海外に行かず異文化体験! 留学生がわが家にホームステイ

外国人の友達を作ったり、異文化を理解したり、語学力を身につけたり…。「それには海外留学するしかない」と思い込んでいる高校生もいるのではないだろうか。

 

しかし実は、日本にいながらでも、こうした異文化体験はできる。その1つの方法が、海外からの留学生を家庭で受け入れることだ。

 

留学生のホームステイ受け入れを行うことは、高校生にとってどんな影響があるのだろうか。昨年1年間マレーシアからの留学生を受け入れた東京都在住の高校1年生、加藤彩さん(トップ画像右)に話を聞いた。

 

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■英語がうまくなくても仲よしに

 

彩さんは両親と2つ年上の姉と4人暮らし。家族が話し合って留学生の受け入れを決めたものの、彩さんは当初、見ず知らずの外国人との暮らしには不安が大きかったという。

 

彩さんの家に配属されたのは、3つ年上のマレーシア人ジーンさん(トップ画像左)。英語や中国語は堪能だというが、日本語は話せない。彩さんの不安の最大の要因は、言葉が通じないことだった。

 

「でも、伝えようと思えば伝わるものですね。私の英語力は未熟でしたが、相手の目を見てジェスチャーも交えながら真剣に話したら、ちゃんと理解してくれました」(彩さん、以下同)

 

「ジーンはとても明るい性格」と彩さん。すぐに家族と打ち解け、彩さんたちとは本当の姉妹のように親密になったという。しかしジーンさんが通った学校は彩さんやお姉さんの学校とは別。ジーンさんは私立の女子高に一人で通っていた。

 

「マレーシアでは女の子が一人で帰るのは危険だからと、必ず男の子が送ってくれたとのこと。日本は一人で通学しても安全で、治安の良さに驚いたそうです。普段、当たり前だと思っていたことが、海外に行くと当たり前じゃないんだな、と気づきました」

 

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■英会話が上達、海外への興味がアップ

 

3カ月も経つと、ジーンさんはだいぶ日本語が上達。彩さんは毎日ジーンさんと女子トーク。学校で起こったこと、それぞれの国の違い、時にはお互いの恋愛の話に花が咲くこともあったという。

 

また、高校受験を控えていた彩さんにとって、ジーンは頼りになる“英語の先生”だった。

 

「英語でわからないところがあると教えてくれたり、私の書いた英作文をより良い表現に直してくれたり、よく助けてもらいました。また、お互いの語学力アップのために、ジーンは日本語、私は英語で会話しようと2人ルールを決めて話したことも。そんなふうに楽しみながら学べた気がします」

 

その成果か、ジーンさんはフォーマルな日本語はもちろん、「マジ?」「チョー○○」など女子高生言葉も上手に操るようになっていった。一方の彩さんの英語力にも、かなり効果があったことが想像できる。

 

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そして、彩さんがジーンさんとの生活で受けた最大の影響は、自身の留学に興味がわいたことだろう。

 

「ジーンは写真を撮るのが好きで、私にとっては何の変哲もない晩御飯とか道端の草とかもカメラに収めていました。『留学するとこんなふうに何もかも新しく見えるのかな』と、ちょっと羨ましく思えて、だんだん私も留学に興味を持つようになったんです。ジーンは帰国する時、1年前よりずっと輝いた顔をしていました。そんなふうに私もなりたい!と思って、留学しようと決心しました」

 

彩さんは来年の1月から約1年間、オーストラリアに留学する予定だ。ジーンさんとは今でも月に何度かLINEやSkypeで話している。脳外科医を目指して大学で学ぶジーンさんは、今も彩さんにさまざまな刺激を与える存在だ。

 

※取材協力:公益財団法人AFS日本協会