学院に合併され、2013年度からは明治学院大学、駿河台大学、神戸学院大学の各法科大学院が募集停止となる。法科大学院の司法試験合格率・合格者数は年々二極分化が進んでおり、統廃合の動きは今後さらに拡大していくという見方が強い。

 

加えて、弁護士の就職難、20%台という司法試験合格率の低さなどもあり、将来法曹を目指している高校生にとっては不安を感じさせる状況が続いている。法曹志望者は法科大学院スタート時に激増したが、一転して減少に歯止めが利かない状況だ。

 

ただし、視点を変えれば、法曹志望者にとって必ずしも悲観材料ばかりというわけでもない。スタート当初から、司法試験合格者数に対して法科大学院数や総定員が多すぎるとの指摘はあり、事実、それが合格率の低さにつながっていた。法科大学院に進学しても司法試験に合格できない層が大量に生まれるシステムだったのだ。不合格者層はその後の就職でも苦労しており、法科大学院制度の最大の問題となっていた。

 

法科大学院数が絞られていくことは、結果として司法試験合格率の向上につながる可能性が高い。これは法曹志望者にとってはプラス要素。もちろん、今後の動向に注意を払うことは欠かせないし、慎重な法科大学院選びがいっそう重要にはなっていくことは確か。

 

しかし、法曹に関心がある高校生が、ムードに流されて、今の段階で「やめておこうかな…」と判断するのはもったいない。