回復期リハビリ病院や総合病院、整形外科などを週に5日間訪問し、患者様の患部の型を取る「採型」や、義肢装具を患部に装着する「適合」などを行っています。どの作業も患者様が痛みを感じることなく自然に歩けるかに細心の注意を払いながら行います。一番やりがいを感じるのは、それまでは移動に車椅子を使っていた患者様が、私たちが製作した義肢装具を使用し、自らの力で歩いている姿を見る時です。いっしょにリハビリ室を歩き、痛みがないか、自然に歩けるかを確認する際、患者様から「もう自分で歩くことはないと思っていたのに歩けた。ありがとう!」と言っていただくと、「この仕事を選んで良かった」と心から感じます。
進路に悩んでいた高校3年生の夏、青年海外協力隊に参加したことがある先生と話したのがきっかけです。その先生は紛争地帯で活動した際、地雷で足を失った子供を見たことがあったそうで、「胸に迫るものがあった」と聞きました。戦争の悲惨な状況などを調べる過程で義肢装具士という職業があることを知ると同時に義肢装具士は単なる技術者ではなく、技術を兼ね備えた医療職であるということが印象に残りました。そこで専門学校 日本聴能言語福祉学院のオープンキャンパスに参加してみたところ、義肢装具士の仕事にさらに興味を持ち、また、モノづくりの楽しさを感じることができる職業であることもわかり、本格的に目指すことにしました。
義肢装具についての知識はもちろん、医学や工学に関する知識も身につけられるカリキュラムが組まれていました。特に役に立ったのは「製作実習」と「臨床実習」という2つの実習です。「製作実習」では実際に義肢装具を作り、製作の注意点などを学びました。また、「臨床実習」では医療の現場に赴き、義肢装具士がどのように患者様と接しているのか、他の医療職とどのように連携しているのか、医療現場ではどのようなカンファレンス(患者様の情報を共有することなど)が行われているのかなどを垣間見ることができました。また、患者様に寄り添い、患者様の生活をより良いものにするという心構えについて学んだことも心に残っています。
有限会社中部義肢勤務/義肢装具学科 卒/2021年卒/愛知県春日井市にある義肢・装具製造販売会社に就職して2年目という戸澤さん。1年目は仕事の全体の流れを学ぶため、製造と営業を半々ぐらいの割合で担当し、2年目の現在は主に営業活動に従事しています。医療は技術の進歩が早い分野。その業界で働く戸澤さんが大切にしていることを聞いたところ、「日々勉強を重ねたいと考えています。最先端技術に触れられるのもこの仕事の魅力。3Dスキャナーを使って型取りし、3Dプリンターで装具を製作する会社もあるようです。技術の発展に対応し、患者様のお役に立ちたいです」と抱負を語ってくれました。