東北の未来を創るのは自分たち!被災地の高校生が復興策を提言
「東日本大震災の体験や教訓を長く後世に伝えていくために、私たちが提案するのは、東北に『Living Museum』を開設することです。
私は絶対、教師になる。教師になってこのミュージアムに子どもたちを連れてきて、自分のこの声で震災の教訓を伝えていきたい。そのために動き出すのは『いつか』じゃなくて『今』。『誰か』じゃなくて『自分たち』。
皆さん、一緒に私たちの声を反映させて日本をチェンジさせていきませんか」
――そう、ある高校生が東北の未来への提言発表のなかでそう呼びかけた(抜粋)。10月12~14日の2泊3日、東北の高校生が東京にて合宿形式で行った「ビヨンドトゥモロー東北未来リーダーズサミット2013」の最終日のひとこまだ。
■被災した高校生が考えた復興とは
このイベントは、東日本大震災を体験した若者のリーダーシップ教育支援事業「ビヨンドトゥモロー」の一環として、一般財団法人教育支援グローバル基金が「地域参加型の復興」をテーマに開催したもの。東日本大震災を経験した岩手、宮城、福島の高校生60人と大学生21人が参加した。
高校生は10チームに分かれ、「魅力ある街作り」「東北からの発信」「世代を超えた協働の場」のいずれかについて議論。企業やNPOで活躍する大人がアドバイザーとして各チームに入り、コピーライターの糸井重里氏をはじめとする専門家も助言を行ったが、あくまで高校生が中心となって提言をまとめ上げた。
「被災地と被災地外の高校生の間で交換留学を行い、お互いの地域を知ることで地元の価値を再発見して、街の魅力作りに生かす“みんながあまちゃんプロジェクト”」
「世代や地域の枠を超えて同じ意見をもつ人が集まり、東北復興の協働につなげる場として“東北未来大学”を創設する」
「高校生の声を政治に届けるために、Facebookページの運営と高校生議会を開催する」
…など、最終日の発表会ではさまざまな具体策が挙げられた。
冒頭の発表は、会場の投票により最優秀に選ばれた提言だ。大学生チームによる防潮堤建設計画に関する事例研究とともに、後日、安倍昭恵首相夫人に直接報告する予定となっている。
■「自分たちが引っ張っていく」
参加者の多くが、家族や家を失ったり、現在も避難中だったり、震災で大きな被害を受けた経験をもつ。だからこそ、復興に向けた思いも強い。どのチームの提言にも、地元に対する愛情の深さと、「自分たちの手でやる」という当事者意識が織り込まれていた。
すでに動き始めた高校生もいる。参加者の一人である釜石高校1年の浜登美海(はまと・みう)さんは、仮設住宅でストレスを抱える子どもたちの遊び相手となる活動を、地元の高校生らを巻き込みながら進めていこうとしているという。浜登さんは、今回の提言に込めた思いをこう語ってくれた。
「高校生にできることは限られていますが、大人に頼るだけではいけない。これからの若者みんなが『自分たちが引っ張っていくんだ』という意思をもたないと、日本はだめになっちゃうと思います。それを、被災地の高校生が率先して行動に表すことによって、全国の若者も当事者意識を持ってくれるのではないかと思い、この案を提案しました」
被災地以外の高校生のみんなは、彼らの姿から何を感じとるのだろうか。