方角が決まってる、無言で食べる…「恵方巻き」って一体何?

2月3日は節分。この時季になると、スーパーやコンビニには、鬼のお面や豆と一緒に恵方巻きがズラリ!

 

全国の高校生416人に「恵方巻きを食べたことはある?」と聞いてみると、84.8%が「はい」と回答し、高校生にとって馴染みのある行事だということが判明(リクナビ進学/2015年1月調べ)。

 

ただ、「何のために食べるか知っている?」という質問には「わからない」(高2女子・埼玉)、「健康を願って…?」(高1男子・大阪)と、曖昧な回答が目立った。

 

そこで、江戸川大学で文化人類学を教える斗鬼(とき)正一教授に、恵方巻きについて詳しく聞いてみることに! そもそも、恵方巻きって何のために食べるものなの?

 
 

■恵方巻きは、年越しソバと初詣が合わさったもの!?

 

「昔から、日本では“長いもの”は縁起がいいとされてきました。かつては、2月4日頃にある立春も、年の初めと考えられていたため、節分も今でいう大晦日だったんですよ。そこで、年末に今年一年の厄を払い『来年も幸せに過ごせますように』との願いを込めて、縁起ものの長い巻き寿司を食べたといわれています。幸運だけでなく『恋人ができますように』『成績が上がりますように』などの願掛けをすれば、願いがかなうともいわれています」

 

なるほど~。恵方巻きは、大晦日に食べる年越しソバのような意味と、お正月に願掛けをする初詣の要素が合わさったものなんだ! 

 

方角が決まってる、無言で食べる…「恵方巻き」って一体何?

 
 

■海苔屋と寿司屋とコンビニが恵方巻きブームの火付け役!

 

「もともと恵方巻きは、大阪の一部地域で行われていた風習だったのですが、昭和の始めごろ、海苔屋や寿司屋が売上アップをねらって広く宣伝したことや、1989年に広島のセブンイレブンで販売を開始したことで徐々に全国に広まっていきました。ちなみに、“恵方巻き”という名称は1998年にセブンイレブンが使い始めたもので、それまでは特に決まった呼び名はなく“節分の巻寿司”などと言われていたんですよ。具材に決まりはありませんが、昆布や卵などの縁起がいい食べ物を七種類、七福神にちなんで巻いているものもあります」

 

方角が決まってる、無言で食べる…「恵方巻き」って一体何?

 

恵方巻きという呼び名が使われるようになってから、まだ15年ほどだったとは…驚き! では、無言で食べるのには何か意味があるの?

 

「日本には、『神聖な時間は無言で過ごす』という考え方があるんですよ。口から福や運が逃げるという説もありますね。恵方巻きを無言で食べるのは、『願掛けをするための神聖な時間』という意味を表します。長いまま切らずに食べるのは、“縁を切らないように”という願いが込められているんですよ」

 
 

■今年の方位は西南西! 神様に向かって願い事を唱えよう

 

また、恵方巻きの売り場に必ずといっていいほど書かれている“今年の方位”というのは、「1年ごとに移動する神様、“歳徳神(とくとくじん)”がいる方角」を指しているのだとか! 神様がいる方角を“恵方”と呼ぶことから、恵方巻きという名前がついたという。

 

方角が決まってる、無言で食べる…「恵方巻き」って一体何?

 

2015年の方位は“西南西”とのことなので、2月3日は、合格祈願や恋愛成就などの願い事を唱えながら、無言でかぶりついてみては?