早慶が実施、東大も導入へ。大学の「クォータ制」って何?
●現状は半期完結型のセメスター制が主流
高校では、一部2学期制などもあることはあるが、年間を3学期に分けて1つの科目を1年かけて学ぶのが一般的。では、大学はどうなのだろうか?
昔は、年間を前期・後期に分けて、高校と同様、1つの科目は1年かけて完結する通年制が主流だった。
しかし、今では、2学期は2学期でも、それぞれの学期ごとに科目が完結するセメスター制が多くの大学で採用されている。科目によって通年制とセメスター制を併用している大学もよくある。
そして、最近では、さらに進んで、年間を4学期に分け、学期ごとに科目が完結するクォータ制(名称は4学期制、4ターム制などさまざま)を導入する動きが活発化し、注目されている。
●留学しやすいのがクォータ制のメリットの一つ
例えば、早稲田大学は2013年4月から一部の学部でクォータ制をスタート。慶應義塾大学も2012年度から理工学部の3年生のカリキュラムにクォータ制を実施しており、さらに全学的な導入案も検討中。
また、東京大学は、2015年度末までをめどに全学部で4ターム制を導入することを発表しており、国立大学の何校かもこれに続く動きを見せている。
実はこのクォータ制、海外の大学では珍しくない。では、なぜここに来て日本の大学でも導入が進んでいるのだろうか?
理由の一つはグローバル化への対応。日本は春に学年がスタートするが、海外では秋スタートが主流。日本から留学するにしても、海外から留学生を受け入れるにしても、今まではこのズレがネックになっていたが、クォータ制ならクリアできる。4学期のうち3学期分は国内で履修して、残りの1学期分を短期留学に充てることも可能だ。
●短期集中&積み上げ式で学べるのも魅力
しかし、クォータ制のメリットはそれだけではない。1997年の開学から同制度を導入している高知工科大学に話を聞いてみた。
「本学はもともと工学部の単科大学としてスタートしましたが、工学は基礎から段階的に学ぶ積み上げ型の学習が基本。基礎系の科目を最後まで学んでから応用系の科目に進めるクォータ制が理に適っており、また、少ない科目を短期集中で学ぶため、高い学習効果が期待できるという教育の観点から導入を決めました」(教務部/竹田真さん<以下同>)
例えば、セメスター制だと、同時進行で10~12科目程度学ぶことになるが、クォータ制はその半分。あれもこれもとならない分、一つひとつの科目に集中できる。
「本学の場合は、1科目週2コマのペースで学び、7~8週で終わります。授業の間が空かないので覚えたことが頭に定着しやすいですね。また、学期ごとの成績に応じて、こまめに履修計画の変更ができる点もメリットです」
その後は、経済・経営系のマネジメント学部でも導入しており、高い教育効果が出ているという。中間テストも含めると毎月のようにテストがあるなど大変な面もあるが、これもしっかり勉強したい学生には望むところといえるかも。
もちろん積み上げ型の学習が必要な分野はほかにもある。「留学のしやすさ」&「高い学習効果」に注目して、クォータ制導入大学をチェックしてみてはどうだろう。
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